以前から指摘されている、官僚の常識「事なかれ主義」に見られる「たとえ曖昧な資料でもやっていればいい」を適正する事も出来ないでいる政府閣僚や縦割りの行政機関は、つい先日の茶番劇、某大臣「牛を食えパフォーマンス」の失態も懲りずに、某知事のだめ押しとも見られる「タレント牛肉PR事件」の手段で真相がお解りと思います。「世評だけを盛り上げれば周囲は簡単に付いてくる」とでも言うのでしょうか?・・・あまりにもお粗末で国民としては、バカにされたままと言う屈辱感をぬぐい去れないで居るのに、政策は業者への同情だけを拡大解釈させる努力をしている内に第3の狂牛病が出てしまいました。
 この問題は難しく考える事はないのです。1件も事故が起きない為に過去の認可済みの13万頭の牛全てを完全な検査を済ませてから出荷するか、全て消却処分するか、又は食べる事の無い用途に使用して、「今までの心配要素はもう何もありません、これからはこの管理体制で行きます」という整然とした姿勢を出し、透明感のある明らかな行政をすれば良いだけなのです。官僚や政治家の利害が国土の将来を歪めて行く以上、残念ですが自己防衛として「今は食べないコト」しか改善策・対抗手段は無いのかも知れません。 今回は各報道機関が出した記事や厚生労働省が出しているQ&A等を読んで、健康な国家ならあるはずの正常な環境を見つける為の方法を各自検討し、今後に備えた賢い判断をして行きたいと思うのです。


プリオンなぞだらけ 「牛から人へ」疑う論文も[朝日新聞2001/10/19]
 狂牛病を引き起こす病原体プリオンはなぞに包まれたたんぱく質だ。立体構造が変わって異常型になると病原性をもつことはわかっていても、発病の仕組みは未解明。そもそも正常型プリオンの働きすらはっきりしていない。人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の原因とされるが、牛から人への感染を疑う論文も発表されている。
 ●発病妨げる効果期待−理研
 健康な牛は正常なプリオンをつくっている。だが、ひとたび異常型に感染すると、正常型も立体構造が変化して異常型になり、どんどんたまっていく。
 プリオンの役割は何だろうか。銅イオンを細胞内に輸送するという説がある。マウス実験で、プリオンをつくる遺伝子をなくすと脳内の銅イオンが減少したからだ。
 その結果、酸化ストレスを受けやすくなり、細胞が死んでいくという。細胞が外からの信号を受ける分子という考えもある。異常になると受けられず、酸化ストレスに弱くなる可能性がある。増殖、蓄積の仕組みもわかっていない。
(1)脳内の正常型が、侵入した異常型とくっつくと次々と異常型に変化して増えるという説=図=
(2)異常型が凝集して「核」を形成すると、正常型を次々と取り込んで異常型に変えるとの説がある。
 発病しても早期診断ができない。どんな経路で中枢神経に入って細胞死を招くのかも明らかではない。
こんななぞだらけのプリオン病だが、治療法の研究が進んでいる。
 正常型に異常型が結合して異常型が増え、発病する。それなら、結合を邪魔してやれば治療法につながるのではないか。
 理化学研究所の岩浪直子・基礎科学特別研究員は、薬用植物や微生物など1千種類以上を調査。ハッカや、藻類の一種に含まれる成分が正常型にくっつくことを見いだした。
 培養細胞を使って異常型への変換を妨げる効果を確認。動物で実験することを考えている。
 ●症状くいとめる初の臨床試験へ
 人のクロイツフェルト・ヤコブ病を対象に、厚生労働省の研究班(班長=堂浦克美・九州大助教授)が計画する国内初の臨床試験は二通りある。
 一つは米国でも試験が進められているもので、マラリア薬と向精神薬を併用する。脳には有害物が入らないようにする血管関門があるため、脳に届きやすい薬を選んだ。
 米国では培養細胞を使った実験で効果があったと報告されている。変異型ヤコブ病の患者に試して効果が認められたと報道された。
 日本では福岡大が実施する予定。
 もう一つは泌尿器の病気の薬を脳に注入する。九州大が審議中。初の試みなので患者の安全性とともに医療関係者の対策なども検討している。
 国立精神・神経センター神経研究所の金子清俊・疾病研究第7部長は「認められている薬を使うのは臨床応用への近道で評価できる。患者の切実な願いをかなえることも期待できる。副作用が強いので注意が必要だ」と話している。
 ●「牛から人へ」疑う論文も
 狂牛病と人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の関連を示す証拠は不十分だと指摘する論文が、12日発行の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された。
 英ランカシャー保健局のジョージ・ベンターズ顧問の研究で、変異型ヤコブ病が狂牛病の発生後に出た新型だとする考えに疑問を抱く。変異型ヤコブ病も昔から存在したが、まれなので報告されず、狂牛病の増加で詳しく調査され、統計上、増えたようにみえると結論づけた。
 二つの病気の病原体が同じとする説はすべて間接証拠から導かれ、確固たる証明はない。狂牛病の「始まり」もスクレイピーにかかった羊ではなくて牛という説もある。プリオンが「種の壁」を越えて感染するかどうか。論争はまだ続きそうだ。

