3.心不全の看護
心不全の症状をチェックし,心臓への負担をいかに少なくして,無理のない生活を送ることが大切となってきます.歩行可能期の段階でも運動機能が保たれているだけに,心臓への負担が大きいこともありますので,日頃の安静時の状態(脈拍数・呼吸数・爪の色など)を知ることにより,心不全悪化の予防ができます.
心症状として,下記のようなことがあります.
- 脈拍数は 1分間に 100以上に増え,胸がドキドキしたり,不整脈がでたりする.
- 呼吸数は増え,体を動かす時に息苦しさを感じる.
- 爪の色は白く,手足は冷たく,皮膚は湿っぼくなる.
- 体がだるく,食欲がなくなる.
- 咳や痰がでる.
- 足がむくみ,尿の量が減る.
日常生活上の注意点としては,下記のようなことがあげられます.
- 適度の安静を保つ
日常生活で休息時間を作る.
可能ならば仕事の時間を短くする.
感情的なストレスをできるだけ避ける.
- 指示された運動プログラムに従って運動を行い,体力を維持し循環をよくするよう に努める.
- 感冒は心不全症状を悪化させるのでひかないように注意し,ひいた場合はすぐに医 師に報告する.
- 過度の飲食を避ける.とってよい食べ物や飲み物を自分でよく知っておく.
適当な体重を維持し,食後は休息をとる.
- 処方された通りに,強心剤や利尿剤を正しく服用する.
- 水分の貯留を調べるために,毎朝同じ条件のもとで体重を測定する.
- 指示された通りに,塩分制限( 1日小さじ 1杯程度)をする.
- 足のむくみがある場合は,むくみを減らすために足を心臓より高くしないこと.高 くすることにより,心臓へかえる血液量がふえるので心臓の負担が大きくなる.また, むくんだ足は,冷たく知覚が鈍くなっているので,アンカの使用は熱傷の危険がある ので,柔らかい肌触りのよい布で包むようにする.
- 入浴は40度のお湯で.短時間で終える.
- 努責は心筋の負担となるので便秘の予防をする.
- 定期的に医師の診察をうける.
参考文献
瀬戸信二:循環器疾患ナーシング. JJNブックス
(押方真理)