火山活動の規則性と考察 2014年5月1日

1. はじめに 

日本の火山(島弧火山)の噴火活動は、その火山の年令、マグマの成分や量などの違いにより複雑であるが、火山噴火による災害を少なくする為にも、火山活動の規則性を知ることは大事である。過去の島弧火山の火山活動から、規則性をあげ、考察してみる。

2.火山噴火の前におこる規則性

  ・群発地震、低周波地震が発生し、噴火が近づくと頻繁になる。
  ・地鳴りがする。
  ・火山体が膨張する。火口周辺の土地が隆起する。
  ・地域に分布する岩石の電気抵抗や地磁気が変動する。

考察
 マグマ溜りは、マグマの補充やプレート境界の地震による圧力の変化があると、気泡なども増加し、体積が大きくなる。
マグマ溜りや火道の周囲の岩石は圧力を受け、割れ目ができる。このとき地震が発生する。
マグマの熱により、岩石の電気抵抗や地磁気が変化する。


3.噴火活動の規則性

 ・火道が地表に達すると蒸気の圧力による爆発的な噴火がおこり、火道周辺の岩石が破砕され、火口ができる。(急な斜面で噴火すると岩屑なだれが発生する)
 ・火山ガス、テフラの放出に続いて、溶岩の流出が行われる。溶岩の流出がないこともある。
 ・噴火で放出されたテフラ(火山灰や火山弾など)は火口の周辺に堆積し、溶岩流がこれを覆い、火山体が成長する。
 ・一回(一輪廻)の噴火は溶岩の流出で終わることが多い。

考察
・マグマ自体が噴出する普通の噴火活動
 マグマ溜りや火道のマグマの圧力で周囲の岩石に割れ目ができ、その割れ目へ蒸気やマグマが貫入して行き、地表にまで達すると噴火が始まる。
・水蒸気爆発
 マグマ溜りや火道の熱によって、地下水が気化した水蒸気の圧力で、既存の岩石が破砕された爆発的噴火である。前ぶれの小規模の群発地震が発生する。また、山体の膨張や土地の隆起などはあまりない。御岳火山の噴火は水蒸気爆発である。

4.地形の変化の規則性

 ・火道が開いて噴火が始まってしまうと、マグマの圧力は小さくなり、火山体の膨張や火口周辺の隆起はなくなる。
 ・このような噴火が中央火口から時代を置いて、繰り返し行われるのが、複成火山であり、富士山のような成層火山ができる。

考察
 火道が開いて噴火すると、マグマ溜りの圧力は下がり、体積も減少するので、火山体の膨張はなくなる。
日本の火山の多くは成層火山である。


5.
単成火山についての規則性

 ・複成火山の山麓には複数の側火山(寄生火山とも言う)ができる。側火山は単成火山で、その噴火活動が終わると、次の噴火は別の場所で行われる

 ・東伊豆(静岡県)、阿武(山口県)、五島列島(長崎県)には側火山としてではなく、複数の単成火山が分布する特別な地域があり、独立単成火山群と呼んでいる

考察
  側火山の火道は、始め面的な割れ目だが噴火が進むと、線的な火道に変化する。側火山の線的火道は中央火道より細く、マグマの量も少なく、直ぐに固結してしまう。火道のマグマが冷えて固結すると強固な岩盤になり、その火道を使った再噴火は行われないようである。富士山には80個もの側火山があるといわれている。。


6.噴出物の成分の変化についての規則性

 ・一回の噴火でも、時代をおいた噴火でも、噴出物の成分は変化する。
一回の噴火では珪酸分に富む噴出物から珪酸分の少ない噴出物へ変化する(流紋岩質溶岩⇒デイサイト質溶岩⇒安山岩質溶岩⇒玄武岩質溶岩の方向へ変化)。
時代をおいた噴火では逆で、珪酸分の少ない噴出物から、珪酸分に富む噴出物へ変化する。
 ・溶岩の成分変化にともなって、溶岩の粘性や噴火の形式も変わる。


考察
 長い休止期があると、マグマ溜りでは重力のもとに結晶分化が進み、上部の比重が小さいマグマから、下部の比重が大きいマグマへと分化する。噴火は上部の比重の小さいマグマから噴出し、下部の比重の大きいマグマの噴出へ変化する。時代をおいた噴火では、マグマ溜りの周囲の岩石が溶け込み、マグマの成分は珪酸分の多いマグマへ大きく変化する。

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