自主回収に3基準・厚労省 [2001/10/30 日本経済新聞]
 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の調査会は29日、医薬品などに関する危険度を
(1)発生国かどうかにかかわらず牛の危険部位を薬などに使用
(2)発生国の牛を使っていても危険部位以外を使用していたり、化粧品のように皮膚などに使用
(3)発生国以外の牛で危険部位を使いながら化粧品のように皮膚などに使用――の3つの基準に分けて対応することを決定。
 それぞれ回収の優先度も設定し、(1)は「直ちに回収を行う」(2)は「予防的観点から速やかに回収を行う」、(3)は「可能な限り製品の切り替えを進める」とした。
 届け出のあった製品のうち(1)に相当する製品は医薬品5品目、医療用具39品目ですべて26日までに回収済みという。(2)に相当する製品は827品目、(3)は3064品目あり、このうち計1362品目は26日までに回収に着手。化粧品、医薬部外品が9割以上を占めている。
 同省は昨年12月に予防的措置として、狂牛病が発生している国やリスクの高い国を原産国とする牛などを医薬品などの原料にしないよう指導するとともに、原産国にかかわらず、特定危険部位を含む感染の可能性が指摘されている14の危険部位については使用しないよう通知。国内で初めて狂牛病の牛が見つかったことを受け、同省は今月2日、各メーカーに対してこの通知の基準の徹底を指示するとともに、基準を満たしていない場合は自主回収を求めている。

狂牛病対策、1500製品以上を自主回収・厚労省調[共同通信〕
 厚生労働省の狂牛病対策に基づき、国内の製薬、化粧品メーカーなどが自主回収を届け出た医薬品や医療用具、化粧品などは、これまでに約160社の1500製品以上に上ることが28日までの同省の調べで分かった。
 いずれも予防的な措置で、過去に使用した人に健康被害が出る恐れはないとしているが、牛を原料にした製品が広範囲に流通していたことを示している。同省は、29日に開く薬事・食品衛生審議会の会議で、これまでのメーカー各社の対応状況を検討する。
 同省は今月2日、昨年12月から規制してきた計約30の狂牛病発生国や高リスク国に、日本やリスク不明国を新たに加え、計65カ国の牛や羊を使った医薬品、医療用具、化粧品、医薬部外品の製造や輸入を規制する通知を出した。
 脳や脊髄(せきずい)、胎盤など危険性があるとされる14の部位の使用は原産国を問わず禁止で、医療機関などで使われていないか調査を行い、使われていれば回収するよう指導していた。
 メーカーや輸入業者による報告をまとめると、自主回収が最も多いのは化粧品と医薬部外品で、どちらも約730-740製品。
 多くは、牛の胎盤から抽出したプラセンタエキスを使った製品で、「美白」効果をうたったクリームやローションのほか、養毛剤や入浴剤などもあった。
 医薬品は約70製品で、牛の血液や心臓、胆汁から抽出した物質を使用したもの、医療用具は約50製品で、腸を原料にした手術用の縫合糸が多かった。
 同省は、狂牛病発生国の牛などを原料にできるのは、使用する牛に狂牛病の疑いがないことなどが科学的に証明された場合に限るとしている。

