◆ TITANIC Ship Science ◆





映画「TITANIC」を見ていて、「左舷なのに”面舵”と言っているのは何故?」等の
専門的な船の用語などを疑問に思ったことは、ありませんか?
「海上衝突予防法」によって、それら全てが定められているのです。

ワタシの職場には、「元・外国航路船員」の自称・”T博士”(笑)という人がいまして、彼の協力により、このペ−ジを制作することが出来ました。

映画「TITANIC」に関連するいろいろな海上専門知識について解説して行きま〜す!!



1・救命ボ−ト
タイタニック号が沈没した1912年当時はどうなのか不明ですが、現在は救命ボ−トを「漕ぐ」のに免許がいるのです。
「救命艇手適任証書」といって、”T博士”はその免許を持っているので、救命ボ−トをあやつる資格がある・・・というわけです。

そして、現在は片舷だけで全乗客・乗員数分のボ−トを積まなければいけません。
これは、救命ボ−トを使って脱出する場合、船が傾いたりしても安全な片舷だけで全員が避難出来るように、法によって定められている為です。
例えば、700人が定員の船だったら、右舷(左舷)だけで700人分。
両舷あわせて定員の倍の1400人分の救命ボ−トが船に積んであるのです。

又、港に泊まっている船をよく見てみると、救命ボ−トの近くに白いカプセルが備えてあります。
これは”救命いかだ”といい、現在ではボ−トより主流です。
カプセルはロ−プで船につながれていて、使用するときは海上へ投下、するとカプセルが開いて、中に入っているオレンジ色の円形ゴムボ−ト(救命いかだ)に自動的にガスが注入され膨らみます。

いかだには、食料、水、医薬品が装備されている他、いかだ全体をカバ−する屋根がつき、悪天候時の波や風を防ぎ、屋根の一番上には、遭難信号灯と遭難信号機が取り付けてあり、自動的に信号を出します。



2・出力(速度)表示
ブリッジから下層の機関室に速度を指示する機器を「エンジンテレグラフ(またはテレメ−タ−)」といいます。
それによって、エンジンの出力を変更するのですが、名称は以下の通りです。



上から順に、”速い〜遅い速度”です。

AHEAD前進
FULL全速
HARF半速
SROW微速
DED-SLOW最微速
ASTERN後進

「全速」は、場合によって付加します。


つまり、「全速前進」なら、「FULL AHEAD」、「全速後進」なら、「FULL ASTERN」という具合です。

よほどのことがない限り、「全速後進」を使うことはありません。



3・舷灯
夜間、他の船に対して、進んでいる方向を示すものが、ブリッジ横に付いている「舷灯」です。

左舷の赤い灯のことを「PORT LAMP」、右舷の青い灯のことを「STARBOARD LAMP」といいます。

右舷側の船に進行の優先権があるのです。(つまり、左舷の赤い灯が見える側の船は、右手の船に進路を譲らなければいけない。)

余談ですが、「サントリ−赤玉ポ−トワイン」の名前は、この左舷灯から取っているのでは・・・と、博士の談です。



4・進行方向
上記のことから、左へ舵を切ること(取り舵)も「PORT」、右へ舵を切ること(面舵)を「STARBOARD」といい、普通「PORT」は7度、「HARD PORT」は15度です。

さて、映画で氷山衝突の時に、氷山を避けるため、マ−ドック一等航海士が左に舵を切らせるように、「面舵!(HARD STARBOARD)」と言っていたのを覚えていますか?

今までの事をふまえると、「HARD PORT」と言うのが正しいはずです。

しかし、当時は操舵命令がよく反対の意味に取られる場合があったのです。

舵柄(舵を回すために、舵の頭に通してある横棒)で操船していた時代の習慣が残り、混乱の元になっていました。

1928年以降はほぼ無くなるのですが、スミス船長がタイタニック号に乗船する前に勤務していたオリンピック号と巡洋艦ホ−ク号との衝突事故は、これが原因でした。



5・汽笛
船舶が鳴らす汽笛にも回数によって意味が変わります。

短音(約3秒)で1つ・・・「PORT」 左方向へ
短音で2つ・・・「STARBOARD」 右方向へ
短音で3つ・・・「ASTERN」 後進

濃霧の中などでは、長音に変わります。




6・船の速さと海上の距離

<ノット−KNOT−>
起源は帆船時代に船の速度を測る時、1マイル(1852m)毎にノット(コブ・節)を作ったロ−プを流し、1時間に流れ出たコブの数が、速さを表す「○○ノット」として使われたところからきています。


*距離(マイル)
陸上でもマイル単位(1マイル=400m)を使いますが、海と空とでは地球上の表面に対する長さ(1マイル=1852m)を使用し、これを「ノ−ティカルマイル」といいます。
1852mは、地球の北緯(南緯)45度の地点における経度1分(1度の1/60)の長さから算出された長さとされます。

*速さ(ノット)
一定時間に移動する速さを表す単位で、例えば、20ノットの速さを日常使用する単位(km/h)に置き換えると、
20ノット×1852m=37040m=37.04km/h
と、なります。





7・船員の居室
船員の居室は、左舷と右舷で決められる部署が違います。

左舷側(PORT SIDE)・・・機関関係
右舷側(STARBOARD SIDE)・・・航海士関係

そして、どちらにも属する船長室は、船の中央・ブリッジの真下になります。



8・FLAG
映画には出てきませんでしたが、「国際信号法」によって、必要に応じブリッジ真上には旗を掲げなければいけません。


P旗(き)     本船は24時間以内に出航する
 H旗本船は水先案内人(パイロット)を乗せている
 B旗     本船は危険物を持っている
 A旗     本船の下にダイバ−がいる


H旗の場合、船が港に入る時、船側から降ろした縄ばしご(通称・パイロットラダ−)に、水先案内人が一歩足をかけ、体重を掛けたら、航海士の指示で旗を掲げます。

B旗は、主にタンカ−等 が掲げています。

P旗とH旗など、2つ一緒に掲げたりもします。



9・RED ZONE
現在、通信室には「世界標準時間」(グリニッジ天文台)に合わせてある時計が掛けられています。
その時計の丁度12時15分から5分間と、45分(6時)から5分間の文字盤は、赤く塗られています。

これは「レッド・ゾ−ン」と言って、いかなる船舶も、このそれぞれ5分間には、出力の弱い救命いかだの遭難信号を傍受しやすくするために、無線を発してはいけないのです。

パラドックス的ではありますが、TITANIC遭難時にこれが決められていたら・・・・と嘆かずにいられません。



今後も情報が入り次第、更新していく予定です。





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