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1月1日(祝) 雨(from新潟)
▼今年は天気を加えてみることにしました。その日の天候がわかれば、後から読んだ時にその時の情景がもっとよくわかるような気がして。
金城一紀「GO」(講談社)
 杉原という韓国籍の男子が桜井という女子に出会って、別れそうになって再びよりを戻すまでの話(ネタバレ話:実は桜井はずっと昔に杉原を見つけて、ずっと彼の所在を探していた。)――という身も蓋もない解説でも許してもらえそうな気がする。在日韓国人にまつわる問題をこれだけ軽やかに描いているとい事実をまったくすっ飛ばして読んでも(いや、実際にすっ飛ばして読んだわけではないが)読後に何かが残る。それが痛みでも甘みでも酸味でも、読んだ人それぞれが解釈すべきものであって。
 日本と韓国にまつわる古くからの因習も「物語」であり、女の子が男の子に向ける恋の鞘当てもやはり「物語」だ。それぞれが包括しているものが、外観だけで等級をつけることはできない。
 金日成の子どもの頃のエピソードを聞いた彼は「僕たちの物語の方がすごい」と納得している。偉い人の物語が市井の人々の物語より勝っているとは限らないのは、万国共通。

1月2日(火)雪だ(from新潟)
▼実家の車の上部に積もった雪をはらいのけて、新潟駅南口まで姉に送ってもらった。そのまま新幹線で大宮、次いで埼京線で池袋へ。そのままマサトクさん宅へ直行。
 濁り酒は置いてないだろうという判断の元に実物を買ってきたら、「濃いですね。悪酔いしそうですね」という反応を頂いた。
 その反応通りになったのはたぶん俺だろう……途中から廊下でへたばってた。
 午前五時ごろ半分ぐらいの方々が廊下で寝ころんでいる私を横切って出ていかれましたが、邪魔っけだったことでしょう。すいませんでした。

1月3日(水)たぶん晴れ
▼マサトクさん宅の廊下で「もう部屋で寝るスペースは空いたから」というhiroさんの声で目を覚ます。でも起きたり寝たり、ついでに「ロッタちゃん」に出てきた豚の縫いぐるみを抱きしめて寝たり、橋立さんにデザートを作ってもらったりして午後4時。りんす嬢がいつもの気っぷのいい口上の後で寝について、マサトクさんが二段ベッドの上で半眠半読についたところで、しいな氏、吉井氏、橋立さんと4人で出ていく。その後もパスタ4人前だったり21世紀最初に買った本は「あずまんが大王」だったり豚で5千円だったりしてまったりと過ごす。
▼一同と別れてから、池袋タワーレコードで21世紀最初に買うCD、ブラフマン「MAN OF THE WORLD」買う。

1月4日(木)晴れっぽい
▼いつも、「20001231」などというファイル名を仮につけているのですが、「20010104」と「2001」という接頭辞がつくごとに、なんとなく見にくくなっているような気がするのですが、気のせいか。
 てなわけで、毎度毎度のごとく仕事始め。
▼21世紀最初のハードクラッシュ、なんつって盛り上げないとこの事態は納得できないよう、てなわけで会社内でサーバー用として使っていたマシンがクラッシュいたしました。しかも景気よく警告音まで立てて。皆の不景気顔から回避して、早々と対策を練りました。偉いぞ俺(って自分を盛り立てないといかんからな)。
▼21世紀最初の銀座へ(ってな具合でここ10日ぐらいは「21世紀最初の」ってな接頭辞を付けてみようか)。(1)

1月5日(金)やっぱり晴れ
▼最近は年賀状用の官製はがきですら「再生紙を使用しています」などと特記されているし、どうやら紙でつくれられているものは「材木を資源としていない」という言い訳をしないと体面が立たないらしい。
 そういう意味で21世紀になってもしばらく分が悪いのは割り箸でしょう。「資源ごみから作られた割り箸です」とかなんとかいう製造システムが確立しない限り、明らかに木から作られているという佇まいが目立ってしまう。
 わたくしめも外食の多い人間ゆえ(本当は忙しくなければもっと自炊したいのですがねえ……)日々割り箸をふたつにさいて卓に向かっています。いつぞや資源と割り箸の関係について、居酒屋でこんな意見がでました。
「すでに割り箸として製造されているものを使わないのは、それこそ無駄だ」
 うーん……。
▼そして今日も割り箸を使いに銀座へ。(2) 会社の立食パーティーの後なので疲れている。

1月6日(土)晴れ
▼3連休もらえそうですが、昨日おとといといきなりの仕事の疲れが出てほとんど寝ていました。
 夜は池袋タワーレコードでスーパーカー「Futurama」買う。その後銀座へ。(3)

