「文化経済学、環境創造などの書評」


 

書評−03:地域おこし−1(9年5/31更新)

書評−04:文化経済学−1(9年4/1更新)

書評−05:環境造り(9年7/26新規)



 ”書評−03:新しい地域おこし、まちづくり”

 ”新しい地域おこし、まちづくり”の分野の書物をそろそろ紹介してみたい。最近、本命らしい方向の”まちづくり”を指向 する市町村が増えて来た。これに呼応して、B−ingすらこれに関連した求人を載せ始めた。

 この関係の書物も、大きく分けると2種類ある。同じコンサルタントが、時代と共にコンセプトを変えてきているのが時代の変化を対比出来て面白い。
 一つは、従来からあるアプローチの経済・産業振興中心のコンセプト。もう一つは、文化中心のアプローチ。何れも事例を元に分析、今後の指針を導いている。ここでは評者がお薦めの、新しいコンセプトを使った”地域づくり、まちづくり”を紹介する。
 

 C:「山田村の行進曲はインターネット」(くまざさ社)

   −村民の意識革命と地域おこしへの道とは?:倉田勇雄著−

    ・あの有名な山田村、本当は心のエンジン回転率日本一の村です。
    ・山田村のホームページの感想をメールしたら、本の中にこれが掲載されました。
    ・そこで、
著者のホームページにもリンクしました。

 B:「共生時代の地域おこし・まちづくり」(ビジネス社)

   −互恵と調和の社会を目ざして:船井幸雄編−

    ・著名なコンサルタントが12事例を取り上げている。事例の紹介は各地域の関係者が記述
     しているので、当事者の迫力が感じられる。
    ・評者の指向する、地域文化・地場産業・環境保全の融合的アプローチと基軸を同じく
     しており賛同出来る。

 A:「都市づくりの発想」(丸善ライブラリー)

   −世界に見るカルチャーシティー:井上繁著−

    ・この人もこの分野で地道にコンサルタントを続けている。
     従来型の経済・産業中心のアプローチの地域おこしを長年手がけてきた人でもある。
     最近、時代の変化をフォローする如く、新しいアプローチを採用した様子である。
    ・生活の豊かさとゆとりを求める人々が魅力を感じるものを、世界60都市以上巡って
     調査し、16都市を紹介している。
    ・アメリカから4都市、ヨーロッパから12都市。本当の先進国のあり方を学ぶきっかけが
     得られると思う。

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 ”書評−04:文化経済学関連”

−生存している人から生活している人への変身をかけて−

 皆さん自分の生活に満足していますか、自分なりの人生を歩んでいますか。何か疑問のある人は以下に注目してみてくがさい。

 ”文化経済学”、聞いたことある人は少ないと思います。結構古いものですが、あまり注目されていません。 しかし、正に今日、新しい「日本を創るために必要な考え方」と言って良いのではないでしょうか。
 ケインズを越える経済学として、”制度経済学”なるものが台頭してきた様子もあるが、これとは趣が異なるようです。 日本では、経済学者の間でも認知されていないようですが、生活者としていち早く認知しておきたいものです。

 逆に、現在の様に殆どの経済学者が”文化経済学”について関知していないような生産者中心経済が主流の間は、 この国が新しい社会パラダイムの中で、はたして文化的にあるいは質的に発展するのかと言う疑問がわいて来ます。 しかし、書評−3で紹介した書物を見れば現場ではすでに動いていることを認識しないといけないようです。 芸術・文化と経済・産業は相互補完の関係にあることを念頭に、以下の書物を紹介します。まずどれか1冊でも目を通してみてください。

 なお、このあたりに興味がある方は是非次の論文もどきに目を通して頂ければ幸いです。 :「高質」について考える:基本検討



AA:「文化経済学を学ぶ人のために」(世界思想社)

    ・池上惇と山田浩之の編による、多数のこの方面の専門家の共著。多面的な理解に有効な著書。
    ・地域経済の活性化のためがキーワードとして取り上げられている。
    ・A以下の書物よりは、ややアカデミックな記述になっている。

 A:「文化経済学のすすめ」(丸善ライブラリー:001)

