「GMAKER」とは?
◎商品の概要
「PC−FXGA」用のゲームをパソコン上で開発できる開発環境。これもFXGA同様、98版とDOS/V版の2つがある。各ソフトの著作権はハドソンが持っている。基本的にMS−DOSベースの開発環境だが、Windows用のツールがあるためWindows上でDOS窓を開いて作業するほうが便利。「スターターキット」「スターターキットプラス」の2つが有り、以下のような内容になっている。
注:本文は初心者(私を含む)を対象としているため、「とりあえずこれだけ分かっていれば良い」というレベルまでしか紹介していない。実際の内容は買ってみてマニュアルを見て欲しい。
◎「スターターキット」(価格:19800円)
○プログラマツール
FXCC.EXE
…C言語で書かれたプログラムを解析し、コンピュータが理解できる機械語に翻訳(これをコンパイルという)してくれるコンパイラ。
FXLK.EXE
…上記FXCC.EXEでコンパイルされたファイルを、関連するライブラリなどのファイルと結びつけ(これをリンクという)、最終的にFXGAが実行可能なゲームプログラムのファイル(.exという拡張子がつく)を作ってくれるリンカ。
FXDB.EXE
…上記二つの作業により完成したゲームプログラムを実行し、プログラムミス(バグ)がないかどうか確認する(これをデバッグという)ためのデバッガ。自作ゲームはいつもこのデバッガを使って実行する。インターネットなどで入手できるアマチュアソフトもこれで実行する仕掛けだ。
FXLIB.EXE
…プログラムを作る過程で作成される各種ファイルを、機能ごとにまとめたものを「ライブラリ」と呼ぶ。言ってみれば使い回しの効くファイルの事で、これを保守・管理する「ライブラリアン」がFXLIB.EXE。
○コンバーターツール
AGD2AGC.EXE
…同梱の「DOGAGINIE」で作成したポリゴンモデル(AGDファイル)をFXGAの側で扱えるAGCファイルに変換する。
B2K.EXE
…Windows上で描かれたビットマップファイル(「〜.BMP」となっている画像ファイル。Windowsでは標準)をFXGAのHuC6272で扱えるファイルに変換する。BG用フルカラー画像も創れる。
BMP2AID.EXE
…Windows標準の画像ファイル「〜.BMP」をFXGAのHuC6273で扱える「〜.AID」ファイルに変換する。ゲームで扱うキャラクタのスプライトやポリゴンに貼るテクスチャなんかはここで作ると考えて欲しい。このツールはWindows上でのみ使用される。変換するとすぐにFXGA上にテスト表示できる。
AID2AIC.EXE
…上記のAIDファイルをコマンド・パケット形式(白状するが何の事だか私には分からん)に変換する。なぜか画像をGAで操るまでこのコマンドは結構使わされた。
MPCONV2.EXE
…Windows標準の動画ファイル「〜.AVI」を始め、いくつかの動画ファイルをFXGA用に変換するコンバーター(PCM音声の変換も出来る)。これもWindows上でのみ使用する。雑誌付録のCD−ROMについていたムービーファイルなどをこれで変換すると、MIXPLAY.EXEというプログラムによってTVの大画面で上映することができ、結構遊べる。画質の高低を操作し圧縮することも出来る。時間とハードディスクの容量に注意。
○各種ライブラリ
VLIB.A
標準ライブラリ。パッド操作など各種ゲーム作成に必要なプログラムが含まれている。
PSGLIB.A
サウンド用ライブラリ。
FILELIB.A
バックアップ用ライブラリ。
PIOLIB.A
パラレルI/Oインターフェイス関係のライブラリ。パソコンとFXGAのデータ転送を司る。
LIBFARL.A
FXGAのスプライト・ポリゴンを担当するHuC6273用標準ライブラリ。
LIBAGL.A
HuC6273用ポリゴン表示ライブラリ。
LIBASL.A
HuC6273用スプライト表示ライブラリ。FXGAのスプライト機能を理解しやすくするため作られたそうで、FXGAの性能をフルに引き出すわけではないらしい。とりあえずゲーム製作では一番お世話になるライブラリ。
_STARTUP.O、_STACK.O
