御嶽山の噴火活動 2014年9月29日 中学生、高校生の皆さんへ!作成途中

 御嶽山は長野県と岐阜県にまたがる海抜高度3,067mの成層火山である。約5000年前までは安山岩質マグマを噴出する火山活動をしていた。その後は、山頂付近に定常的に蒸気を出す噴気活動はあったが、噴火活動はなく、静かであった。
しかし、1979年(昭和54年)10月28日、死火山と思っていた御嶽山が水蒸気爆発を起こし、火山学者を驚かせた。有史以来、噴火活動がない火山を死火山と呼んでいたが死火山や休火山※1という表現はやめた。現在、気象庁では、「噴火活動や噴気活動している火山、そして現在、噴火活動をしていなくても、過去1万年以内に噴火した証拠がある火山は活火山としている。」
日本には活火山が約108個ある。静岡県には3つの活火山(富士山、箱根山、伊豆東部火山群)がある。箱根山は御嶽山のように噴気活動(大涌谷や小涌谷)している。

1979年 御嶽山は水蒸気爆発した。(下鶴大輔 1985年 P51より。※2)
前ぶれの群発地震から噴火にいたる経過
@ 1978年4月頃から、御嶽山の南東山麓 王滝村周辺で群発地震(※3)が発生し、10月にはM 5.3の地震もあった。その後、群発地震の回数は少なくなり、次第に衰退するかに見えた。
A 1979年10月28日 御嶽山は有史以来はじめてといわれる中規模の水蒸気爆発をした。
B 王滝村では、その後も M 3クラスの群発地震が続き、1984年9月14日 M 6.9の地震があって、山体の一部が崩壊し、大規模な岩屑なだれが発生し、29名の人命が失われた。
 

 
画像1.2014年9月27日11時50分頃の噴火(画像は全てNHKテレビで入手)
白い噴煙は水蒸気爆発の水蒸気が凝結した水滴と火山灰が混ざっている。
噴出直後の向かって左手の黒い噴煙は岩石片を多量に含んでいるので黒く見える。
この黒い噴煙に注目!

 
画像2,
横方向への放出物は斜面に沿ってくだり、重力による加速度で速度を増す。
上方への放出物もやがて重力加速度運動で落下してくる。テレビで、黒い石が飛んでいるのが見えた。
岩石片を含んだ黒い噴煙は時間の経過と共に岩石片が落下して取り除かれ、
水滴と火山灰が残り、白っぽくなる。
噴火口近くは数十cmの岩石片が雨のように降ったに違いない。
(画像1.画像2。画像3を比較すると分かる。)
 
画像3.
マグマ噴火による火砕流は高温だが、水蒸気爆発による放出物は温度があまり高くないので
被害者は落ちてきた岩石片が当ったようである。心からご冥福をお祈りいたします。
 
画像4.
火山性の地震が2014年8月頃から始まり、9月10日、11日には一日に70回程の地震があったようだ。
1979年の例があるので、この段階で噴火警報をだし、登山規制をすべきであった。

2014年9月27日の水蒸気爆発
 御嶽山は1991年、2007年にも、ごく小規模な噴火があったが、今回(2014年9月27日)の噴火は1979年の噴火に似ている。
画像4.のように、2014年8月末から群発地震が始まり、9月10日、11日頃ピークがあり、少なくなったところで水蒸気爆発が始まった。
マグマを噴出する活動に比較して、地下水が熱せられて蒸発した水蒸気の力による水蒸気爆発の前ぶれの地震は小さいようである。1979年の前例もある。小さな地震や異常でも、登山者が多い火山は、噴火警報や登山規制をすべきではなかろうか。

※1.休火山:有史以来噴火の記録はあるけれど、現在噴火活動をしていない火山。
※2.下鶴大輔 1985年「火山活動をとらえる」東京大学出版会
※3.群発地震:地殻内の浅い所で、狭い地域に集中して、小さな地震が多数起こる。不均一な岩盤へ力が加わって、小さな割れ目が沢山できるとき発生する。数時間から数年続くこともある。

もどる