富士山ハザードマップ検討委員会 中間報告(平成14年6月12日) 2002年8月2日記
富士山ハザードマップ 中間報告の資料はYahooから 「富士山の火山防災対策」で検索すると入手できる。私なりにまとめてみる。
(1) 富士山の溶岩を流出する火口のほとんどは、山頂方向に連なる割れ目火口で、大部分の溶岩はもっとも低い標高の火口から流出した可能性が高い。
(2) 山頂火口からは約2200年前以降マグマそのものを噴出する噴火は発生していない。
(3) 2200年前以降は山頂以外の場所からの噴火が多く(測火山),平均的な噴出量はそれ以前よりも少ないという特徴がある。
(4) 山頂の噴火は山頂火口から,繰り返し発生したが、山頂以外の測火山では同一火口からの再噴火の例は知られていない。(1.富士山の地質と火山 富士山の地質 単成火山 参照)
(5) ある火口から見て、他の火口は概ね1km以内の範囲に存在する。今後噴火する可能性の高い領域は、既にある火口から1km以内と考えられる。
(6) 溶岩や火砕物の噴出量によって、小規模(0.002〜0.02km³),中規模(0.02〜0.2km³),大規模(0.2〜0,7km³、宝永噴火,貞観噴火)に区分する。規模の大きな噴火は規模の小さな噴火に比べて狭い領域で発生している。いずれの規模の噴火も山頂をはさんで北西から南東方向に分布している。(図10)
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(7) 噴火のシナリオ
噴火の前兆現象から噴火にいたる経過は防災対策上重要である。宝永噴火と貞観噴火について噴火のシナリオを作成している。
宝永噴火のシナリオ
x年10月から11月 震源が富士山の下の弱い地震(M
2〜M 3)が起き、次第に活発化する。
12月3日〜15日 地震活動が多発,土地の傾斜が始まり、傾斜計にわずかな変化。
12月15日〜16日 地震が急増(1日数十回),北西ー南東方向に数cmの縮み、北東ー南西方向にわずかな伸び、などの地殻運動
12月16日午前 M 5の大きい有感地震が起きる。土地の傾斜変化は大きくなる、10時噴火微動、空振を伴って宝永第2,第3火口で軽石噴火が始まる。
12月16日夕方 噴出物は白色の軽石から黒いスコリアに変わる。黒い火山灰が神奈川、東京など広い範囲に降る。
12月17日〜25日 17日夜、大きい地震があり、宝永第1火口からの噴火が始まる。噴火は強弱を繰り返す。
12日25日〜1月1日 宝永第1火口からの噴火が活発化、1月1日にやや爆発的噴火をした後、一連の噴火活動は終わった。
4月〜8月 丹沢山地、足柄平野で土石流、洪水による被害が発生する。
貞観噴火のシナリオ
x年4〜5月 震源が富士山の下の弱い地震(M
2〜M 3)が起き、次第に活発化する。
6月上旬 地震活動は活発(M
3)
6月中旬 噴火前日 M 5程度の大きい地震がある。東京など遠方でも揺れを感じる。
噴火当日午前 M 5程度の大きい地震があり、昼頃、溶岩を流出する噴火が始まる。(氷穴溶岩)
長尾山を中心に大量の溶岩を流出する。溶岩は朝霧高原、精進湖、西湖方向へ流れる。
8月中旬 溶岩の流出噴火は終わる。溶岩の堆積範囲は、西は朝霧高原、北は精進湖、東は西湖・鳴沢集落に及ぶ。
噴火の前兆現象から噴火にいたる経過は次のようになる可能性が大きい。
ア、震源が富士山の下の弱い地震(M 2〜M 3)が起き、次第に活発化する。
イ、地震が急増、土地の傾斜など地殻変動が始まる。
ウ、M 5程度の大きい地震があり、噴火が始まる。
エ、噴火は1〜3ヶ月で終わる。
富士山の過去の噴火から考えられる災害
| 溶岩流による災害 | 富士山の側火山は北西から南東の方向に分布している。次の噴火もその方向に側火山ができる可能性が大きい。 玄武岩質の溶岩は軟らかいので傾斜が急だと流れの速さが大きくなる。溶岩の量が多いと、谷に沿って三島溶岩流のように遠方まで流れる。噴出する溶岩の温度は1000℃〜1200℃である。(1.富士山の地質と火山 地質図参照) |
| テフラ(火山灰、スコリア等)による災害 | 宝永の噴火では溶岩の流出はなく、スコリアを多量に放出した。積もった厚さは須走で2〜3m,小山で1m,横浜で5cmになった。偏西風帯のため、火山灰は西風によって、富士山の東方に運ばれる。交通網にもたらす災害は大きい。(2.富士山の噴火活動 噴出物の分布図参照) |
| 泥流による災害 | 小山町須川橋付近の噴出物には、約2万年前、約1万6500年前、約2500年前の3枚の火山泥流堆積物がはさまっている。2500年前のものは御殿場泥流と呼ばれているが、御殿場市を広く覆い、三島市の扇状地も御殿場泥流で出来たと言われている。こうした崩壊による災害も心配される。(1.富士山の地質と火山 参照) |
| その他 | 地すべり,火砕流,火砕サージ,火山ガス、地殻変動、地下水の変動、空振などの災害も考えられる。 |