良く聞く病名・障害の症状などを説明しています。今後も順に増やしていく予定です
なお、治療に関しては医師の治療法にも違いがありますのであくまで参考として下さい。

全国子ども病院リスト

水頭症 脳に髄液が過剰にたまる為頭囲が急激に大きくなります
[原因] 化膿性髄膜炎などの感染症の後遺症や脳腫瘍、先天的な脳の奇形によっておこります
[症状] 脳の中心部にある脳室や脳と頭蓋骨の間を満たしている脳脊髄液が正常に循環せず脳にたまってしまう病気です。
頭位が平均値より標準偏差の2倍以上(2SD以上)大きくなります。特に急に大きくなった時はこの病気の疑いが強く
なります。母乳やミルクを吐いたり、大泉門が大きく開いたり、額が前方に突き出すこともあります。
そのままにしておくと脳実質が圧迫され、麻痺やけいれんなどが起こり、発達の遅れを伴うこともあります。
[治療] シャント術というのは脳にたまった脳脊髄液をチューブで人工的におなかの中に出してあげる手術です。この手術に
よって脳実質への圧迫を防ぐことができます。
適切な時期に手術を行うと、発達の遅れはほとんど起こさずに済みます。頭位が急に大きくなった時はすぐに小児科
専門医、あるいは小児神経科を受診してください。

小頭症 脳の発育が悪く頭が極端に小さくなります
[原因] 脳の欠損や発育不全があって、頭が大きくならないものです。先天的な脳の異常によって起こる事もありますが、妊娠中
のトラブルや、出産時の事故、あるいは生まれたからの脳障害(頭部外傷や脳炎など)が原因になる事もあります。
[症状] 体の発育はさほど遅れていないのに、頭位が大きくなりません。特に平均値と比べて標準偏差の2倍以下(2SD以下)
という場合で、発達に遅れがみられる時は小児科か小児神経科を受診してください。
頭蓋骨早期癒合症の中で、まれに頭蓋縫合線全体がくっついている時に、小頭症と同じように頭全体が小さくなる事が
あります。この場合は頭蓋X線検査、あるいはCTスキャンで検査すると、小頭症と鑑別診断できます。
[治療] 発達を促す働きかけについて、地域の療育センターなどで指導を受けるといいと思います。

泣き入りひきつけ 大泣きした時などに起こすひきつけです
[原因] 赤ちゃんと子供は脳の発達が未熟な為にほんのわずかな刺激でも、細胞を刺激してけいれんを起こしやすい
ものです。大泣きしたり、びっくりしたり、突然の不安などもけいれんの原因になります。
[症状] 呼吸を止め、顔が紫色になって全身をつっぱらせたり、蒼白になってぐったりしたりします。時には意識を失う
事もありますが、発作は多くの場合1分以内でおさまります。
[治療] 一時的にひきつけただけですから治療の必要はありません。脳の未熟さが原因ですから5〜6歳になって脳
が発達してくると自然に起こらなくなります。
ひきつけを起こしやすい子供でも、大泣きしたりかんしゃくを起こしたときに抱き上げて気を紛らわすとひきつけ
なくて済む場合もあります。

髄膜炎 高い熱が続き嘔吐を繰り返します
[原因] 乳児期に起こりやすい病気の1つです。最近やウイルスの感染によって髄膜が炎症を起こすものです。
一般に風邪症状を起こす最近ウイルスは、すべて髄膜炎の原因になりますが、そんなに簡単に髄膜炎になる事はあり
ません。風邪が長引いたりおたふくかぜのような感染症で体の抵抗力が落ちているときに、細菌やウイルスが髄膜ま
で広がってしまいます。
[細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)]
年齢によって起こしやすい細菌の種類は異なりますが、肺炎球菌やぶどう球菌、連鎖球菌、大腸菌などが代表的なも
のです。ほとんどの場合は血液によって髄液に運ばれますが、まれには中耳炎や副鼻腔炎などから直接髄液に感染
が広がることもあります。
[ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)]
髄膜炎を起こすウイルスの中でも代表的なものはコクサッキーウイルス、エコーウイルス、おたふくかぜウイルスなどです。
[症状] 最初は高い熱が何日か続き、ひどくぐずっておっぱいやミルクを飲まなくなったり、何度か嘔吐を繰り返します。大泉門が
膨隆することもあります。首がつっぱってくるのであおむけに寝かせた時、首を起こそうとすると激しく泣くこともあります。
少し大きくなった子供の場合は「頭が痛い」と訴える事もあります。
進行するとけいれんを起こしたり意識がなくなったりすることもあります。
[治療] [細菌性髄膜炎]
髄液を取って検査します。細菌性の髄膜炎の場合は髄液が濁ってどろどろになる事があります。細菌の検査をし細菌が
検出された時はその細菌にもっともよく効く抗生物質を使用します。
嘔吐が激しい場合は脱水症状になりやすいので点滴が必要です。その他解熱剤や鎮痛剤などを必要に応じて服用します。
早く治療を開始すると後遺症を残さずに済みますが、細菌性の髄膜炎は進行が早く、また、子供が小さいうちほどみつけに
くい病気です。治療が遅れると時として命の関わったり治っても知的な発達が遅れるなどの重い後遺症が残る事があります。
高い熱が続いてぐったりしている、大泉門がパンパンにはってるなどの場合は夜中でもすぐに受診しましょう。
[ウイルス性髄膜炎]
高い熱が出る、嘔吐する、頭が痛いなどの症状は細菌性の髄膜炎と同じですが、一般に症状の表れ方がゆっくりで軽いこと
が多いものです。
髄膜の検査をすると細菌は認められず、リンパ球が増えることから診断がつきます。
熱が高い時は解熱剤で熱を下げる、嘔吐が激しい時は点滴で脱水を防ぐなどの対処療法でほとんど1週間ぐらいで良くなり
ます。生命の危険や後遺症はまずありません。

脳炎 感染によって脳に炎症を起こす病気です
[原因] 原因となるウイルスは沢山ありますが、よくみられるのは、はしかや風疹、水疱瘡などに合併して起こるものです。また単純ヘル
ペスというウイルスによって起こるヘルペス脳炎の場合は多くの場合重症になります。
コガタアカイエカという蚊がウイルスを媒介する日本脳炎がよく知られていますが、予防接種が行われるようになって発病する事
はほとんどなくなりました。
[症状] ぐったりしてウトウトと寝てばかりいる、ボーっとして反応が鈍いなどの意識障害が主な症状です。けいれんが起こる事もありま
す。また発熱や嘔吐を伴うこともあります。
はしかや水疱瘡が治った後にこのような症状がある時は脳炎の疑いがあります。
[治療] 脳浮腫といって脳が非常にむくむ為脳圧降下剤を点滴して浮腫を取る療法を行います。
ヘルペス脳炎には抗ウイルス剤を投与します。
脳炎が治っても運動機能や知能に障害が残る事がありますので早期に発見・治療が大切です。

急性脳炎 脳炎に似た症状で感染によらない病気
[原因] 急性脳症は、脳炎に非常によく似ていますが、感染を起こしておらず、ほとんどの場合原因不明です。
[症状] 脳炎と同じような意識障害やけいれんが急に起こります。時には嘔吐を伴うこともあります。
[治療] 脳炎と同様に脳に強い浮腫が起こって、そのために脳の障害が起こりますから脳降下剤を点滴して浮腫を覗く治療を行い
ます。
脳炎よりも運動障害、知能障害、けいれん性疾患などの後遺症が残る危険性が高い上、病状の進行が早いので出来る
だけ早期に発見して治療を受けることが大切です。

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