(注)以前、このページに製作にあたっての部品等を紹介してありましたが、別途自転車発電製作マニュアルとして独立させました。
水平な場所にオルタネーターが載った板を置き、自転車のスタンドを板に載せ、オルタネーターとタイヤが接触するようにする。オルタネーターは板とねじれた状態につけられているので、回転部分と自転車のタイヤがちょうど平行になるように調整する。
(別紙の写真を参照してください)
初期作動チェック
回路をすべて組み立て、インバーターのスイッチはoffにしておく。
オルタネーターは発電ができるように車輪に接するようにする。
電気機器は接続しないでおく。
(1)ペダルを回転させると、制御ボックスのナツメ球がかすかに点灯する。
点灯しない場合:
・制御ボックスにナツメ球がちゃんとささっているかチェック
・オルタネータが回転しているか確認。空回りしている場合には、スタンド位置を調節する。
(2)ペダルを速く回転させると(1秒に1回程度)制御ランプが急に明るくなる
明るくならない場合:
・オルタネーターがタイヤで回転しているかをチェックする
(3)インバーターのスイッチをONにするとインバーターの電源ランプ[Power]がつく
つかない場合:
・インバーターのソケットがしっかりはまっているか確認。
(4)いったん発電を止めてから、電気機器を接続して回すと電気機器が動く
動かない場合:
・安定しない場合には、自転車の回転力が足りない、うまくオルタネーターとタイヤがかみ合っていないなどの原因が考えられる。出力を弱くしてちゃんと発電が行われるようであれば、単なる力不足。
・テレビの場合には初期に大電流が流れるために、つきが悪いことがある。数回〜数十回オンオフを繰り返しているとつくことがある。(あらかじめ商用電源でつけて、ブラウン管を温めておくとつきやすい)
発電のこつ
速く回しても、余計に発電できるわけではなく、かえって回転が軽くなります。持続して発電できる速さを維持することが大切。自転車を揺らしすぎないことも大切。
オルタネーターのクリップは非常にはずれやすいので常にチェックしてください。
自転車の揺れが激しくてタイヤがはずれることが多いので、人手があれば後ろをささえたほうがいい。タイヤが回転部分からはずれたり、オルタネーターの本体を擦ってしまい回転が重くなることもある。位置的には、オルタネーターの回転部分の外側がタイヤの中心軸になる程度がちょうどいい。
多分発電できる最大電力は100Wまでです。それ以上は多分インバーターが作動しないと思いますが、接続して実験などしないでください。
子供向けには、オルタネーターを使った発電はしんどいかもしれません。消費電力の小さいラジカセにするとか、オルタネーターをはずしてナツメ球を点灯させるなど弱くしてください。
イベントとして使うに当たって
構造上、瞬間的な電力を競う機械ではありません。一定の電力を持続して発電し続けることが重要になります。
テレビをつける程度なら、だれにでもできるでしょうが、長時間発電を続けるとなると結構しんどいと思います。何時間発電を続けられるのか、そしてみんなで取り組んで結局どれだけの電気が発電できたのかを示すと面白いと思います。
スタッフは、どれだけの電力消費が行われているのかを事前に把握しておいてください。
普段の生活でどれだけ電気やエネルギーを使用しているのかを、自転車発電の時間と併せて掲示することにより、効果が上がると思います。
使用例1:
裏にボードを立てて、発電参加者と発電時間を公開で記録していく。
発電時間(合計発電量)と、上位者を更新していく。
使用例2:
テレビ+ゲームを発電でまかなうこととし、2人組で参加してもらう。一人は発電を行い、もう一人がゲームをして、ペアで最高得点を競う。
ゲームにばかり目がいかないようにフォローが重要。
使用例3:
発電量(時間)に応じたプレゼントを送る。
紙1g製造するのに約15kcalが必要。これより、15分発電をして紙1g(B5半分くらいかな)のプレゼント。
缶ジュースの缶を製造するためにはおよそ1500kcal必要だから、約1日発電する必要がある。多分プレゼントとしてこれを手にする人はいないだろう。
使用例4:
力を競うには、自転車を足でこぐのではなく、ペダルを手で回す方法がある。
ござを敷いて、背中に「マハトマ ガンジー」と書かれたシーツをまとって、自転車に横に向かってペダルを手で回す。
ちゃんとテレビが付いたら、みんなでありがたがる。
使用例5:
自動車用のバッテリーをガソリンスタンドから貰ってくる。既にかなり充電されている場合があるので、インバーターを介してテレビをみるなりして、バッテリーを上げる。
みんなで発電した電気を充電して、みんなでテレビをつける。この場合、オルタネータだけで十分で、制御ボックスやダイナモは必要ない。
充電を行うと、多少ペダルが重くなるが、おおよそ20W程度の発電ができる。このため、20分程度発電を行ってもテレビを見られるのは3分程度になるので注意を。
自転車発電の仕組みについて
今回の発電では自転車を回すと、最初にダイナモから発電が始まり(ナツメ球が暗く付いている状態)、次にオルタネーターが発電を始める(ナツメ球が急に明るくなる状態)ようになります。電力を供給するメインのモーターはオルタネーターで、ダイナモは単にオルタネーターの起動用に用いているだけです。ちなみにオルタネーターで発電が始まると、ダイナモは外しても発電は続きます。
普通のモーターは、回すだけで電気を生み出しますが、オルタネーターには磁石の代わりに電磁石が使われており、あらかじめ電気を流しておかないと電気を生み出さない仕組みになっています。このため、以上のような複雑な回路を組んだ訳です。ただ、複雑な仕組みになっているおかげで、直流15Vが安定した形で出てくるようになっています。このため電圧変化を気にすることなく電気機器を繋ぐことができるわけです。
ダイナモは交流で発電が行われます。ダイナモの電気は一旦、制御ボックスに送られ、直流に変換されてからオルタネーターへと送られます。ナツメ球は、発電が行われていることのチェックにも用いていますが、過大な電圧がかかるのを防ぐ意味でも用いられています。
インバーターは、直流12Vを交流100Vに変換するものです。キャンピングカーなどで、バッテリーから家庭で使っている電気機器を動かしたい場合などに用いられます。自作もできるのですが、最近は効率がいいものが安く売られているので、既製品を買ってきました。
このインバーターには、安定回路が内蔵されており、供給側(オルタネーター)の電圧が下がってしまうと、自動的に停止してしまいます(LowBatteryランプが付いた状態)。本来はバッテリーが切れそうな時に停止する機能ですが、今回では回転数が低い時や、電気機器の始動時にこうした安定機能が働いてしまいます。辛抱強く何度かスイッチのON/OFFを繰り返してトライしてみてください。
100Wの限界は、インバーターの性能の限界もありますが、自転車で十分力を伝え切れていない面もあると思います。特に電球などは始動電流がかなり必要なため、急に自転車が重くなって回転数が落ちてしまいます。
工夫次第ではどうにかなるかもしれませんのでアイデアなどありましたら教えてください。
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