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「http://www2s.biglobe.ne.jp/~NITE_DAY/200111nikki_3.htm#2001/11/XX」
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11月21日(水)晴れ
一年三ヶ月ぶりに腰痛で病院へ。昨日の昼間から痛み出して朝まで続いていたので、今度は早めで行くことに。
 間を置いてから来る風景は、玄関を抜けてさほど変わらなかった。
 久しぶりだったので待合室の患者たちをゆっくり観察してみた。
 こんなに十代の子たちと年配の方々を見るというのも珍しかった。それくらい待合室は子ども(とその母親)と老人で溢れかえっている。
 おそらく血気盛んな子らは転んだりぶつけたりして松葉杖をついているのだろう。年配の方々は肩や足腰が弱り始めているのでしょう。自分と近い世代がいない空間というのも新鮮だ。
 いや、自分と同じ世代がまったくいないわけでもない。診察する医師がいる。医師は二十〜三十代ぐらい。あまり年がいった医師はいない。ひょっとすると院長はもっと上なのかもしれないが。年配者との応対のためなのか看護婦は少し上の世代に見える人が若干いた。
 その、自分と同年代くらいの医師に「痛いと感じたのはいつなの?」「筋肉痛だと思った。そ〜んなわけないでしょ」と、まるでこちらまで子どもか老人の扱いで会話を仕掛ける。医者って一般的にそういうもんだっていう認識もあるにはあるが、前についた医師がきちんと大人の応対をしてくれていただけに、よけい心に霞が残った。
▼もうひとつ、これは整形外科という科に特有なのだろうが、松葉杖をついている人が結集してひとつの場所に固まっていること。当たり前と言えば当たり前なのだが、やっぱり異質な空間であることに変わりなく。
 例えば駅のホームで松葉杖をついて歩いて来る人がいて、こちらがベンチに腰掛けていたとすると、相手が非日常な生活を強いられていることが見た目でびんびん伝わってくる上に「ベンチ空けなきゃいかんのだろうな」「それともぶつからないようによけていなきゃいかんのか」とこちらの卑小さが醸し出さてくるようなフレーズがぐるぐると回り始める。
 だが、この場ではそこまで行かず、座席がふさがっていたら素直にスペースを作り、相手に促すことがごく自然だと思えてきて。

11月22日(木)晴れ
▼病院から帰って横になっていたら朝まで眠ってしまいました。
真心ブラザーズ「I wiil survive」
 砂原良徳がロッキングオンジャパンで「黒人はもともと、差別などでいろいろと繊細な感覚を持ち、その才覚を音楽に反映させてきた。それを日本人が安易に技術でコピーしていくってのはどうよ」という意味のことを発言していた。(この辺うろ覚えなので、同じように記事を読んだ方は突っ込みをどうぞ)
 倉持陽一(YO-KINGって呼称にはどうも慣れないので、このまま)は、平行してエレファントラブを運営していたり、インタビューにもそつなく答えていたりしてして、ものすげえ如才ない人であるのはよくわかるんです。(それゆえにあまり好きじゃなかったかもしれない)それは詞曲にも発揮され、日本人にソウルやR&B系統の楽曲がそれほど馴染みのなかった頃からうまく自分たちの中に取り入れてきているのもよくわかってました。
 真心はテレビ番組に出るために組まれ(『パラダイスGOGO』なんて番組名は、あの当時の出演者が現在誰も口にしないだろう)12年持ちました。サバイヴしてしまったわけです。その裏側に砂原良徳が皮肉でもって指摘した才覚がうまく機能したんじゃないかという気がしているのです。『Baby Baby Baby』など聴くと。
▼先頃発売された新作はまだ聴いてません。(今週の週刊文春連載「考えるヒット」で近田春夫は真心のシングルを褒めていたけど、この人物にしては珍しくひねったことを言ってないな)
▼午後7時に会社を出て銀座へ。(92) 腰の痛みが取れてきたらすぐ移動。そういえばメニューが切り替わってシューマイがなくなっていた。

11月23日(祝)晴れ
▼腰の痛みもそれほどなかったので細々とした作業を。玄関の電球を取り替えたり。
▼今日のパスタ。ちりめんじゃこと茸の和風。またの名を醤油ぶっかけパスタ。単に炒めた具に醤油をかぶせただけだという。
 和風、と名のつくパスタって言うなれば醤油だってことですよね。それ以外の味付けで「和風」って呼べるのは何だろう。味噌か? しかし味噌で味付けする具ってパスタに合うのだろうか。納豆があるぐらいだから何かあるのかも。連休中にでもちょっと探してみます。

