水月湖の年縞 2013年7月29日 

 福井県の水月湖(すいげつこ)の堆積物にみられる年縞(non-glacial varve)※が地質学的年代の世界標準となり、世界から注目されている。(2012年7月)
水月湖には約15万年分の年縞があると言われている。
2006年、英国ニューカッスル大学の中川毅教授などは 水月湖の湖底から、ボーリングで、連続コア約71mを採集して調査している。
 地層、火山活動、考古学などの地質学的年代が正確になり、訂正が必要になった。
 この資料はネットで調べたもので、あまり正確ではない。これから順次訂正、追加していく。

   
年縞※
右側にある横線の間が1年間の堆積物

1.水月湖の特徴

 水月湖は年縞を調べるのに、世界でも類を見ない奇跡の湖である。
次のような条件を持った水月湖は周囲の影響をあまり受けず、同じような堆積環境を長く維持できた。

@水月湖は水深約34mあり、かなり深い湖である。
A水月湖は流れ込む大きな河川がない。また海にも直接つながっていない。
B水月湖は無酸素状態で生物があまり生息しない。
C水月湖は湖底が年平均約0.7mm沈降するので、堆積(年平均約0.6mm)が行われても埋まらない。
 
2.調査研究

水月湖の湖底をボーリングし、70数メートルの連続したコアー資料を採取し、年縞を数えた。
ドイツのポツダム研究所では年縞の縞1つ1つを偏光顕微鏡で数えたようである。
イギリスのウエールス大学では蛍光X線スキャナを使って、1年分を10分割して調べた。(60µm単位で分析)
また、年縞に挟まるテフラ、花粉、プランクトン、植物の葉なども調査している。

3.水月湖の調査研究で分かってきたこと

@姶良・丹沢火山灰層(AT)は地層や遺跡の年代測定に約24500年前として使われたが、年縞から30009年前という値になる。
A日本で最も古い土器(大平山遺跡)は16652年前のものである。(これまで16900年前)
Bこの地方は14800年前、ツガなどが繁茂する寒冷な気候から、ブナ、ナラが繁茂する温暖な気候へ変動した。
C約1万年前、韓国ウルルン島の大噴火の火山灰が挟まれている。
D約38200年前、水月湖周辺の大地震の傷跡が残されている。

※年縞:湖などの堆積物は季節によって変化するので、1年単位の縞模様ができる。この縞模様を年縞という。木の年輪ににている。
水月湖の年縞は春から夏にかけてケイソウが繁殖し白い層が、秋から冬には粘土鉱物の黒い層が堆積し、縞模様になる。
1年間に堆積する平均の厚さは約0.6mmである。(写真参照)