昨日、おとといと、風呂の話をしてきましたが、設備の話ばかりで、なかなか家庭で簡単にできること、という形で提案はできませんでした。「それじゃ、今の風呂でどうしたらいいの」という話です。湯を沸かす(給湯)ことで排出される二酸化炭素は、家庭からの排出の16%を占めており、単独の用途としては自動車(22%)に次ぐ、おおきなものです。これは毎日10台のテレビを6時間つけているだけの二酸化炭素排出量に相当します。逆に1割でもへらすことができれば、テレビ1台分に相当するだけ効果も高くなります。
また、お湯を沸かすということは、「お湯の温度」−「水の温度」の温度差が大きいほど、エネルギーをたくさん食います。ですから、一般的に冬場のほうがエネルギー消費量が大きくなります。削減効果については、家庭でどのような風呂設備があるのかによって大きく異なってくるのですが、ここでは3人家族用のガスで沸かすタイプを考えます。もし灯油や深夜電気で沸かす場合には、もっと削減効果が大きいと読み替えてください。
■家族が続けてはいる(いかに追い炊きしないですますか)
これはお湯が冷めてしまっても構わないのであれば、エネルギー消費量は変わりません。しかし一定の温度を保とうとすると、後炊きやお湯のつぎ足しをすることによってエネルギーを使ってしまうことになります。もしお湯の温度が3度下がってしまうと、もとのお湯の温度に戻すのに1割程度余計にエネルギーがかかってしまいます。
まずできることは、お湯がさめないように湯船にふたをすることですが、これで温度の下がり方は半分程度になるようです(環境家計簿)。
本来は「家族が続けて入る」というのは大切なところなのですが、会社の都合で遅くなったりと事情がいろいろあるようで、実際にはなかなか難しいところがあるようです。■シャワーですます(お湯の量を減らす)
一般的にシャワーを使ったほうがお湯の量は少なくてすみます。私ごとでなんなのですが、シャワーの場合のお湯の消費量を調べていますので参考にしてください。おおよそ一人あたりで風呂を沸かす場合の15%程度ですますことができるようです。ですから3人家族の場合でも、全員がシャワーを使うのであればほぼ半分(45%)のエネルギーですますことができるわけです。
まあ冬場などは、家に帰ってゆっくり温かいお湯につかる幸せというのは何者にも代え難いので、それはそれで楽しんでもらったらいいでしょうが、週に2日でもいいですから、シャワーに切り替えてみる程度はやってみても損はないでしょう。さらには、濡れタオルで体を拭くだけでもそれなりにきれいにはなります。
■お湯の温度を下げる
風呂でエネルギーが消費されるのは、水を温めるためですから、最終的な温度が低ければエネルギー消費は少なくてすみます。おおよそ3度下げる(42度ではなく39度)で1割の削減になります。あまり風呂を熱くするのは、心臓にも負担がかかるということですので、ぬるめのお湯でゆっくりつかるというのもいいかもしれません。
■お湯の量を少な目にする
お湯に体を沈め、湯船からお湯がこぼれ出す瞬間というのは、なんとも贅沢な気分にひたれる一瞬なのですが・・・・いうまでもなくこれは無駄です。
お湯を止めるのを忘れてしまったということがないように気をつけるのは当然のことですが、どこまでお湯を少なくしても満足なのか試してみてはいかがでしょうか。また、ひとりひとりお湯を張り替える家庭がもしかしたらあるかもしれません。西洋式のお湯が少なくてすむタイプならまだしも、日本の風呂釜の場合には大量にお湯が必要になりますので、これはちょっと勘弁してください。
■風呂は毎日入る必要があるのだろうか
毎日風呂に入るというのは単に日本人の習慣です。昔の人が毎日入っていたわけではありませんから、生物的に入らなくてはいけないものではありません。むしろ、毎日皮膚をこすってしまうことによって、健康に悪いこともあるでしょう。
結構問題にされるのが「におい」などで、風呂に入らないと臭いと言われる(と思われている)でしょうが、経験上2-3日程度なら、夏場は別として問題はありません。「ちゃんと毎日入っているよ」と言っても気が付かない程度です。特に日本人は「におい」に敏感な社会を作ってしまったことが逆にエネルギー消費量を大きくしているとも言えるでしょう。まあ、これは講演会などで話をしても、笑い話として聞き流されてしまうようなことですが、実は非常に重要なことであるものです。2日に1回になれば、単純にエネルギー消費量は半分になるわけですからね。
風呂を毎日入らないというのはなかなか受け入れられない、という話をよく聞きますが、そんな文化はたかだかここ30年程度で作られたものにすぎません。習慣化されているからなかなか変えられないものかもしれませんが、一度、2日に1回にしてみたらいいですよ。1日入れなかった次の日の風呂というのは、今まで以上に幸せな時間になるはずです。毎日はいるよりよっぽど幸せになれるんではないでしょうか。資料
CASA編:温暖化を防ぐ快適生活、かもがわブックレット118、1998
環境庁:環境家計簿
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