食品9社、特定危険部位使用の22品を回収・販売中止 [2001/11/3 日本経済新聞]
 狂牛病問題で、加工食品メーカー9社が、感染する可能性の高い牛の脳やせき髄などの特定危険部位を原料とする計22品目の製品を自主回収したり、販売中止としていたことが2日、厚生労働省の最終まとめで分かった。同省は今後、報告内容の検討を進め、疑問があれば、事実関係を確認するためメーカーへの立ち入り調査を行う方針。
 同省には、加工食品メーカーなど8980社から計13万2645品目について報告があった。このうち、「特定部位の混入があった」とする製品は51品目で、「混入の有無を確認できず」は373品目に上った。
 両者を合わせた424品目の中で、402品目は狂牛病の発生していない国の原材料を使っているか、病原体となるたんぱく質「異常プリオン」の感染性をなくす高圧高温処理などの措置が取られていた。残る22品目について、自主回収や販売中止が行われたという。
 同省が先月18日に公表した中間まとめの時点では、自主回収や販売中止のメーカーは4社だったが、新たに北海道上磯町の「時兼畜販」と、東京都調布市の「大地」の製造委託先の4社の計5社で商品を自主回収していたことが判明。最終的には9社となった。
 「大地」は会員向けに有機農産物などを宅配する会社で、カレールーや肉まんなどの中華総菜に使っていた「牛骨エキス」に、せき髄が混入していたという。2日夕、東京・霞が関の厚労省内で記者会見した同社は「産直で安全を確認している国産牛のせき髄だったが、念のため自主回収した」と説明している。
 一方、厚労省は中間まとめで報告内容に疑問のある1527社について、管轄の保健所を通じて立ち入り検査を行った。その結果、報告と実際に使われている原材料とが違っているため、訂正を指導したケースが5件あった。ただ、いずれも狂牛病の未発生国の牛で、自主回収や販売中止の対象になるものはなかったという。
 同省は最終集計の内容をホームページ(http://www.mhlw.go.jp)で公表している。

加工食品 安全性の確認
    牛肉を追う、―食品メーカーは
[朝日新聞10/07]
 牛エキス、牛脂、ゼラチン……。牛はさまざまな食品の原料になっている
 牛を原料とする食品に、狂牛病の特定危険部位が使われていないか総点検し、使われていれば自主回収するよう、厚生労働省が食品メーカーに求めている。メーカーの中には、危険部位を使っていない食品でも、原料を牛以外の動物にしたり、非発生国原産の牛に切り替える動きも出ている。対応状況をメーカーに聞いた。(「牛肉を追う」取材班)
 牛肉や骨を煮込んで作る牛エキスは、幅広い加工食品に使われている。
 即席めん スープに使う牛エキスに国産牛の肉を一部使っていたサンヨー食品は、9月末、狂牛病が発生していない米国、オーストラリア、ブラジル産に切り替えた。カップめんの具の乾燥牛肉は、以前からオーストラリア産。「もともと危険部位は使っていなかった。だが、お客様の誤解や不安解消のため、海外産にした」 明星食品は、国内で狂牛病発生が確認された段階で、牛エキスの納入業者に安全性を確認。危険部位を使っていないという文書を業者から取り寄せた。
 スナック菓子 カルビーは一部のスナック菓子の調味料として、牛エキスやビーフパウダーを複数のメーカーから仕入れている。国産のほかオーストラリア、米国、中国産の牛が原料になっているという。「メーカーを通じて産地や使用部位を調査中。1週間以内には結果をまとめたい」
 明治製菓は、ビーフ風味のスナック菓子のほか、カレーなどのレトルト食品、カルシウムやコラーゲンのサプリメントなどに牛を使った原材料を使用。9月中旬以降、原材料を総点検し、「安全宣言してもいい段階」だ。だが、レトルトのビーフカレーやサプリメントは売れ行きが落ち、生産を縮小した。カレーはポークやチキンを主流にし、サプリメントの原料の牛皮は豚皮に、牛骨は魚骨に替えた。スナック菓子の一部は販売を中止。新商品はビーフ味をやめることを検討中だ。「当面牛関係の商品は縮小の方向」だという。
 カレールー 江崎グリコとハウス食品によると、カレールーには牛脂と牛エキス、レトルトタイプには、牛肉も使っている。
 江崎グリコは、牛肉はオーストラリアなど非発生国産を使用。牛脂は、原料供給メーカーから「特定危険部位不使用」の証明書を得た。牛エキスは非発生国からの輸入原料が主。「4日に安全の確認が終わった。ホームページでもその結果を詳しく知らせている」
 ハウス食品もホームページに同様の調査結果をのせている。牛エキスは念のため、海外産か牛以外の原料への転換を検討中だ。
 ソース類 ミートソースやパスタソースに牛エキスを使うカゴメは「牛エキス製造業者に使用部位や入手先などを確認中」と話す。
 缶詰のデミグラスソースやホワイトソースに牛エキスを使用するハインツ日本は「エキスメーカーから危険部位を使っていないと確認がとれた」。急増する問い合わせに、電話回線を増やした。
 ブイヨン ネスレジャパングループも、危険部位を使っていないことを確認済みだ。ブイヨンには牛脂、コンソメには牛エキスを使っている。同じくブイヨンなどを作る味の素は、自社生産や他メーカーから仕入れた牛関連の原材料について社内調査を進め、特定危険部位の使用はないことを確認した。牛エキスについても「狂牛病発生地域以外の原産で、安全と言われている部位を使っており、安全性に問題はない」。
 ベビーフード 和光堂は、乳幼児用のカレーやゼリーなど二十数品目に、牛肉や牛エキス、ゼラチンを使っている。危険部位は使用しておらず、自主回収の予定はないとしている。
 キユーピーも、製品に含まれる牛エキス、ゼラチン、肉に危険部位を使用していないことを確認。消費者からの問い合わせは1日3百件にのぼり、「消費者が求める安心のために、牛エキスを使わないことも検討する」としている。
 ベビーフードメーカー7社でつくる日本ベビーフード協議会は5日、加盟社の商品について「危険部位は一切使用していない」とする見解を発表した。
 ゼラチン ゼリーやババロアに使うゼラチンを「ゼライス」の名で販売するマルハによると、原料は国産の豚の皮100%。消費者からの問い合わせにも、「以前から豚皮を使っている」と答えている。
 新田ゼラチンは、「原料は牛の骨と皮、豚の皮。危険部位は使わず、狂牛病非発生国産を使っている」。
 健康食品 ファンケルは、錠剤型などコラーゲンを使った食品を5種扱う。「国産の原料もあるが、国際基準にのっとって化学処理している。ゼラチン製のカプセルも、納入メーカーから安全との報告を受けた」。1日1500件の問い合わせがあり、会員誌や店頭で詳しく情報提供していく。
 森永製菓もコラーゲン入りサプリメントの原料の安全確認を終えた。「貝殻を原料にしたカルシウム食品も念のため調べた。消費者の不安があるうちは、牛原料は他に切り替えていく」
 ●牛肉・医薬品の対策
国際獣疫事務局は、狂牛病感染の危険がある部位として、脳、せき髄、目及び回腸遠位部(小腸の最後の部分)を指定している。厚労省は、生後12カ月以上の牛の頭がい(舌、ほお肉を除く)とせき髄、またすべての牛の回腸遠位部を食肉処理の際に除去し焼却することにした。18日からは、生後30カ月以上の牛を対象に食肉処理の際の検査を始め、さらに、すべての牛に対象を広げる方針だ。  ほかに、医薬品と化粧品について、原材料に国産牛のすべての部位を使うことを禁止した。注射などで直接体内にとりこむことがあり、食品より厳しい対応になっている。

