令和の関東大震災 2019年12月6日更新

 東日本大震災(2011年3月11日)以後,関東地方で発生する地震が多くなった.特に令和元年12月に入って関東地方で起こる地震が多くなり,令和の関東大地震が起こるのではと心配される.
 そこで,南関東の過去の被害地震を調べてみる.下図は,南関東(千葉県,東京都,埼玉県,茨城県南部,神奈川県,山梨県東部,伊豆半島北部)の1600年以降の地震活動についてのM-T図である.(縦軸Mがマグニチュード,横軸Tが年代)

 


 このMーTグラフから,次のようなことが読み取れる.

@マグニチュード8クラスの元禄関東大地震(1703年 M7.9〜8.2)と大正関東大地震(1923年 M7.9)の間隔は約200年である.(赤丸

A東南海地震や南海地震のような周期性とは違うようである.これはユーラシアプレート,フィリピン海プレート,太平洋プレートの3つが重なる複雑な地質構造のためと思われる.

B元禄関東大地震や大正関東大地震は,大地震の前に中規模地震が次第に増加し,大地震が発生し,その後静かになるという傾向が見られる.

C大正関東大地震から約100年経っている.南関東地方の地震活動は活発化し,M6〜M7クラスの中規模地震は増加している.特に2011年3月11日の東日本大震災から増加している.

 下図は大正関東大地震の震源断層面(赤枠)である.断面図から分かるようにユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で発生し,震源の深さが浅く,小田原や湘南地方は震度7に達した.大正関東大地震の死者・行方不明者は,14万人で,主に東京の地震に伴って発生した火災によるものであった.

 

 
 結論として,次の令和関東大地震が起こるまでは,まだ期間があるように思っていたのだが,活動期に入りM6〜M7の中規模の地震が多くなる傾向にある.
 三宅島の噴火によるマグマの北西方向への貫入によって,北東方向へ力が加わり,南関東地方は北東へ数cm変位したようである.これは関東大地震を早めることになったと考えられる.また,2011年3月11日の東日本大震災も,関東大震災を早めることになったと考えられる.