11月24日(土)晴れ
▼夕方から渋谷へ。南口から出てハチ公口方面まで回ってシネアミューズへ。
 入り口を通る。(ここで前売りチケットを差し出して整理券と交換しなければならなかったのだが、忘れてそのまま付近のベンチに座って二十分ぐらい過ごしてしまった)壁に貼られた、映画の紹介文を切り貼りしたポスターサイズの紙をしばらく眺めていると、「アコムです。だたいまこの映画に来られた方に入会をお薦めしています。入会された肩には古厩智之監督のサイン入りパンフレットを配布しています」という意味のことを、あのCMと同じように無意味な笑顔を作ったお姉さんに話しかけられる――いや、話しかけようとして「古厩智之監督」と言おうとしていたところが、「ふる……なんでしたっけ」と監督の名前が読めずに言葉を途中で途切れている。「ふるやま、ともゆきですから」とそのお姉さんにわざわざ説教口調で教える。もちろん入会なんてしないけど。
 開始15分になり、整理券の番号ごとに入場が始まる――が、案内の人がマイクを使わない。人が移動しているのを見ていなかったら、入場を許されているのに気づかずにいるところだった。
 18時40分。本日のこの回は古厩智之さん(さん付けで呼ぶ)とYOU THE ROCK★(呼び捨て。しかし最後の「★」って何だ)のトークショー。司会の人が「マイクが二つしかありませんから、古厩さんとユウさんに」とマイクを渡そうとするが、YOU THE ROCK★は「俺は声がでかいからマイクいらないよ」と断った。結局ふたりがマイクを持つ。彼の言う通り、マイクなんか持たなくても野太い声は、それほど広くもない劇場を圧倒していた。それに対して古厩さんはマイクを持ってもか細い声だった。
 YOU THE ROCK★目当てで来た客もいて、後ろの若者男女数名は、わざわざ入り口で控えているYOU THE ROCK★の顔を見に行き、「飯食ってた」と報告したり、雑談中に「この監督の有名なの?」と言い放ったり。
 後から購入したパンフレットにも彼らの対談が乗っているのだが、彼らは長野県の出身であり、映画と同じような学校生活を送ったと語る。(先週の土曜、この映画の初回だったのだが、そのときのゲストは田中康夫だった。なんで田中康夫が?と訝ったのだが、田中康夫も長野県出身だった。どうせだから乙葉もトークショーに呼んでください。長野県出身なんだから。映画を見終わってから思ったこととしては、たぶん田中康夫はかなりこの映画に感情移入したな、きっと)YOU THE ROCK★は最後に、「この映画のこと、そしてこの映画について思ったことは、親兄弟や友達に絶対、話して欲しい」この言葉は、単に「映画の宣伝をしてくれ」という意味だけじゃないのは、映画を見終わってからわかった。おそらくあそこに来ていた観客すべてがそうだろう。
『まぶだち』上映される。感想はこちら
 終わってから古厩さんが再び、わざわざ出てきて挨拶をした。マイクを使わないのでさっきより何を言っているのか聞き取りにくかったが。
 出口でも古厩さんが、出ていく観客に頭を下げている。僕は古厩さんに声をかける。
「お久しぶりです」新潟にて前作『この窓は君のもの』公開時、わざわざ新潟の映画館まで行き、お会いして、夜中の二時三時まで飲み、サインまでもらったことなど話す。かれこれ六年も前のこと。(よくよく考えてみると、古厩さんが前作を公開したときは今の僕よりずっと年下だったりする)僕の顔は見覚えていなかったようだけど、新潟の上映会のことは憶えておられたようだ。
 また会うことを約束して、パンフレットにサインを頂くと、僕の後ろに続いているサイン待ちの人にその場を空けて、そそくさとエレベーターに乗り込む。

11月25日(日)晴れ
花村萬月『ゲルマニウムの夜』(文春文庫)
橋本治・夢枕獏・いとうせいこう「怪しの世界」(紀伊國屋書店)/データベース概念設計(阿部出版)

