第一回「ジャズとは何か その1」


ジャズとはスウィングである!! では、スウィングとは何か? これがむずかしい。「演奏者間のスリルある即興的応答と躍動的なリズム」 なんてえことを言いますが、こりゃあわからんよね。いろんな人がいろんな事を言ってますがここは ピアニスト山下洋輔の名著「風雲ジャズ帖」から一つたとえ話を紹介しましょう。「ウィングが相手の バックス二人のタックルをフェイントでかわしてセンタリングしたボールをストライカーが蹴るとみせかけて 横にパスすると後ろから走り込んできたハーフバックがすかさずシュートこれがクロスバーに当たって 跳ね返るところをやはりものすごい速さで飛び込んできたフルバックがイルカのようなダイビングヘッド でゴールキーパーの逆をついて決める。わずか数秒間の出来事だ。この連携と即応性もまたスウィングである。」 ・・・まあ実際に聴いてみましょう。今日は速いテンポの曲が多いけれど、スウィングとテンポは関係ありません。(念のため)

本日のレコード・・・いろいろなスタイルのジャズを聴いてみよう

1. 「スウィングがなければイミないよ」 Ruby Braff/George Barnes Quartet "Live at New School"1974

70年代に活躍した、コルネット(トランペットの親戚)、ギター二人、ベース、のカルテット(四人編成) のコンボ(小編成のバンド)。R.ブラフ(cor),G.バーンズ(g)のベテラン二人がソロをとり、バックの 若い二人はひたすらリズムに専念します。単純にみえて意外ときっちり組み立てられた曲構成で、ドラム がいませんが伝統的な4ビートでデューク・エリントンの曲名どうり強烈にスウィングしています。 ジャズのスタイルでいえば1930年代のスイング・ジャズ、もしくは(大橋巨泉言うところの)「中間派」 と言うところでしょうか。・・Yeah!Yeah! というつぶやきが粋というかカッコよくありません?

2. 「ウインド・マシン」 Count Basie And His Orchestra "Basie Big Band"1975

今度は、Big Bandを聴きましょう。ビッグ・バンドの編成は普通、ドラム、ベース、ピアノ、ギター からなる「リズム・セクション」と、トランペット×5、トロンボーン×4、アルト・サックス×2, テナー・サックス×2、バリトン・サックスから成る「ホーン・サックス・セクション」から出来ています。 (サックスはフルートやクラリネットに、トランペットはフリューゲル・ホーンに持ち替えたりもします) カウント・ベイシー・ビッグバンドは1930年代から活躍している有名なバンドです。(私はソリストが 充実している30年代から40年代のが好きですが)今日は75年に録音された、現代の伝統的ビッグバンド の代表的作品から速いテンポの演奏を選んでみました。リズム・セクションの作り出す強烈なリズム にのって、管楽器が炸裂します。ドラムとアンサンブルとの掛け合いに注目してみよう。

3. 「ウォーキン」 Miles Davis Quintet "Four & More"1964

次はいわゆる「モダン・ジャズ」です。トランペット、テナー・サックス、ピアノ、ベース、ドラム という「コンボ」で、リズムは基本的にベースとトップ・シンバルが刻む4ビート(一小節4拍)で決められます。 まあこの演奏はめちゃくちゃテンポが速いですが、よく聴いてみて下さい。そしてピアノとドラムのスネア、タム、 バスドラムが即興的にアクセントをつけていきます。その上にトランペット、サックスがアドリブ・ソロを取るんですねえ。 とにかくこのドラムのすばらしさを聴いて下さい。ドラムのトニー・ウィリアムスは当時なんと17歳だったんですよ!

4. 「バードランド」 Weather Report "Heavy Weather"1977

どう?なんだかわからない?じゃあ次はみんながおなじみの8ビートで演奏されるジャズを聴いてみましょう。 ウエザー・レポートはさっき聴いたマイルスの弟子と言ってもいいような人たちで結成されたグループで ロックの要素を取り入れたジャズを演奏して70年代に評判になりました。厳密なアレンジでアドリブのパートは 少ないです(でもちゃんとあるんですよ)。エレキ・ベースのジャコ・パストリアスは知ってるかな? エレキ・ベースってジャズの世界じゃわりと軽視されてたんだけれど実はすごいことが出来るってことを 証明した人ですね。この曲ではハーモニックス奏法というちょっと変わった音が聴けます。

5. 「クレイ」 山下洋輔トリオ "clay"1974

   さて最後はフリー・ジャズだ。ピアノ、アルト・サックス、ドラムという三人で演奏されます。 リズムは今までと違って、フリーというかパルス・ビートというか痙攣するような細かく分割されたリズム に三人がぴったりノッて演奏してるのがわかるかな?最初と最後にテーマが出てきますがあとは和音とか小節数 とかの決まりはありません。互いの音を聴きあい、反応しあってものすごくスウィングしてます。


生徒の意見

(女子A) 1.は昔の映画に出てくる曲みたい。ジャズをたまに聞くのもいいなと思いました。
(男子B) 一曲目は好きになれないな。2.4曲目のがよかった。初めてジャズをじっくり聴いたけどなかなか良かった。でもやっぱりロックの方がいい。
(男子C)今まで「ジャズ」というものを聞いたことがなかった。ふんいきやサウンドなどがあまり好きではないからだ。 ロックの音とジャズの音、リズムなど全くとは言えないがほとんど違うと感じる。ロックの場合はリズムが一定に聞こえるがジャズの場合は「めちゃくちゃ」に聞こえる。 でも各個人のテクニックとすればジャズの方が上のような気がする。
(女子D)2番目の曲はけっこう好みです。4番目に聞いた曲はどことなくしたしみやすいです。最後の曲はよくわかんない。
(女子E)「バードランド」はすごくのりやすく、若々しい感じがした。もっときれいなジャズもきいてみたい。あまりうるさくないやつ。
(男子F)ジャズの事はまだあまりよく知らないけれど1,2,3の曲がとてもよかった。
(女子G)いつもはプログレッシブ・ロックふうのものをきいているが、はじめてきくジャズは少しねむかったがなかなかおもしろかった。続けてきいていけばもっとおもしろくなりそうな気がする。ベース特集をやってほしい。
(女子H)ジャズのことは良く知らないけれど「バードランド」のような決まった感じのするものでなく、リードの奪い合いのあるもの、電気的でないものの方が良いな、と思いました。山下洋輔は名前だけは知っています。慣れてくれば楽しめるのではないかと思います。
(女子I)ジャコ・パストリアスの大ファンです。彼の演奏をもっと聞きたい。ベースが好きなので自分でも弾いてみたいです

Ruby Braff/George Barnes Quartetは渋すぎたのかな、あまり受けなかった。やはり生徒はエイトビートが身体にしみこんでるみたいですね。でも思ったより興味を持ってくれたようで、これからが楽しみです。

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