3.心不全の看護

 心不全の症状をチェックし,心臓への負担をいかに少なくして,無理のない生活を送ることが大切となってきます.歩行可能期の段階でも運動機能が保たれているだけに,心臓への負担が大きいこともありますので,日頃の安静時の状態(脈拍数・呼吸数・爪の色など)を知ることにより,心不全悪化の予防ができます.
 心症状として,下記のようなことがあります.

  1. 脈拍数は 1分間に 100以上に増え,胸がドキドキしたり,不整脈がでたりする.

  2. 呼吸数は増え,体を動かす時に息苦しさを感じる.

  3. 爪の色は白く,手足は冷たく,皮膚は湿っぼくなる.

  4. 体がだるく,食欲がなくなる.

  5. 咳や痰がでる.

  6. 足がむくみ,尿の量が減る.
     

 

日常生活上の注意点としては,下記のようなことがあげられます.

  1. 適度の安静を保つ
     日常生活で休息時間を作る.
     可能ならば仕事の時間を短くする.
     感情的なストレスをできるだけ避ける.

  2. 指示された運動プログラムに従って運動を行い,体力を維持し循環をよくするよう に努める.

  3. 感冒は心不全症状を悪化させるのでひかないように注意し,ひいた場合はすぐに医 師に報告する.

  4. 過度の飲食を避ける.とってよい食べ物や飲み物を自分でよく知っておく.
     適当な体重を維持し,食後は休息をとる.

  5. 処方された通りに,強心剤や利尿剤を正しく服用する.

  6. 水分の貯留を調べるために,毎朝同じ条件のもとで体重を測定する.

  7. 指示された通りに,塩分制限( 1日小さじ 1杯程度)をする.

  8. 足のむくみがある場合は,むくみを減らすために足を心臓より高くしないこと.高 くすることにより,心臓へかえる血液量がふえるので心臓の負担が大きくなる.また, むくんだ足は,冷たく知覚が鈍くなっているので,アンカの使用は熱傷の危険がある ので,柔らかい肌触りのよい布で包むようにする.

  9. 入浴は40度のお湯で.短時間で終える.

  10. 努責は心筋の負担となるので便秘の予防をする.

  11. 定期的に医師の診察をうける.

 


参考文献
瀬戸信二:循環器疾患ナーシング. JJNブックス

(押方真理)

   

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