11月26日(月)曇り一時雨
恩田陸『六番目の小夜子』(新潮社)
 ん〜〜、「ホラー」というジャンルはまずほとんど読んだことがなくて鑑賞に耐えうる文章を成り立たせることも難しいので、以下雑感。
 身も蓋もないことを言ってしまうと、ホラーの部分や謎が謎を呼ぶところがなくともこの小説って進行するんじゃないかと思えるくらい、キャラが立っていて、しかも難解でない展開をする。それくらい思春期の一部分をうまく掴み取っている。読者が各々の青春の色をこの小説に染め上げることだろう。思春期まっただ中の人ならなおのこと。
 だからこそアイドル出まくりのNHKドラマにも採用されていたりするのだろうが。

11月27日(火)晴れ
▼上司に言われる。「さとう珠緒ってどんな顔してるんだ」競馬の番組や『インパク』のCMに出てます、と言ったって通じないので目の前のWEBでさっそく検索。出力。話題は例の喋るマザーボードへ。
 その話題は右にそれて左にそれて、なぜか「椎名へきるってどんな顔してるんだ?」という上司の疑問へ。再び、検索。ファンサイトに記述されているプロフィールを読む。
 ここで、ご存じの方もいると思うが、彼女の出身地は「へきる星」となっていて、公にもそういう声明を出しているのですね。上司も、その箇所について、ごく一般的であると思われるような反応を示す。
▼年齢を公表していない芸能人というのは多いが、出身を別の、明らかに架空とわかる場所になぞらえて言う人もいる。椎名へきるはへきる星で、及川光博はミッチロリン星で、ダンス☆マンはミラーボール星で。(←この辺うろ覚えて言ってます)
「地球以外の惑星」という設定というのは、自分という存在が、この地に付かず浮遊して、神秘的なものであるという効果があるのでしょうか。ギャグになるという境界線を行ったり来たりしながら。
▼「自らが地球外の人類である」と名乗った元祖はデヴィッド・ボウイあたりでしょうか。ミッチー辺りが影響受けていそうだけど。

11月28日(水)晴れ
▼雑感二つ。
▼『バトルロワイアル』の相馬光子と、『GO』の桜井は、実写にすると同じ人がやっているのは、よく考えるとちょっとやだ。
▼学研の電子ブロックが再発されたとのことですが、幼き頃同級生の家に遊びに行き、かの無骨な商品があるというだけで「うわ〜お金持ち〜」と羨望の眼差しを(その同級生ではなく電子ブロックに)向けたものですが、幾星霜過ぎて、今やかの商品を上回る金額にて飲み代一回払いしていたりします。
▼午後8時に会社を出て新宿へ。(45) 1時間ぐらいで出て、その足でタワーレコードへ。市井紗耶香&中澤裕子もBOφWYも発売されていたのですが、結局何も買わずに帰ってきました。試聴はしてきたけど。

11月29日(木)晴れ
▼ドコモでD211iが発売されるというんだけど、今度はピンクがないみたいですね。ってピンクに執心しているわけではないが。
▼ところで「キーボードより携帯のボタンの方が文字を打ちやすい」と公言していた女性と会話しましたが、さ〜〜っぱりわかりませーん。ひらがなを一文字表示するだけで、キーを一回以上打たなければいけないってのにどこが打ちやすいってんだ。こういう人が多くなったりすると、将来はウェブサイトまで携帯電話のみで作れるアプリなんてのが開発されたりするんだろか。

11月30日(金)晴れ
▼会社の飲み会。その後銀座へ。(93)
▼ジョージ・ハリソン亡くなってしまいましたな。「余命一週間」という言い方がセンセーショナル過ぎて、かえって現実味がないと思った一般大衆は少なくなかったのではあるまいか。「病室でポールやリンゴ(あ、「林檎」と変換されてしまった)と抱き合って泣いた」なんて書かれてしまうといかにもすぎるんだもの。
 今年の夏に、病気の説を否定した会見をしたものの、癌があちこちに転移しているという現状まで詳細に報道されているとなると、一笑に付すことができなくて、ここ数日はびくびくしながらエンターテイメント分野のニュースを見つめていたわけです。
▼今月のウィンドウタイトルはザ・ストリートスライダーズ『夜毎悩ましい街で(Drift away and……)』。ジョージにもララバイを。そしてレクイエムを。

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