どのように優れたリーダーでも、有意義なアイデアを全部が全部、自分一人で考え出すことは無理なことです。
グループで考えるアイデアは欠かせません。新しいアイデア開発への、グループ全員あるいはグループから選ばれた幾人かの代表者との活発な討議も必要となってきます。
このため、まずグループ内で提案を促進する道を開くことと、グループ審議のための組織的な方法を講じなければなりません。グループから最大限提案を得るには、どのようにしたらよいでしょうか。
グループのためのアイディア創造に、メンバー各自を駆り立てるような空気を盛り上げる責任は、一にリーダーの肩にかかっています。人々は、自分達の提案が真に歓迎されるものか、それともどれほど実用化されるものかに敏感です。
そのため、リーダーとしては、常に自分が虚心にアイディアを受け入れ可能な限り採用し、提案者を尊重すると言うことを、全員に信じさせなければならないのです。
優れたリーダーは、個々の提案を受け付けるに当たって、関心と熱意をはっきり示し、真意を汲み取ろうとするものです。それが実用にかなうものかどうか、できるだけ早く見極め、もし受け入れ難い場合には提案者の志気をくじき、意欲を放棄しないように十分気を配って、その理由を説明することが大切です。
リーダーが他人のアイディアを、自分のもののような顔をするほど、提案者の熱を冷やすものはありません。
ごくまれに、駆け引き上の必要から、リーダーが新しいアイディアを、自分のもののように公表しなければならない場合もあるかも知れません。しかしそんな場合でも、提案者に少なくともリーダーだけは誰の手柄であるかを、良く覚えていると言うことを、悟らせる必要があるのです。ですから、それをできるだけはっきり表に出して、報奨するならば、一層の効果をあげるのは当然のことになるのです。
組織の規模が大きくなり、それにともなって幹部のリードの仕方が、官僚的になっていくにつれ、部下からの提案を横取りにして、自分の功績にするやり口も、また、ますます陰険になってきています。
一部の工場や商社でとられているシステムは、間違いなく提案者に名誉が与えられるような形にはなっていますが、その半面、システムは、つまらない提案でも手当たり次第に、出す結果になりやすくなるのです。
リーダーが絶えず支持と励ましを与えることを怠っては、この提案受け入れシステムは成り立ちません。提案は、リーダーがそれを奨励し、採用し、提案者に名誉を与える度合いに正比例して出てくるのです。
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