茂木モデル(マグマ溜りの膨張・収縮) 2013年10月29日


 茂木モデル

 1958年 茂木清夫(地震学者でも有名)は火山噴火が近づくと火山体は膨張(inflation)し、噴火が終わると収縮(deflation)することを数値化した。
興味深いので取り上げてみた。(中村一明著 火山とプレートテクトニクスを参考にした。)

 
茂木モデルによる垂直変異曲線(Δh)と水平変異曲線(Δd) 
縦軸は変化量、横軸は隆起の中心からの距離(d) 
f は圧力源(マグマ溜りなど)の深さ。Mogi. 1958

 地殻を半無限弾性体とし、ある深さのマグマ溜りなどの圧力が増加すると火山体は膨張し地表面は隆起する。その隆起量Δhはマグマ溜りの真上の中心で最も大きく、マグマ溜りの深さの2倍(2f)以上離れると隆起は極めて少なくなる。
水平変異曲線(Δd)は水平方向の地表面の伸びをあらわしている。隆起の中心は水平のまま隆起するので伸びの量は0である。傾斜しているところでΔdは大きくなる。
 マグマ溜りの膨らみが大きくなり、限界に達して地表への割れ目などの火道ができ、爆発的な噴火や溶岩の流出を引き起こす。するとマグマ溜りの圧力が下がり、火山体は収縮し、地表の沈降が観測されることになる。地表面の変化はマグマ溜りの深さや割れ目の方向によって色々のようである。
 火山地帯のΔhやΔdを観測すると噴火の予知に役立つし、マグマ溜りの存在や深さなどが推測できる。
鹿児島の桜島火山、三宅島、ハワイのキラウエア火山などの隆起や沈降は茂木モデルに驚くほどフィットしているそうである。