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投稿時間:2002/07/18(Thu) 01:50
投稿者名:徹夜城(第一発言者)
Eメール:shuki@mqb.biglobe.ne.jp
URL :http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/TETUYA.HTML
タイトル:
人口問題-アシモフ世界の20世紀は?
さてと、管理人自ら新規研究投稿の第一弾をやっておきましょうか。

今回、「銀河百科事典縮刷版」の「われはロボット」の内容分については網羅を終えたわけですが、その作業のために読み返してみて、やはり持ち上がってくる問題があります。
いまこうして実際に21世紀になっちゃった今、アシモフ世界の21世紀との齟齬が当然ながら生じてくるわけですね。ここではあくまでアシモフ世界のみを「史実」とする前提で議論させていただきますが。

まず最大の大問題が人口です。「われはロボット」の中では21世紀中ごろまでほとんど30億人あたりで推移しています。「現実世界」ではすでに60億人を突破しているわけですが、あまりにも人口が少ないのではないかと思っちゃったりするわけです。
もちろん楽屋的に考えれば1940年代から50年代に書かれた未来小説だから…ってことになっちゃいますが、それにしてもちと少ない想定なのではなかろうか、と。

僕も「われ思う、ゆえに…」の時代考証で言及したことですが、「われはロボット」のキャルヴィンインタビュー中に1980年代に大きな戦争があったことが書かれてるんです(いま手元に無いんで確認できないけど)。これがどうも東西冷戦の結果の核戦争を想定しているらしく、それで人口が減ったのではないか、との見方もできるのですね。

さて、「災厄のとき」では「地球連邦」という形で一国家に世界がまとまり、四つの地区に分割され統治されています。この分類の仕方がなかなかに面白いのです。特に経済的先進地域である「北方地区」が、アメリカと旧ソ連、イギリスおよびオセアニアの連邦諸国を含んでいるのは意味深です。あの犬猿の仲だった米ソの地域が一つにまとまっているのはなぜなにか?
「マシン」の登場により「カール・マルクスかアダム・スミスかといった論争は意味を失った」という表現もあります。これは逆に「マシン」が登場するまで経済イデオロギー論争が続いていたともとれるのですが…

ま、ともあれこの辺を手がかりに「アシモフ世界の20世紀の歴史」について語れればいいなぁとスレッド立ててみました。


それにしても21世紀に入ってからSF小説中の20世紀を語るってのも面白い時代になったもんです(笑)。なおかつ、現実世界では冷戦こそ終わったもののなかなか戦争要因はなくなりません。いっそ「マシン」作って任せちゃいたい気もするんですが(笑)。
映画「2010」も米ソの冷戦が頂点に達する話だったもんですが、「ソ連崩壊」を書いた未来小説ってあったのかなぁ…
なんか最後の部分は「研究報告」の趣旨とはあわなかったかな、と思いつつ書き足してみました。

投稿時間:2002/07/18(Thu) 03:41
投稿者名:TORI
Eメール:
URL :http://www.ne.jp/asahi/history/science-fiction/
タイトル:
国勢調査
人口の件ですが、中国が入ってないのでは無いでしょうか。まさかあそこまで人口爆発すると思っていなかったのではないかと思っています。

中国の歴史書読んでるとあっちこっちで10万人単位の被害というか死者が出る戦が怒っています。よくそれで絶滅しなかったなあと内容とは違うところで感動してました。

お隣は、まだ北と南で冷戦中ですね。

投稿時間:2002/07/18(Thu) 10:38
投稿者名:徹夜城(第一発言者)
Eメール:shuki@mqb.biglobe.ne.jp
URL :http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/TETUYA.HTML
タイトル:
中国の人口
>TORIさん
レスどうもです(^^)。
ただ、中国の人口が考慮されていないはずは無い、とも思えるんですよ。地球連邦の東方地区副統監が浙江省出身の中国人の設定で、日中戦争とか国共内戦とかにも言及があります。アシモフ自身、中国史を割と良く知っていた可能性があるんです。
そもそも人口爆発ってのは18世紀の中国から始まるんですね。わずか200年間ぐらいに人口が1億人台から4億人以上に膨れ上がってしまいます。アシモフならそれは考慮していたと思うのですけどね。
まぁ、これはあくまで「アシモフ世界」の話ではなく現実の創作舞台裏の考察になっちゃうんですけどね。なお、アシモフの晩年の世界史本では、その人口の大きさから中国が今後の世界史に重大な役割を持つはず、という割とありふれた意見も出ています。

