海上史図書館・小説室
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◎小説◎
「戦国海商伝(上・下)」
陳舜臣・著(講談社文庫)


 まさに僕の専門の時代を直撃した陳舜臣さんの歴史小説。物語は寧波の乱から厳島の戦いまで視野に収めた広大なスケールで、僕が小説で書こうと思っていた設定がソックリ入っていて参りました(笑)。主人公は毛利元就の隠し子というちょっと「?」な設定ですが、王直なんかがカッコよく登場し、なかなか面白い。主人公がフィクションということもあって、結構血湧き肉踊る展開になります。それでいて当時の倭寇史も背景にちゃんと入ってますから、専門書が苦手な方はこちらをお読みになると歴史の展開がつかめるでしょう。細かい間違いは私のサイトで確認すること(笑)。
「天翔ける倭寇(上・下)」
津本陽・著(角川文庫)


 「倭寇」を看板に据えた珍しい小説。時代小説では定評のある津本さんの冒険小説です。主人公は雑賀の鉄砲衆という設定。それが王直に頼まれて大陸へ侵入し、戦力として大活躍する(?)、まぁそんなお話です。冒険小説として読めば面白いんだけど、専門で直接資料見てる自分からすると、ちょっと元ネタの資料調査がいい加減なのが気になります。徐海の愛人だった王緑妹を主人公の恋人にしちゃったのにはもう・・・・(^^;)。
「海狼伝」
白石一郎・著(文春文庫)


 直木賞を受賞した海洋歴史冒険小説の傑作。対馬に育った若者・笛太郎を主人公に、対馬海賊・村上水軍まで登場するスケールの大きな「海賊小説」です。物語は完全なフィクションですが、ストーリー展開は巧みで一気に読めます。朝鮮王朝にも仕えた対馬海賊・宣略将軍の李伏竜のキャラクターが魅力的。時代は王直らの活動時期のちょっと後ぐらいかな?ちなみに続編「海王伝」は主人公らが東南アジアにまで出かけます。こちらには結構実在人物が出てきたりする。
もっとあるのは分かってるんですが、今日はこの辺で。資料整理の上、追加していきます。