店頭の牛肉に識別番号 牧場まで追跡も可能 [共同通信11/04]
 狂牛病問題で失った牛肉への信頼を取り戻すため、農水省は四日までに、小売り段階の牛肉にも識別番号を付け、消費者が産地や育った牧場など゛肉の生い立ち″を追跡できるシステムの開発に乗り出した。
 同省は九月に国内初の狂牛病感染が確認された後、すべての牛に識別番号を付け、生存中の移動歴などを本年度中にデータベース化することを決めたが、新たなシステムは食卓に届く小売り肉まで追跡範囲を広げる試み。
 年明けには北海道の牧場と大阪の店頭を結んで試験事業を行い、実用化を急ぐ。今後、野菜や加工食品でも同様の実験を予定しており、欧米に比べて遅れを指摘されてきた日本の食品管理体制の見直しにつながりそうだ。

 このシステムは「トレーサビリティ(追跡可能性)」と呼ばれ、欧州連合(EU)が狂牛病問題をきっかけに二○○○年、牛肉への導入を加盟各国に義務付けた。先進地のフランスでは野菜や魚介類などにも対象が広がっている。
 食品への信頼感が高まるほか、食中毒などの際、出荷ルートをすぐに特定できる利点があるという。  農水省消費生活課によると、今回のシステム開発と試験事業は全国農業協同組合連合会(全農)に委託。十一月中に学識経験者や厚生労働省の担当者らと検討委員会を発足させ、具体的な追跡方法を決める。
 北海道の牧場から全農の流通ルートで大阪府内の生協の店舗に届く牛肉を使い、システムの実用試験を行う。最終的には、消費者がインターネットのホームページで、購入した肉の産地や加工場所、品種などを検索できる仕組みを目指すという。  同省は、O157の集団食中毒などの教訓から、本年度から米やトマト、卵の加工食品などのトレーサビリティの研究を始めた。牛肉は来年度以降に予定していたが、狂牛病問題を受け、急きょ前倒しで取り組むことにした。
 狂牛病問題では、農水省は感染牛と一緒に育った牛の追跡に手間取り、感染ルートも不明のまま。消費者団体からは、トレーサビリティ導入を求める要望が同省に寄せられていた。(了)