投稿時間:2002/07/18(Thu) 10:54
投稿者名:TORI
Eメール:
URL :http://www.ne.jp/asahi/history/science-fiction/
タイトル:
Re: 中国の人口
> ただ、中国の人口が考慮されていないはずは無い、とも思えるんですよ。地球連邦の東方地区副統監が浙江省出身の中国人の設定で、日中戦争とか国共内戦とかにも言及があります。アシモフ自身、中国史を割と良く知っていた可能性があるんです。

なるほど。読みと知識が甘かったです。
じゃあどこで狂ったのか…、どの当たりの人口が違う結果になったのでしょうね。中国だと一カ国でほぼ解決で楽だったのに…。(←極道思考^^)

投稿時間:2003/07/01(Tue) 06:15
投稿者名:ふむ
URL :
タイトル:
Re: 中国の人口
人口爆発が中国から始まる??
そんなこと誰が言ったんですか?
人口爆発とはそもそも何か…
それは生産に対する人口の余剰のことを指すのです。
それは太古の昔から何度も起きています。
人口の余剰に対しては昔から次の方法がとられてきました。
戦争。
疫病。
飢饉。
大きくはこの三つです。
人口の増大は余剰生産力の増大です。
よって権力者は余った力を戦争に回したのです。
また人口密度が上がれば疫病が蔓延しやすい土壌を生みます。
そして生産力の限界と悪天候が重なれば自然に飢饉になります。
歴史を振り返ればよくある話でしょう。

投稿時間:2002/07/20(Sat) 00:01
投稿者名:ろく
Eメール:
URL :
タイトル:
Re: 人口問題-アシモフ世界の20世紀は?
{我はロボット」におけるスーザンの発言とは「最後の世界大戦を切り抜けた」と言うものの事でしょうか。
私はあれは<大戦になりかねない危機を切り抜けた>と解釈していました。大戦が、実際に起こったのでしょうか。うーん、そうだとすると自分が思っていたよりもハードな世界設定ですね。

えー、そして
>楽屋的に考えれば40年代から50年代に書かれた未来小説だから

というお話についてですが、ご存知アシモフの科学エッセイシリーズの方で人口問題について早々に触れられていることがあったと記憶しています。
今ちょっと、どの巻に載っていたかを思い出せないので説得力がないのですが、地球にどれくらいの人間が住めるのか、というのを、まずは面積当たり(人が全ての陸地の上にまっすぐすきまなく立ったとして)、それから食料生産を計算に入れ、次は人を雑食にして(つまり、畑で取れたものを家畜にも食べさせるとして)この星に何人くらい生きられるかという話を(常のように)わかりやすく展開させてくれていました。
もう一つ挙げていた例では、この調子で人間が増えていくと(そのエッセイが書かれた年代がわからないため、もとの人口と増加率が特定できないのですが)銀河系が人類で満たされるまでどれくらいかかるか、というものでした。
多分第一発言者様も読まれていると思うのですが、この辺りを突っつくとアシモフが人口の増加にも感心を寄せていた事がよくわかります。

ですから・・・ええと、なにが言いたいのかよくわからんくなってきちゃったなあ・・・あくまでもこの世界の話は小説としての設定であって、<未来を予想したものだから違っていても当然>と言うことはないのではないかと。
そう考えると、どんな世界設定だったか、という方向へ話が進むわけですね。あ、成る程。

しかしこの話は第一発言者様のテーマとはだいぶずれていますね。
自分は第2ファウンデーションだったらとても発言者の資格は貰えないに違いない。

投稿時間:2002/07/20(Sat) 22:34
投稿者名:徹夜城(第一発言者)
Eメール:shuki@mqb.biglobe.ne.jp
URL :http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/TETUYA.HTML
タイトル:
最後の世界大戦
…てぇタイトルの藤子不二雄の初期作品がありましたねぇ。

ところでまずスタンスを再確認しておきましょうか。
僕もついついゴッチャに書いてしまうのですが、アシモフが創作上どうしてあのように書いたのかという推理をするのと、アシモフの小説上の未来史の記述のみを「事実」と認定してその上での推理をするというのをきっちり分けておいたほうがいいでしょうね。
もちろんどちらかの話しかしてはいけないとするつもりはありません。どちらもネタばれ掲示板でないと書けない種類のものだし。
ひとまず、僕はシャーロッキアン的に小説中の記述のみを手がかりに「人口問題」の件を考えてみようと思います。


