富士山に火砕流跡
 火砕流は高温の火山灰や溶岩の破片,火山ガスなどの混合物が高速で流れ下る現象で、雲仙の普賢岳やモンプレー火山の噴火活動の火砕流はよく知られている。白っぽい粘性の大きいデイサイト質溶岩を噴出する火山に発生しやすい。(1、富士山の地質と火山 (2)火山活動に使われる用語を参照)火砕流はその発生メカニズムから次のように分類されている。

(1)噴煙柱崩壊型火砕流
  爆発的な噴火のときできた噴煙の柱が腰砕けになって、斜面を流れ下る。
(2)ふきこぼれ型火砕流
  噴煙が上空まで運ばれず、火口から煮物が沸騰した鍋からふきこぼれるように溢れ出る。
(3)崩落型火砕流
  粘性の大きいデイサイト質の溶岩ドームや溶岩流が崩れて発生する。(普賢岳)
(4)爆発型火砕流
  山腹の火口から横方向への爆発によって発生する。(プレー火山)

 中央防災会議の富士山ハザードマップ検討委員会は富士山の地質調査で何回もの火砕流の跡を突き止めたそうである。
 富士山は粘性の小さい玄武岩質溶岩であるから、普賢岳のような崩落型火砕流ではなく、噴煙柱崩壊型火砕流やふきこぼれ型火砕流と考えられる。(02年4月20日記)