浜岡原子力発電所 2011・5・12 更新途中


 原子力発電所の「耐震設計審査指針」が2006年9月19日、下記のように改定されたが、東日本大震災を経験し、早急に再検討が必要となった。

@新設される原子力発電所、既存の原子力発電所(55基)、関係した再処理工場なども対象となる。
A活断層は5万年前までを、13万年前の古いものまで対象を広けて調査する。
B新指針を踏まえて、電力会社は既存の原子力発電所の再評価と敷地周辺の変動地形、ボーリング等による地質調査を行う。

 島根原子力発電所の3号機増設に伴う活断層調査では、電力会社側が見落とし、大学など研究グループが活断層の存在を実証した例もある。大きなリスクを伴う原子力発電に関係した調査は見落としや失敗は絶対あってはならない。、最新の科学技術を使って慎重に、しっかりした調査が必要である。
活断層の調査では電力会社側と研究機関とで、断層の長さや評価が異なるのが気になる。
津波に対する対策が不十分である。

浜岡原子力発電所が大変危険な場所にあることをあげてみる。

危険1 浜岡原子力発電所は想定震源域内にある。


XーYに沿った垂直断面図(模式図)
赤線で囲まれた地域が東海地震の想定震源域。
東南海地震と南海地震の震源域は
西南西の方向へ並んでいる。

 

東日本大震災の震源域は海底であったが、
浜岡原子力発電所は震源域の中にある。

上図左の赤線で囲まれた部分が東海地震を起こす断層面(震源断層面)を地表面に投影した想定震源域である。この震源断層面はフィリッピン海プレートとユーラシア大陸プレートとの境で西へ傾斜している。浜岡原子力発電所付近では深さが10数Kmとなる。(垂直断面図参照)
 世界の原子力発電所の分布を見ても、地震帯に原子力発電所があるのは日本(54基)以外に、台湾と北米の西海岸に約8基しかない。浜岡原子力発電所のように想定震源域内に原子力発電所がある例は外国にはない。
 浜岡原子力発電所ではM8.5の地震に、千ガルの震動に耐えられるような補強工事をしているようである。しかし、スマトラ沖大地震はM9で、東日本大震災もM9であり、東海地震、東南海地震、南海地震が同時に起こるとM9になる可能性もある。

危険2 偏西風によって運ばれる放射性物質 
巨大地震と津波によって浜岡原子力発電所が破壊するようなことがあると、放射性物質は偏西風で東へ運ばれ、静岡県、神奈川県、東京都、千葉県まで放射能汚染を受けることになる。
米原子力規制委員会(NRC)議事録に、偏西風によって運ばれたと思われる資料がありました。2011年3月13日、福島原発から約185km離れたところにいた空母「ロナルド・レーガン」が通常の30倍の放射線量を検出したそうである。浜岡原子力発電所から東京までの距離が約185kmある。

危険3 海流による駿河湾の放射能汚染
黒潮から分かれた沿岸流は御前崎付近から駿河湾へ入り、焼津、久能山の沿岸を流れ、三保の砂嘴をつくり、蒲原、田子の浦の沿岸を流れ、伊豆半島の西海岸を南下して、再び黒潮に合流して東へ流れていく。
浜岡原子力発電所の事故で海水が放射能汚染されると、駿河湾の漁業は全く出来なくなるに違いない。


菅直人首相の要請を受け入れ、浜岡原子力発電所の全炉を停止する。(2011年5月14日)

中部電力は2〜3年かかる防潮堤建設など、津波対策を終えた後には、全面再開出来ることなど5項目の確認事項を付けている。
原子力発電に依存しなくてもすむ対策をみんなで考え、実行しなくてはならない。
地質、気象学者なども含む研究機関をつくり、各原子力発電所を多方面から調査し、危険度の高いものから順に廃炉にするのがよいと思う。真っ先にあがるのが浜岡原子力発電所である。ここで、全炉を停止したが、全炉を廃炉にした方がよい。
廃炉にしても、津波対策などして、これから何十年も使用済み核燃料や原子炉など放射能廃棄物の危険な管理をしなくてはならない。

人類は歯止めのきかない贅沢をし、多くの生物を絶滅に追いやってきた。
地球は人類だけのものではない、地球上すべての生物のものだ。

中部電力の発電電力量に占める浜岡原子力発電の量は約15%。
需要ピークを上回る余裕電力は心配される7月には、2%に落ち込む(8〜10%が適切)。
節電により、電力消費を10%抑えると、100万キロワットの原子力発電13基分に相当する。

対策1、直ぐにできる家庭での節電から始めよう。
こまめに電源を切る、点燈しなくてもよい玄関の電燈などは点けない、早寝早起きなど、少しの配慮で4月の前年度比が9%減になりました。
「ちりも積れば山となる」の考えで、
15%節電を目標に努力しよう。

対策2、自然エネルギーの研究・開発。
@太陽エネルギーの利用→太陽電池、太陽炉(多くの凹面鏡で太陽エネルギーを集める。)
A風力の利用→風力発電、海の波力発電、海流発電
B地熱の利用→火山地帯や温泉地帯で地下の高温水蒸気を使った発電。(下図、日本では約53万Kw)
C汐の干満を利用→砂嘴がのびた湾の口を塞ぎ、ここに発電所をつくり、満ち潮、引き潮の流れで発電する。
D川の流水を利用→水車で発電する。近くに川があれば、日曜大工で水車を作り、自転車や自動車の発電機を使って、自家発電をする。(主婦からのメール)発電機は単純で、磁石とコイルからできている。震災で海水をかぶった自動車の発電機は水で洗って乾燥すれば、使えるはずだ。


八丈島の地熱発電所

地熱発電の例
地下から高温の水蒸気を取り出し、タービンを回して
発電し、熱水は地下へ戻す。