さて、ろくさんも言及されている部分、僕も気になっていました。
「われはロボット」の「証拠」の前のところにスーザン=キャルヴィン女史がこう言っております。

「わたしが生まれたときはね、あなた、ちょうど最後の世界大戦を切り抜けた年だったの。史上ではどん底の時期でしたね---でも国家主義の終焉の時でもありました」(早川版、小尾芙佐訳)

キャルヴィン女史が生まれたのは1982年。確かに「切り抜けた」とあるのですが、そのあとに「史上ではどん底の時期」という表現があります。だから僕はこれは実際に大戦争が起こっちゃったものと解釈しています。勃発はしたけど完全な破滅には至らなかった(切り抜けた)。その反省の結果、「国家主義が終焉した」という流れになっているのではないかと。そして次第に世の中は地球連邦をつくる流れに進んでいくわけです。
傍証を挙げますと、この1982年というのは「USロボット&機械人間株式会社」設立の年でもあるのです(僕がうっかり「事典縮刷版」に書き込むのを忘れていた事実)!この1982年というのが何か大きな節目になっていたのだと考えることは可能でしょう。

なお、「切り抜けた」というのが英語の原文でどうなっているのか確認が必要なんですが、「I,Robot」の原書は僕は持っていないんですよ。ロボットモノの小説を集めた「Conplete of Robot」は所有してるんですが、この形態では「我はロボット」の各話に挿入されているキャルヴィン・インタビューが収録されてないんですね。だから現時点では確認が出来ません。

投稿時間:2002/07/25(Thu) 23:15
投稿者名:ぺろらっと
Eメール:
URL :
タイトル:
Re: 最後の世界大戦
> ところでまずスタンスを再確認

されたところで(笑)。

私も1980年代に大戦を経験したのだと思います。 ただ、核戦争とすると、またあの「スリー・マイル」問題が出てくるので、「核を伴わない大殺戮」があったと考えるのが良いかと思われます。

「もう、あれから20年以上経ちますねぇ(遠い目)。」なんて(笑)。

投稿時間:2002/07/25(Thu) 23:35
投稿者名:徹夜城(第一発言者)
Eメール:shuki@mqb.biglobe.ne.jp
URL :http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/TETUYA.HTML
タイトル:
スリーマイル
ぺろらっとさん、投稿どうもです。

> 私も1980年代に大戦を経験したのだと思います。 ただ、核戦争とする
>と、またあの「スリー・マイル」問題が出てくるので、「核を伴わない
>大殺戮」があったと考えるのが良いかと思われます。

あ、なるほどスリーマイル問題がそこに絡んでくるわけですねぇ。僕も失念していました。
スリーマイル島事故は1979年。つまり問題の「最後の世界大戦」の前であるわけですな。なお、「ロボットと帝国」未読の方のために一応書いておくとアシモフ世界ではスリーマイル島事故は「史実」として明記されているものなのですね。なお、1986年のチェルノブイリ事故についてはアシモフは一切書いておらず、アシモフ世界では「史実として存在しない」か、あるいは「あったけど忌むべき記憶として抹殺されている」かのどちらかであるようです。

ふーむ、しかしそうすると確かに「最後の世界大戦」は核戦争とは限らなくなりますねぇ。そういえばロボットシリーズには「核汚染されている地球」は出てこないもんな。

> 「もう、あれから20年以上経ちますねぇ(遠い目)。」なんて(笑)。

はい、ホントですねぇ(遠い目)(^^)。
そして地球連邦誕生まであと半世紀ぐらいかかるわけか…

投稿時間:2005/03/12(Sat) 11:58
投稿者名:kk75
Eメール:
URL :
タイトル:
Re: スリーマイル
銀河帝国での地球の核汚染は「ロボットと帝国」で核汚染そのものを
目的として人為的に行われたものであり、たんなる全面核戦争による
汚染とは、桁が違います。
戦争による汚染なら、核の冬などで気象が狂って大雨が降りまくるだ
けでも相当弱まります。

核戦争はあったが放射能汚染は楽観主義者の予想かそれ以上に弱く、
短いもので済んだのではないでしょうか。