1月7日(日) 曇りのち雪
▼「大雪になるかも」という言葉が狼少年のごとく信憑性があったりなかったりしてしまうが、夕方から雪の粉がぽつぽつと舞い降りて、水滴として髪や肩にとどまるようになってしまうと、張り付いてくる風の冷気とまたちがった寒の色を帯びてきたりして。
マイケル・ギルモア/村上春樹訳「心臓を貫かれて」
 仮出所中のゲイリー・ギルモアがユタ州プロヴォ近郊で二日間のうちにふたりの男を銃殺した。判決は死刑。彼はそれを受け入れた。死刑ってやつは簡単に行われているようでいて、人権やら宗教やらが複雑にからみあっていて、実際はなかなか執り行うのが難しくなってきているのです。そして実際に執行された。  本書は彼の弟にあたる音楽ライターで、ギルモア家の彼らの父母の代からの「呪われた家系」と「喧噪の日々」をこれでもかというくらいに語っている。本来なら世間にとって、このゲイリーの身の上だけでいいような気がするが、父親、母親、兄たち、そしてゲイリー自身の半分以上失われた人生(ほとんど刑務所で生を維持していた)まで、1章ごとにページを割いている。訳者村上春樹があとがきで述べているように著者本人のセラピーの意味があるのだろう。事件によってギルモア家が有名になってしまったとき、いや、有名になる前から離婚や婚約破棄を体験していたのだから。(「翻訳夜話」に、村上春樹はなるべく翻訳する書物の元本の著者に会うようにしているのだが、マイケルに会う気持ちにはなれなかった、とある)
 さて、この本に向き合うには、どうすればいいか。
 はっきり言ってしまうと、精神的にめげている人にこの本を読むことをお奨めしたくない。他人の話を聞くのが苦手な人にも奨めにくい。(とはいえヘヴィな話を逆療法として受け入れる購買層もあるのだろうな。最近売れる本を見てそう思う)もっと心が空っぽになりそうなときに何かを詰め込もうとして読むのがいい。ハッピーエンドじゃないからカタルシスは得られないし。
▼夕方から池袋のスタバで↑の文章を書いて、その後銀座へ。(4)
▼上の段落で締めようと思ったら、午後11時台には道路がすごいことになっている。タイヤスリップで電柱に激突した車を目撃してしまったし。とりあえず明日も休日でよかったよ。
 コンビニに入って、カップ麺やビールをいつもより多めに買っておくこうとしている自分に気づく。……まあ、明日に食糧危機が起こるわけでもないしな。雨の日に出歩かなくとも雪の日には構わず出歩くんだし。雪国出身だから。
 それにしても正月に見た光景を再びこちらで見ることになるとは。

1月8日(祝) 曇りと雪かき
▼昼前に起きて、東武練馬サティへ。近い。これからは東上線沿線の映画館も使うことにしよう。この中の映画館はワーナーの管理らしく、観ることのできる映画が限られてしまうだろうが。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」観る。感想はこちら
▼夕方から銀座へ。(5) 酔っぱらいはいやん。間近で遭遇すると「人の振り見て我が振り直せ」という諺を思い出す。

1月9日(火)晴れ
片岡義男「彼女が演じた役 原節子の戦後主演作を見て考える」(ハヤカワ文庫)

 メディアのなかでの、手の込んだ間接性に囲われた性という擬似的な性が、島崎雪子先生(旅人注:原節子が映画「青い山脈」で演じたヒロイン)という身の上で、一九四九年に、大衆のものとして早くもスタートしていた。人は性的だとなぜ危険なのか。性的ではないとなぜ安全なのか。性は、自分という個と正面から直接に向き合うための、ひょっとしたら唯一のきっかけやプロセスになり得るものであるからだ。真の自分というものの発見は、なんらかのかたちでかならず、性を直接に経由する。
(中略)
 戦後日本の性に対する基本的な態度は、見ない、触れない、問題にしない、したがって存在しないものとする、無視する、ということだった。このような基本方針をかたわらに常に置いた上で、現実のさまざまな問題は、やっかいだけれど起こってしまったいしかたのない問題として、きわめて現実的な処理だけがなされて来た。この基本方針は、現在では最終段階に到達している。メディアのなかに手の込んだ間接性を張りめぐらせ、そのなかをただ回遊するだけという、滑稽なまでの迂回の迷路を、人は性に関してさまようという段階だ。(P103〜104)

 やっかいだけど仕方がない、という鉄火場の事物としてしか「性」を見ていない現状は、21世紀まで引きずっていないかどうか。(特に男性の視点は)
 なんとなく「迂回する性」というフレーズが気に入った。広末涼子でも本上まなみでも安倍なつみでも池脇千鶴でも、石川梨華でも加護亜依でも辻希美でも、矢口真里でも後藤真希でも深田恭子でも、(知り合いやよく見ているサイトの萌えに挙げている人々の名を列挙してみました。それにしてもモーニング娘。関連者が多いな)現実味をこの手に感じられないまま、迂回しつつメディアの中を21世紀になっても彷徨うのでしょうか、我々は。(我々ってどの範囲で)
▼彷徨い続けて会社帰りに銀座へ。(6)(ってパターンの文章、これまでに何十回書いたかしら)

1月10日(水)晴れ
▼この前の新年会の写真をマサトクさんが公開してくれた……目つきが悪い>俺 悪すぎる。犯罪者。上目遣いでおちょこを持つな。
 それにしてもムネカタさんたちは盛り上がっているなあ。

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