火山噴火の予知 2012年2月14日 

地震の予知は大変難しい。東日本の大震災でも分かるように巨大地震が突然発生し、大被害が発生した。
しかし、ある火山が何の前触れもなく大噴火をして、多数の死者がでたという例は近年ない。火山噴火が近づくと、いろいろな前兆現象が発生し、人々は避難するからである。しかし、過去にはイタリアのベスビアス火山噴火(79年)、西インドシナ諸島マルチニーク島のプレー火山の噴火(1902年)では火砕流に覆われ多くの人が亡くなった例もある。前兆現象の観測が大事である。
火山噴火の予知は 1.長期的な予知と 2.噴火が近づいた時の短期的な予知に分けられる。

1.長期的予知
例えば富士山が何年後に噴火するというような予知は、まだ不可能である。過去の噴火を調べ、1万年以内に噴火した証拠がある火山、噴気活動している火山を日本では活火山とし、噴火を予知しようと観測をしている。静岡県にある活火山は富士山、箱根火山、伊豆東部火山群である。
宝永大地震の一か月半後、富士山は1707年(宝永4年)に噴火した。次に東海地震が発生すると富士山が噴火する可能性が大きい。

2.短期的予知

火山噴火が近づくと、噴火の前兆現象として、群発地震、マグマの動きを示す低周波地震(※1)、山体の膨張、マグマの熱により、地下の岩石の電気抵抗や地磁気の変動などが発生するので、ある程度予知ができる。

例1、伊豆東部火山群の手石海丘:伊東市の沖合で1989年6月群発地震が発生し、地表面変異、井戸の水位や温泉の湧出量に変化なども発生し、7月13日、海底に噴火活動が始まり、周囲からの高さ10m、火口の直径200mの海底火山(手石海丘)ができた。

例2、桜島火山:1955年から活発な噴火活動を繰り返しているが、次のように進行する。
マグマの上昇により火山体が膨張し、地震の震源が深部よりしだいに浅くなり、火口直下で地震が起こるようになると、火山噴火が始まる。

例3、伊豆大島:1986年11月の噴火では、噴火の3ヵ月前から三原山火口周辺の地磁気や地下岩石の電気抵抗が異常に減少したり、火山性微動が発生するなど前兆現象が観測された。

3.火山噴火の例
@マルチニーク島のプレー火山(Mt. Pelée) 
1902年の噴火では、火砕流が海岸にあるサンピエールの町を襲い、一瞬にして約3万人が犠牲になった。
火砕流は高温の溶岩の破片、火山灰、火山ガスなどの混合物が斜面を高速で流れ下る現象である。(普賢岳でも発生した。)
プレー火山は1902年4月25日噴火活動を始めた。噴気活動や火山灰の噴出があり、危険な状態にあった。しかし、サンピエールは安全であるという報道もあり、町の人たちは避難が遅れてしまった。
1902年5月8日 火砕流がサンピエールの町を覆ってしまった。町の生存者は3名だけであった。

Aメキシコのパリクチイー火山(Paricutin Volcano)
火山噴火は、これまで噴火したことがある火山や複成火山の側火山として、或いは単成火山群の中などで起こる。
火山がないところで噴火活動が始まり新しい火山ができることは珍しい。
1943年 高原の村では噴火の15日程前から地震が頻繁に起こり、遂にトウモロコシ畑に割れ目噴火が始まった。
それから、9年間、溶岩とテフラを噴出し、近隣の二つの村は溶岩で埋まったが、死傷者は出なかった。高さ424mの火山が誕生した。

 ※1:富士山の低周波地震については 2.富士山の噴火活動の「活火山」に説明がある。富士山の低周波地震の観測は1976年頃からであるが、2000年末に観測史上最多を記録した。2000年9月から増えはじめ、10月には133回、11月には222回、12月には144回、2001年になって1月、2月、3月は50回以下に減少したが、4月から増えはじめ、5月には164回と増加した。
 富士山の低周波地震の起こり方は頻繁に発生する活動期とあまり発生しない静穏期を繰り返している。過去の活動期は1987年、1989年、1997年から1998年などである。活発な時期は数ヶ月続くのが特徴である。
 低周波地震の観測の歴史が浅いので、よく分からない点があるが、今度の活動期が富士山の噴火につながるとは考えられない。しかし、富士山の下にあるマグマ溜まりのマグマが増加するなどの現象が起きているのかもしれない。
 富士山の低周波地震がどのような仕組みで発生するのか定説はないが、マグマ溜りの中でのマグマの動きや、マグマの増加などによる応力が、その周辺の岩盤に作用して生ずると私は思っている。もしマグマがマグマ溜りから出て、岩脈状に貫入をはじめたら、普通の群発地震が発生し、土地の傾斜などの地殻変動も生じ、富士山の噴火につながる。今のところそうした現象はみられない。いずれにしても地震や傾斜変動の密な観測網の整備が必要である。いつかは噴火するであろう富士山麓の開発はしない方がよい。

火山以外でも低周波地 阪神大震災後、防災科学技術研究所が全国約500箇所に設置した高感度の地震観測網のデータから、火山とは関係ない場所でも低周波地震が発生していることが分かってきた。
 長野県南部から豊後水道にかけての長さ約600kmの帯状地域には、深さ20〜30km付近に多発している。これらの低周波地震の原因は沈み込み帯で脱水分解反応で生じた水の動きに関係していると言う見方がある(1、富士山の地質と火山 (4)マグマについて 沈み込み帯を参照)