肉骨粉 ペットフードと肥料を解禁 [毎日新聞11月2日]
 農水省は1日、狂牛病(牛海綿状脳症)対策で流通・使用が全面禁止された肉骨粉の取り扱いに関して、豚や馬、鶏など家きんから製造した肉骨粉のペットフードと肥料への製造・出荷を認めると県などに通知した。同省のBSE(狂牛病)対策検討会の見解を受けた措置。
 また、豚・馬・鶏の血粉と血しょうたんぱく、鶏の肉骨粉であるチキンミールとフェザーミール(羽毛粉)を豚や鶏に飼料として使用することを認めた。同日付で改正省令を公布・施行し、全面禁止の一部を解禁した。農業資材審議会の答申を踏まえて実施した。 【塚本弘毅】

危険部位使用食品、回収・販売中止は22品目 メーカー最終報告 [毎日新聞11月2日]
 狂牛病対策で、厚生労働省は2日、加工食品への牛の特定危険部位の使用・混入の有無についてメーカー側に確認を求めた結果の最終報告を発表した。牛を原料にした13万2645品目のうち、国産牛の危険部位を使用し、自主回収・販売中止などの措置を取られたのは22品目だった。しかし、プリオンの具体的な無害化方法などを記入していない不十分な報告もあるため、同省はこうしたメーカーへの立ち入り調査を各保健所へ指示し、改善を求めている。
 同省によると、回収の対象のうち17品目は、東京都に本社を置く有機農産物流通会社グループのカレールーや水ギョウザ、シューマイなどで、せき髄などを原料にした牛骨エキスが使われていた。グループ側は「(狂牛病の感染源とされる)肉骨粉は一切使っていない。エサは草を中心にした粗飼料で、抗生物質も極力使っていない」と説明している。
 特定危険部位の使用・混入は22品目を含め51品目、不明も373品目の計424品目あったが、うち402品目は狂牛病の未発生国の原料を使ったり、プリオンの無害化処理をしていた。牛を原料にした加工食品のメーカーは全国で約1000社に上るという。
 メーカーの報告内容は、同省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp)で公表されている。

肉骨粉食べた牛、安全なの?…宣言後も出荷停止、国指導に農家不満 [毎日新聞2001年11月5日東京朝刊から]
 狂牛病(牛海綿状脳症)の有力な感染源とされる肉骨粉類を与えた牛を出荷しないよう国が指導していることに、農家から強い不満の声が上がっている。「餌に使った」と正直に申告したばかりに、先月18日の全頭検査開始後も出荷を差し止められているためだ。全頭検査を理由とする「安全宣言」から半月。その触れ込みと矛盾する行政の姿勢が、現場を戸惑わせている。
 肉骨粉類を与えられていたのは、25道府県の9590頭。これらの牛について農水省は先月28日「引き続き出荷の繰り延べを」と、自治体を通じて農家に指導した。「全頭検査をしているから理屈の上では大丈夫だが、消費者の不安を考えると出荷自粛の継続はやむを得ない」(同省畜産部衛生課)という説明だ。
 これに収まらないのは農家側。「蒸製骨粉」を牛に与えていた茨城県の酪農家は、乳の出が悪くなった乳牛2頭を食肉用に出荷しようとしたが、県の担当者から止められたという。
 この農家は「そもそも肉骨粉類を使うなという指導すら知らなかった。消費者のことを考え、正直に告白したのに、そのために不利な扱いを受けるのは心外だ」と憤慨。「これでは農家も真実を話せなくなる」と、肉骨粉類の使用実態がさらに不透明になる可能性も指摘する。
 国の指導を農家に伝えた岩手県の担当者は「もともと出荷自粛は『検査体制が整うまで』という前提だったのだから、早く解除してほしい」と農家に同情的。農家サイドからは出荷自粛で農家が被る損害の補償を求める声も出始めており、行政にとって頭の痛い問題がまた一つ増えた格好だ。【衛藤達生、鈴木賢司】

 ◇指導は正しい−日本子孫基金の小若順一事務局長の話  農水省の指導は正しいと思う。そもそも全頭検査が完ぺきではないからだ。36カ月以下の牛は検査でも発病がわからず、欧州では30カ月未満の牛を検査対象からはずしている。食卓に上る牛は100%安全ではないのだ。
 ◇やむを得ない−寺田厚・日本獣医畜産大教授(食品衛生学)の話  理屈の上ではすでに全頭検査を実施しているので出荷しても大丈夫だと思うが、それでは消費者は安心しないだろう。風評被害がもっと拡大する恐れがあり、国の指導はやむを得ないと思う。ただ、本来ならば国が肉骨粉類を与えられた牛を買い上げるなどするのが一番いいと思う。

