箱根火山

 (1)箱根火山の写真と地質図

箱根峠から芦ノ湖、中央火口丘を撮した写真。
箱根火山
 箱根峠付近(古期外輪山)から芦ノ湖(カルデラ湖)、中央火
口丘を撮す。中央火口丘は右から二子山、駒ヶ岳、神山。
10/21,99
久野1950を簡単化、(「箱根火山」日本火山学会編より)
L:瑚成層、CC:中央火口丘噴出物、P:軽石流堆積物,
YS:新期外輪山溶岩、OS:側火山および古期外輪山溶岩類、
YV:湯河原火山噴出物、B:天昭山玄武岩類、A:須雲川安山岩
T:早川凝灰角礫岩、M:湯ヶ島層群

(2)箱根火山の模式的発達史

久野久氏は詳しい地形・地質の調査によって、箱根火山の生い立ちを表す図を模式的に表した。(1950〜1952年)
今にいたるまで富士山のような成層火山の発達史の規範とされている。

@古期外輪山の形成
 箱根火山は約40〜50万年ほど前に活動を開始した。はじめ、玄武岩質溶岩を噴出し、マグマの成分が、次第に珪酸分に富むようになり、安山岩質溶岩を噴出するようになる。
 今の古期外輪山の大きさから推定すると、約25万年前には、高さ約 3000m の富士山のような成層火山であったと思われる。これが初期の箱根火山である。

 ・第一期カルデラの形成(20万年前) 成層火山の中央部が陥没し、巨大な円形の凹地ができた。この地形をカルデラ(caldera)と呼ぶ。カルデラの直径は、噴火口の直径(1kmを越えない)に比較してはるかに大きいのが特徴である。(箱根火山のカルデラは直径が8〜12kmある)カルデラの陥没から取り残された周囲の山並みを古期外輪山(somma)と呼んでいる。

箱根火山の構造と活動の経過を説明する模式図(初期の箱根火山) 箱根火山の構造と活動の経過を示す模式図(第一期カルデラ)
初期の箱根火山(25万年前) 成層火山であった。 第一期カルデラ(20万年前) 成層火山の中央部が陥没した。

A新期外輪山の形成

 古期外輪山が出来た後、しばらく噴火は止まり浸食が進んだ。13万年前、再び活動を開始し、珪酸分の多い石英安山岩溶岩がカルデラを埋めて楯状火山ができた。溶岩の厚さは数mから150mに達する。
 7万年前から4.5万年前にわたって楯状火山の中央部から、大量の軽石流を噴出する活動が始まった。軽石流は高熱のマグマと多量のガスが混ざったもの(熱雲)が斜面を高速度でくだる現象で火砕流とも言う、被害をもたらす恐ろしい噴火である。。マルチニック島のモンプレー火山や九州の普賢岳でも起きている。箱根火山が噴出した軽石流の体積は約10km³に及び、東は横浜南西部(約60km)にまで達し、西は御殿場から三島を覆い愛鷹山の南麓まで追跡できる。
・第二期カルデラの形成 軽石流の噴出は繰り返し行われ、そのたびに中央部が陥没し、第二期カルデラができ、周囲の山並みを新期外輪山と呼んでいる。軽石はデイサイトないし安山岩である。

箱根火山の構造と活動の経過を示す模式図 箱根火山の構造と活動の経過を示す模式図(第二期カルデラ)
楯状火山の形成と軽石流(4.5〜13万年前) 第二期カルデラ(4,5〜7万年前)

B中央火口丘の噴火

 箱根火山には北西から南東の方向に断層が走っている、これを金時-幕山構造線と呼んでいる。
 4.5万年前から、第二期カルデラ内の金時ー幕山構造線にそって噴火活動が行われ、台ケ岳・神山・陣笠山・駒ヶ岳・二子山(約5000年前)など7個の火山が次々とできた。このようなカルデラの中に新しく生まれた火山を中央火口丘(central cone)という。箱根火山の中央火口丘の溶岩はほとんどシソ輝石安山岩である。
 

現在の箱根火山の地質断面図
ボーリング資料によると、カルデラ内の古期及び新期外輪山溶岩は薄く、カルデラ形成後浸食されている。

(5)箱根温泉

 今から3100年前、神山の山腹で水蒸気爆発(steam explosion)がおこり、神山の北西部が崩壊し、その土石流が早川の上流部をせき止め 芦ノ湖 が形成された。その他、冠ケ岳(約3000年前)なども新しい活動である。このように箱根火山は寿命の長い火山である。大涌谷のような噴気活動もあり、まだマグマのエネルギーを持っている活火山である。
箱根山は観光地として、その山麓は住宅地として、開発が進んでいるので心配である。
箱根には多くの温泉がある。泉質から上げると、大涌谷、早雲地獄、湯の花沢などは硫酸イオンが多く、小涌谷、強羅、二ノ平、宮ノ下は食塩を多く含む温泉である。