 −文化と経済、その一見相反する世界が、現代社会において融合し、
                     人の心と質の経済学として育ってゆく−
 池上惇著

    ・ライブラリー一号として発行された。一般的な啓蒙向けで、この道の先進書と言えよう。
    ・人々の生活、地域活動、企業と文化、及び教育・福祉・行政面など広範にわたり考察し、
     さらに、芸術・文化の創造、発展のための社会政策、資源配分の問題に言及している。
    ・創始者として、イギリスのJ.ラスキン(1818−1900)を紹介している。
    ・ラスキンは、人間が生命力を高める(いきいきと生きる)には、財の固有価値
     (intrinsic value)を活用して自分の栄養にしたり楽しんだりする能力が発達する
     必要があると考えた。
    ・つまり、生活者(消費者)が、いかに自分の「文化享受力」を身につけるかが社会の
     発展につながっていると言うことである。

 B:「豊かさの文化経済学」(丸善ライブラリー:077)

    ・松原隆一郎著。これ以下3冊も、同じく丸善ライブラリー。
    ・「物の豊かさ」から「心の豊かさ」へ。具体例を挙げながら、文化と経済の関係を論じ、
     「豊かさ」とは何かを考える。
    ・Aの文献の基本に対して、日本に合った一般人向けの現実的アプローチを提唱していると
     見ることが出来る。
    ・複数の組織に属して趣味を持ち、また社交上の礼儀を修得することが重要と説く。・・・賛成

 C:「生活の芸術化」(丸善ライブラリー:093)

   −ラスキン、モリスと現代− 池上惇著
    ・芸術は、私達の日常の中に生きているものではないだろうか。
     「生活の芸術化」を提唱したモリスやラスキンの考え方を参考に、
     現代日本の芸術や生活が直面している問題を解いている。

 D:「情報社会の文化経済学」(丸善ライブラリー:209)

    ・これも池上惇著である。
    ・マルチメディアなどによる情報技術の発展が、経済学を「エコノミックアニマル」に
     象徴される非人間的なものから、「愛と尊厳をになう人間性回復の経済学」へと発展
     させると説く。
    ・経済発展が、人々の幸福につながる新しいルネッサンスを現実なものにする可能性を発見

 E:「負のGNP」(騎虎書房)

    ・あの竹村健一が言う。「働けば働くほど貧乏になる国・日本」
    ・この意味をじっくり考えたい。「自分の時間を持て!、自分への投資を忘れるな!」

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 ”書評−05:環境造り”

 自然環境あるいは自然環境を保全し、改善していくためには「生物の多様性」の維持が重要といわれる。 これには、森林の破壊を防ぐだけでなく積極的な森つくり等も必要と思われる。この分野について今後紹介していきたい。

 B:「森はよみがえる」(講談社現代新書:1220)

   −都市林創造の試み−石城謙吉著

    ・生き物たちの命を育み、水の恵みをもたらす緑の森が、都市化の中で荒廃していく。
    ・失われてゆく「里山」の復興をめざし、北海道苫小牧の地で進められている都市林作りの実践レポート。
    ・思い入れを押さえるが如く淡々と話はすすむが、素晴らしい実験であり実践でもある。
    ・日本中でこの実験が進行すると、地球レベルでの環境保全にまで続いていきそうな気配が感じられる。
 

 A:「生物多様性」(岩波同時代ライブラリー:227)

   −生命の豊かさを育むもの−堂本暁子著

    ・環境破壊や人類滅亡を防ぐ新しい視点として「生物多様性:バイオダイバーシティ」を説く。
    ・政治家そしてジャーナリストである堂本暁子が、その体験を書き下ろした渾身の作。全ての人に一読を薦めたい。
    ・森の民としての日本人の心をとり戻したい。日本人の自然観、倫理観を問われて、失いつつある独自のメンタリティに
     思いを馳せる。
    ・評者は持続性ある開発(Sustainable Development)との関連で、地域における産業・文化の振興と環境保全の融合が
     ポイントになると考えている。
    ・「森の会」で月一回研究会が行われているとのこと。
       ファックスの連絡先:03−3812−0881

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