牛は農水 肉は厚労、タテ割りで混乱(対策はなぜ遅れたか)
     「人は肉骨粉食べないから大丈夫」
[朝日新聞09/20]
 日本で初めて狂牛病の疑いがある牛が見つかってから1週間あまり。農水省、厚生労働省の対策が出そろったが、問題の牛と同じ牧場で育った牛の焼却処分が決まるなど、波紋が広がっている。対策がなぜここまで遅れたのか。これで「食の安全」は守ることができるのか。問題点を改めて検証する。

●「肉骨粉に」情報2日放置
 14日午後6時すぎ。「なにをやっているんだ」。農水省3階の大臣室で武部勤農水相の怒声が響き渡った。同省が狂牛病の疑いのある牛を「焼却処分した」と発表したのが10日。千葉県が12日に「茨城で肉骨粉にされた」と農水省に報告したファクスはまる2日、担当者の机の上に放置され、発表は2日後だった。
 狂牛病騒動の発生から、農水省の対応は混乱続きだった。牛が家畜でいる間は農水省、食肉に加工する段階からは厚生労働省。こんな縦割り行政が「狂牛病は人に感染する可能性があるのに、酪農家の立場でしか考えない。人は肉骨粉を食べないから大丈夫と軽く考えたのだろう」という声が内部からあがるほどの鈍感さを招いたようだ。

●「人の口に入る食物の安全は厚生省管轄」
 「農水省の役割は家畜のえさの安全を守ること。人の口に入る食物の安全は厚生省(現厚生労働省)の管轄」
 欧州での狂牛病騒ぎを受けて今年初め、欧州産の肉や医薬原料などすべての牛製品の輸入禁止が決まった際、農水省幹部の口から出たことばだ。「厚生省はコスト度外視で動く。過剰反応して、牛製品の流通まで止めれば農家や食卓にとって大きな打撃だ」とも述べた。
 6月には、狂牛病のまん延を防ぐため、EUが進めていた危険度調査を「発生がないのに高いリスクと評価されるのは不本意」と断っている。
 一方、厚労省が牛の全数調査を決めたのは、狂牛病疑惑の発表のあと、連日のように消費者からの「肉は大丈夫か」との電話攻勢にさらされたからだ。薬害エイズをはじめ、「O157や雪印事件など、消費者からの厳しい批判は身にしみている」(厚労省)という経験が今回の判断になったようだ

●EUは「二正面作戦」
 「EU(欧州連合)並みの措置をとった」と厚生労働省が引き合いに出す欧州の狂牛病対策は「二正面作戦」だ。
 第一は感染牛が消費者の口に絶対に入らないよう、流通ルートに「関門」を設けた。厚労省の新方針のモデルである。
 EUでは、さらに、脳、せき髄など「危険部位」を食用から除外。大発生した英国では96年、生後30カ月以上の牛の食用を禁止にした。
 第二は、牛の間でのまん延の防止だ。狂牛病の「運び屋」は英国が輸出した牛や羊の肉骨粉とみられ、これを食べた世界各地の牛に病気が広まったと考えられている。
 農水省は18日、肉骨粉の牛のエサへの使用を法律で禁止したものの、ニワトリや豚には認めている。これに対し、欧州はあらゆる家畜のエサへの使用を禁じている。ニワトリ向けと言っていても、牛のエサに混入するおそれがあるからだ。
 狂牛病問題に詳しい山内一也・東京大名誉教授(ウイルス学)は「肉骨粉はわずか0・1グラムが混入するだけで、牛1頭に感染が起こる。全面禁止しない限り、危険性は排除できない」と感染力の強さを指摘する。

●業界に配慮 残る肉骨粉
 農水省が全面禁止に踏み切れない背景には、肉骨粉製造業者への配慮がある。大半が零細業者で、肉骨粉や油脂で年間約310億円の売り上げがある。
 「全面禁止されたら、業界は立ちゆかなくなる」と関係者は不安がる。