それぞれライセンス表示・初期化オブジェクトとスタック定義オブジェクト。作成したゲームプログラムは必ずこれらとリンクさせなくてはならない。
○サンプル
サンプルゲーム「BURRY OFF」
…自機を操作して、相手を場外へたたき落とすだけの3Dメカ格闘ゲーム。使用された画像データやプログラムのソースコードもちゃんと収録されている。ここでよく勉強しよう。
ADPCMサンプル
…PCM音声をFXGAで再生するプログラムや「うわぁ!」「きゃあ!」「YOU,WIN!」などゲームでよく使う音声のサンプルがいっぱい入っている。これのおかげで自分の声をゲームに入れずに済む(笑)。
各種サンプルプログラム
…FARL、AGL、ASLといった各種ライブラリを使ったサンプルが入っている。ゲームではないが「こういうプログラムを書くとこう動く」というお手本集。これがなければ私など何も出来ない。
○電子マニュアル
FXGAとGMAKERに関する膨大な解説マニュアル。お世辞にも一般向けとは言い難く、これで投げ出した人も多いようだ。凄いことは凄いのだが。本コーナーではなるべく分かりやすくしたいものだ。
◎「スターターキットプラス」(価格:19800円)
「スターターキット」に機能を追加するもの。「スターターキット」がインストールされていることが前提なので注意。おまけ(?)としてCPU「V810」のマニュアルが付属している。初心者には遠い存在のアセンブラ言語を使えるようになる。
FXAS.EXE
…V810アセンブラ。C言語より機械語に近く、実行速度も速い「アセンブラ言語」を、FXGAのCPU「V810」が理解出来るよう翻訳する。
NXCD98.EXE
…CDエミュレータ。FXGAは自作ソフトを遊ぶ場合ハードディスクやフロッピーに記録された「〜.EX」ファイルをメモリに読み込んで(これがまた時間かかるんだわ)実行するが、このツールを使うとハードディスクをCDドライブに見立てて(仮想ドライブ)、市販のソフトと同様に遊べるようになる(らしい。実はまだ使った事がない)。CDオーディオもサポートしているが、もちろんCD並みの空き容量が必要。
SCDEV.A
…SCSIライブラリ。CDエミュレーターの登場にともない、SCSI機器とFXGAのやりとりを担当する。
MOUSELIB.A
…マウスライブラリ。「スターターキット」ではパッド操作のライブラリしかなかったが、これでマウス操作のプログラムも作れる。
AGEグラフィックエディター
…Windows専用の画像作成ソフト。FXGA専用に作られてるだけあって、GAの画像データを作るときは重宝する。
◎まとめと評価
以上が「GMAKER」の内容の大まかな紹介である。一応プロのゲーム開発環境に匹敵するものであるのには違いない。「んーにゅー」だって「プラス」相当の環境で作られたと言うから、後は努力次第で市販ソフトに迫るソフトを作り出せる事は請け合える。ただ残念なのは、非常にマニュアルが難解なこと。というか、素人が理解できる書き方を最初から放棄している。「んーにゅー」でそれをカバーしている訳だが、これが今ひとつ普及していない理由の一つではある。
また、勘違いしないで欲しいことがある。「GMAKER」はあくまでFXGA用ゲームを作るための設計であり、PC−FX本体用のソフトが作れるわけではない。将来的にFX本体に「GAアダプタ」のようなものをつける構想もあったようだが、事実上中止だろう。自作プログラムをCDに焼く「マスタリングキット」なる構想もあったが、これもだめらしい。FXGAで作ったソフトはあくまでFXGAを持っている人にしか遊んでもらえない。これも普及を妨げた一因だろう。パソコンで作ったプログラムをFX本体に送り込み(SCSIアダプタだってあったんだから)、すぐにFX上でプレイできる、なんて環境でもあれば理想的だったのだが。
かつてPCエンジンの開発環境が、当時としては驚異的に使いやすかったというのは有名な話だが、同じハドソンの手によるものにしては少々使いづらさが目立つのは否定できない(やっぱり大急ぎで作ったのだろうか)。あとは各人の努力で、自分なりに使いやすく改造してしまうほかないだろう。素材としては大盤振る舞いと言って良い内容だと思うので、その辺を評価してあげたい。
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