←前へ
次へ→
戻る

小林恭二『モンスターフルーツの熟れる時』(新潮社)
 最後のページまでめくり終わった後、裏切られたような気持ちでした。いや、出来が悪いってんじゃなくて、半分ぐらい読んで後半の展開を勝手に思い描いていたので、それとちがっていただけだから。
 四章から成る。第一章では執事とお手伝いをたくさん従えた富豪の子として生まれ、虚弱児であった風貌から次第になまめかしさを増していき、それに乗じて同級生からホームレスまでさまざまな男に手を出しては妊娠して複数の子どもを作り、悲劇的な最期を遂げる君枝。第二章では、自分の平凡さに嫌気がさして、特殊なダイエット法に手を出してカリスマとなるが、やがてそのダイエット法で身を滅ぼした友子。どちらも、主人公である”わたし”と幼なじみであり、性的に通じあっていたことで共通している。
 残りの二章も同じように、やがてはモンスター化する、果実を思わせる妖美な女子が出てくることを期待してしまう。しかし、『友子』の章のラストで、主人公と友人桃家が語り合う部分から、「モンスター」は別の意味を伴ってラストまで続く。そこで四章は単独で成立しているのではなく、連綿と繋がっているということに気づいた。
 ラストが作者の最も言いたいことを明確にしているようで、オチがきちんとあるのになぜかすっきりしないのは、僕自身がこの小説を短編連作集として見ていたという先入観から、読み終わってもなかなか離れないせいであります。(2001/11/13)
←前へ
次へ→
戻る