狂牛病対策率先して自主回収したのに…
社名公表に怒り 厚労省へメーカー 『イメージダウンに』
[東京新聞 2001/11/02]
 狂牛病(牛海綿状脳症)対策として感染危険の高い「特定危険部位」の使用を調べる食品メーカーの自主点検でいち早く自主回収した会社が、厚生労働省に社名を公表されたことに対し「消費者にマイナスイメージで伝わった」と怒りの声を上げている。業績悪化を見込んで、パート従業員の解雇を決めた会社もある。厚労省は二日、メーカーの最終報告を公表するが、再び不満が噴出しそうだ。
 十月十八日の狂牛病検査開始とともに公表された中間報告で、自主回収したのは北海道石狩市の「ホクビー」、青森県三戸町の「スターゼンミートグループ三戸工場」、新潟県長岡市の「タカノ」の三社。いずれも「牛もつ煮込み」などに危険部位の回腸(小腸の一部)が入っていたり、安全が確認できないため、とされた。
 ホクビーの林茂生社長(60)は「厚労省は何を考えているんだ」と怒りをぶちまける。同社は自主点検の通知翌日の十月六日、牛もつ煮込みの製造販売を中止した。牛の内臓を使った同様の商品を生産する企業は、全国で数百社とみられる。だが、中間報告の時点で自主回収はわずか三社。その社名が公表され、イメージダウンになったとする。
 林社長は、狂牛病のために牛肉需要は下半期に二割減とみて、工場のパート従業員二割に当たる四十人を順次解雇している。「社名公表と解雇は直接関係ない」とするが「まじめに優等生でやった方が損をする」と憤まんやる方ない。
 スターゼンは「自主回収でなく、工場や子会社の在庫処分」と青森県などに“抗議”し、厚労省もインターネットホームページで同社の「自主回収実施」を削った。スターゼンの担当者は「公表は慎重にして」、タカノの取締役(40)も「消費者にマイナスでとらえられた」とこぼす。
 厚労省は「(企業の)消費者に対する信頼関係がこの社会の根幹だ」として企業側に自主的な公表を求めているが、中小企業のほとんどが公表していない。同省は中間報告と同様に、最終報告でも社名を公表する方針。

「牛肉控える」6割、82%「政府に問題」 [朝日新聞 10/17]
世論調査
 狂牛病問題について、朝日新聞社が13、14の両日に実施した全国世論調査(電話)によると、4人に1人が牛肉を食べるのをやめ、食べる回数や量を減らすようにしている人を含めると、6割が牛肉を控えている。この病気に少しでも不安を感じている人は全体の9割にのぼり、食生活へ深刻な影響を及ぼしていることがうかがえる。
 政府の一連の対応には82%が「問題があった」と答えた。国内での狂牛病発生を防げず、初感染をめぐって訂正発表を繰り返したことなどが背景にあるとみられる。
 牛肉をこれまで通り食べている人は、全体の26%。これに対し、牛エキスを含む加工食品については「これまで通り」が54%だった。「食べるのをやめた」は28%にとどまった。
 牛肉、加工食品ともに主婦層の4割が「食べるのをやめた」と答えるなど、男性より女性の方に避ける傾向が強い。牛乳や乳製品は、75%が「変わらず口にしている」と答え、牛肉などに比べ、安心感が強いようだ。
 狂牛病への不安をどの程度感じているかでは「大いに」46%、「ある程度」43%。「大いに」は男性37%に対し、女性が54%と高い。農林漁業者層では「大いに」が65%あった。
 狂牛病問題で一番関心があるのは「人への感染」が35%で最も多く、次いで「食品の安全性」が26%、「感染ルートと広がり」が20%。「畜産など業界への影響」は16%だったが、農林漁業者層でみると4割で最も多い。

【1】狂牛病:
肉骨粉与えた牛の出荷停止を指導、国・安全宣言後も
[毎日新聞[2001.11.05.03:01] 
 狂牛病(牛海綿状脳症)の有力な感染源とされる肉骨粉類を与えた牛を出荷しないよう国が指導していることに、農家から強い不満の声が上がっている。「餌に使った」と正直に申告したばかりに、先月18日の全頭検査開始後も出荷を差し止められているためだ。全頭検査を理由とする「安全宣言」から半月。その触れ込みと矛盾する行政の姿勢が、現場を戸惑わせている。
 肉骨粉類を与えられていたのは、25道府県の9590頭。これらの牛について農水省は先月28日「引き続き出荷の繰り延べを」と、自治体を通じて農家に指導した。「全頭検査をしているから理屈の上では大丈夫だが、消費者の不安を考えると出荷自粛の継続はやむを得ない」(同省畜産部衛生課)という説明だ。
 これに収まらないのは農家側。「蒸製骨粉」を牛に与えていた茨城県の酪農家は、乳の出が悪くなった乳牛2頭を食肉用に出荷しようとしたが、県の担当者から止められたという。
 この農家は「そもそも肉骨粉類を使うなという指導すら知らなかった。消費者のことを考え、正直に告白したのに、そのために不利な扱いを受けるのは心外だ」と憤慨。「これでは農家も真実を話せなくなる」と、肉骨粉類の使用実態がさらに不透明になる可能性も指摘する。
 「血粉」を与えていた新潟県の酪農家も「出荷自粛がいつまで続くか分からないのでは、たまらない」とこぼす。
 国の指導を農家に伝えた岩手県の担当者は「もともと出荷自粛は『検査体制が整うまで』という前提だったのだから、早く解除してほしい」と農家に同情的。農家サイドからは出荷自粛で農家が被る損害の補償を求める声も出始めており、行政にとって頭の痛い問題がまた一つ増えた格好だ。【衛藤達生、鈴木賢司】
 寺田厚・日本獣医畜産大教授(食品衛生学)の話 理屈の上ではすでに全頭検査を実施しているので出荷しても大丈夫だと思うが、それでは消費者は安心しないだろう。風評被害がもっと拡大する恐れがあり、国の指導はやむを得ないと思う。ただ、本来ならば国が肉骨粉類を与えられた牛を買い上げるなどするのが一番いいと思う。
 日本子孫基金の小若順一事務局長の話 農水省の指導は正しいと思う。そもそも全頭検査が完ぺきではないからだ。36カ月以下の牛は検査でも発病がわからず、欧州では30カ月未満の牛を検査対象からはずしている。食卓に上る牛は100%安全ではないのだ。肉骨粉を食べた牛のヤミ出荷を防ぎ、ひん死の農家を救うためには、英国が行ったように、国が問題の牛を買い上げて農家に全額補償するしかない。


