'99世界選手権レポートin オーストラリア
大会会場上空の日本代表J−BLADE

 約1月半のアメリカ合宿を終えて、日本チームがオーストラリア入りしたのは10月12日、大会の約10日前でまだまだ、各国の選手はそれほど集まっていませんでした。
 大会の会場自体もまだ 各国のテントも設置されないような状況でした。
この時点でも4WAY、8WAYの2冠をねらうUSA代表のAIRSPEEDには、取材陣が常について回っていた。

 さすがに大会3日前にもなると、ぞくぞくと各国の選手がそろい始め世界選手権なんだなという実感 が沸いてきた。パラシューティストとかスカイダイビングマガジンなどでも良く見かけるような、フランス4WAY代表のマブ−ジュ、スカイサーファーでいえばオリバーとかスティファン(スイス代表)、 エリック(フランス代表)やフリースタイルではオマー(USA代表)など、そうそうたるメンバーがそろってきた。そんななか、我々にとっては、 タイチームが来たときにやっとアジア圏からチームが来たという感じでほっとしました。
 逆に最後まで姿をあらわせなかったのはロシアチームで大会の前日までほんとにくるのという感じだった。

 大会の流れは、大会前日が公開練習日ということで、課題が発表され、その課題のジャンプを本番同様に ジャッジしてもらえる。ここで初めて自分たちのライバルになりそうなチームがわかる。 我々日本チームの目標はアベレージで12ポイントだったが、個人的には、なんとしてもファイナルに 残りたいので、参加チームの数から6位をターゲットにしたが、この時点、日本チームより上位に6チーム 以上いたので、思っていた以上に世界の壁は厚いんだなと感じていました。

 ここでファイナルへ残ると書いたが、フォーメーションスカイダイビングの場合、ジャンプは全部で10ラウンド(10回ジャンプ)実施されるが、すべてのチームが10ラウンド飛べるわけではない。参加チームは、まず8ラウンドまでの結果で半数に絞られ、9ラウンドが終わった時点で最終10ラウンド(ファイナル)を迎えるのは上位6チームのみである。
(これをカットオフと呼んでる。
フリースタイル、スカイサーフィンの場合は10ラウンド中、1、2、8ラウンドが規定演技で後の ラウンドは自由演技で実施されます。そこで7ラウンドまでの結果で半数もしくは参加チーム数で 6チームに絞られてその後は10ラウンドまで進める。)
 フリースタイル、スカイサーフィンについては最初の2ラウンドの規定のポイントがジャッジに対する 基準になっているようで規定のポイントでだいたい自由演技のポイントの幅が決まっているようだった。  10月21日大会が始まった。開会式ではアクロバット飛行、ミグ戦闘機のフライバイ、アボリジニの 踊りなどがあった。天気予報等の関係で、まず8WAYが3ラウンド実施された

1ラウンド目のEXIT

 正直、始めての世界選手権の1ラウンド目は緊張した。しかしその緊張も飛行機が上昇にするに つれて落ち着きを取り戻し、いつもどおりのジャンプができた。初日が終わった時点で、6位。 日本より上位にくるだろうと予想したチームが1チーム1ラウンド目で崩れていた。 どのチームにとっても1ラウンド目というのは想像以上のプレッシャーなんだなと思い、逆に自分にとっては それを乗り越えたという点が自信になった。
この時点で我々のターゲットはドイツだった。毎ラウンド1ポイントづつ負けていたので初日で3ポイントアンダーだったが日本チームは「ドイツを食うぞ!!」を 合言葉にラウンドを重ねたが、4ラウンドまで1ポイント負け続け。スコア的にも4ポイントアンダーになって ちょっと弱気になり始めた。
 だが、コンペティションはこれだから判らない・・ ドイツがミスをして、5、6ラウンドで2ポイントづつ日本が上回って、6ラウンド目で5位タイとなった。
 そして7ラウンド目。ポイント数は日本新記録である14ポイントであった。

日本記録更新の瞬間

ドイツチームと9ラウンド目まで抜きつ抜かれつのデッドヒートをして、1ポイント上回って5位でファイナルへ!!
日本チームにとっては悲願のファイナル出場の瞬間だった。

ファイナルのEXITの練習    声援を受け乗り込むところ
ファイナルのEXIT

ファイナルはジャッジ団も乗り込む飛行機の前に集まって、送り出してくれた。自分の中では、ファイナルに行けたうれしさと、今までトレーニングしてきたチームに とって、これが最後のジャンプだという寂しさという複雑な心境だったが最後まで、楽しいジャンプができた。

ファイナルのランディング
喜び抱き合う選手達       戦い終えた日本代表

 結果は世界5位という、日本にとって初めて世界で5本の指に入った成績は、満足のいくものであった反面、我々チームの目標である アベレージ12ポイントには0.1ポイント足りなかった。秒数にしてわずかに0.4秒の心残り。

 その他、日本チームは4WAYが9位、スカイサーフィン男子が17位、女子が5位、 フリースタイル女子が5位と大健闘だった。

 一方、我々のコーチであるAIRSPEEDの2冠は4WAYの方でフランスのマブ−ジュに阻まれて二冠はならなかった。
 コンペティションが終わってほっとした表彰式の日、AIRSPEEDのダン.B.Cが 誰が両方でようなんて考えたんだこれはバッドアイディアだと言っていた。5位争いだって必死なのに、 2種目タイトルをねらうというのは並大抵のプレッシャーではないんだなと感じた。

 ともあれ、無事に大会は終了しあっという間に10日間が過ぎてしまった。 心地良い緊張感につつまれた、夢のように楽しい日々だったと思う。

1999年 フォーメーションスカイダイビング世界大会
 日本代表チーム
   4way  中矢修二、川口洋子、佐藤香織、青柳隆幸、糸賀 悟(カメラ)
   8way  中矢修二、川口洋子、佐藤香織、青柳隆幸
          牧野俊彦、青野 昌、鎌田浩幸、山本直樹、糸賀 悟(カメラ)

 
TEXT by Macky」


日本とドイツのポイント

ラウンド 1 2 CUM 3 4 CUM 5 6 CUM 7 8 CUM 9 10 Total Avg
日本 12 12 24 11 11 46 11 12 69 14 13 96 10 13 119 11.9
ドイツ 13 13 26 12 12 50 9 10 69 15 10 94 11 10 115 11.5

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