”里山”の切り口からイギリスを調査した際(別項参照)、里山における新しい事業が公務員の手で積極的に進められている実情を調査しました。起業の推進主体は公務員であり、一般的に市民起業家と呼ばれる字面からくるイメージとは全く異なるものでした。
その原因は、原語「Civic entrepreneur」のCivicの翻訳にあると考えます。同義語的に最も近いのは、Civic=Municipal(地方自治体)です。例えば、Civic centreは市役所や市民ホールなどが集まる公共的な中心を意味することから、日本語としては市民ではなく、公民の方がCivicの実体に近いと言えるものです。このことは、実際に現地に住んでみた感覚からも言えます。そこで、日本での同様な動きを促していくために、公務員起業家という明示的な呼称を提案するものです。公務員が誰のためにあるのかを民主主義の原則から考えるとき、極めて当たり前のこととして、公務員起業家が想起で出来るのです。 そもそも、従来から起業家は一般的に市民(私人)が担って来た訳で、改めて紛らわしい市民起業家なる言葉を使うこと自体が、意味不明になり勝ちであると考えるものです。 但し、起業後の実務を担うのは、NPOや企業などの市民セクターであり、公務員起業家は市民を支えることに加え、行政の上層部や議会対策などを進めていく役割を持つことを考慮する必要があります。
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