2001年9月25日
厚生労働大臣 坂口 力 様                                                                   全国消費者団体連絡会事務局長 日和佐信子
                                                                                                         〒102-0085東京都千代区六番町15プラザエフ6F
                                                                                                                TEL 03-5216-6024 FAX 03-5216-6036
 狂牛病に関する要請と質問

  千葉県で発見された狂牛病の疑いがある乳牛は、イギリスでの最終検査の結果狂牛病であると判定されました。予想されていたこととは言え、大きな驚きと不安を感じます。狂牛病が日本で発生する危険性は、EUの専門機関などから以前より指摘されていました。また、この間消費者団体からは、検査の徹底や情報の公開などの要請も出されていたところです。しかし、それにも関わらず迅速に適切な対策がとられないまま、今回の狂牛病発生に至ったことは本当に遺憾に思います。また、農林水産省の説明会直後、問題の牛が肉骨粉処理されていた事実が発覚し、説明内容と大きくくい違ったこと、処理の内容があまりにも非常識であることなど、この問題に対する無責任さ、管理のずさんさが露呈しました。
私たちは日ごろより食品の安全、安心を求めています。狂牛病とはっきり判明した今、消費者の安全性への不安は益々増大する可能性があります。農林水産省と厚生労働省が連携を密にし、発生の原因究明とその徹底対処、そして今後の発生を完全に食い止めるよう、全力で臨んでほしいと思います。
私たちは、安全最優先の対策をとっていただきたく、厚生労働省に以下のように 要請と質問を致します。
 質問へのお答えは、可能な限り早急にお願いします。

<厚生労働省への要請と質問>
牛肉は安全といわれていますが、日本の牛肉を輸入禁止にする国々が出たり、学校給食で牛肉の使用禁止を決めるところも出てきており、安全性への不安がひろがりつつあります。また、問題の牛が狂牛病であると判明したことで、今後、益々不安が増大することも考えられます。安全である根拠を、改めてきちんと示す必要があると思います。
処理場で生後30ヶ月以上の全ての牛を対象に、異常プリオン検査の実施を決定したことは、評価に値します。しかし、30ヶ月直前の出荷が増える可能性や、牛の月齢が正しく判定されない可能性など心配が残ります。処理場での狂牛病検査は、全数を対象に実施してほしいと思います。処理場での検査が、安全な牛肉の保証につながるよう、万全の措置をお願いします。

(要請)
1. 処理場での狂牛病検査は、全ての牛を対象に行って下さい。
2. 処理場で行われる異常プリオンの検査は、確かな方法と技術で、もれなく行って下さい。
3. 牛の月齢が正しく申請されるよう、審査をしっかり行って下さい。
4. 万が一狂牛病と確認されたときは、焼却処分を確実に行って下さい。
5. 正確かつ迅速な情報公開、情報提供をして下さい。また、必要に応じて説明会など開いて下さい。
以上5項目よろしくお願いします。

(質問)
1. 牛肉は本当に安全ですか? その根拠も教えて下さい。
2. 牛が解体される際、危険部位が食肉とされる部分に接触するようなことはありませんか?
危険部位の取り除き方も教えて下さい。
3. 処理場での狂牛病検査を、今後全数行う予定はありますか?
4. 検査員の増員は考えていますか?
5. すでに解体処理され、食肉用として保管されているものについては、検査されますか?
6. 「狂牛病検査済」の表示はされますか?
7. 牛由来の原料を用いたサプリメントの安全性は、どのくらい調査されていますか?
8. 情報公開、情報提供は、今後どのようにしていく予定ですか?
説明会を開く予定はありますか?
以上8項目よろしくお願いします。
以 上



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