電波(VHF=超短波)や地震雲の観測で地震予知はできるか?
電波(VHF=超短波)
3エレメントの八木アンテナとFMラジオを使って、ペルセウス座流星群の観測をしたことがある。FM電波(VHF)は電離層を突き抜けてしまい、反射しない。したがって、直接波が届かない遠方のFM放送局は聞くことが出来ない。しかし、FMラジオを遠方の放送局の周波数に合わせ、八木アンテナをその方向に向けて、観測していると、1秒〜数秒放送が聞こえることがある。
流星が高速で大気中を通過すると、大気の分子を壊し,帯電した空気層が出来る。この空気層がFM電波を反射し遠方まで届くことになる。「あいー」と言うような放送の断片的な音声を1つの流星として数えた。上空を飛行機が飛んでいくときも、飛行機で反射した強いFM電波を受信できた。
地震が近づいている地域の上空に電子密度の変化が生じて、電波の散乱が起きると考え,電波観測から地震予知が出来るのではという話を聞く。
地震が近づいている地域の上空に、ほんとに電子密度の変化が生じているのか。また、どのようにして電子密度の変化が生ずるのか、科学的に説明ができていない。
岩石を破壊すると弱い電磁波が発生する。しかし、地震の前に上空の電子密度を変化させるような強い電磁波の発生は考え難い。
次のような長期に渡る統計的な観測が必要である。
地震の予知に使っている電波(周波数や波形)が、例えば数年間に何回観測されたか。
・電波が観測された内、地震が起きたのは何回か。
・電波が観測された内、地震が起きなかったのは何回か。
・電波は観測されなかったけれど、地震が起きたのは何回か。
超短波(VHF)の遠距離伝搬については上記の流星の痕の帯電した空気層の反射、飛行機の反射以外に次のような伝搬がある。
@ 太陽面の活動が活発なとき、スポラジックE層と言うVHFを反射する電離層ができる。
A 標準大気中の電波の屈折率は高さとともに減少する。また、気温も高さとともに下がる。しかし上層の方が下層より気温が高くなるような逆転層が出来ると、電波の屈折率も逆転する。この逆転層は超短波(VHF)を反射する。この異常伝搬を生じさせる大気層をラジオダクトという。
上空に電子密度の変化が生じて、FM電波の散乱が生じるというのは、@やAのようなものではないかと私は考える。
地震雲
地震雲についても、科学的説明がない限り、地震予知に使いたいならば、電磁波と同じような統計的な観測が必要である。
・地震雲が観測された内、地震が起きたのは何回か。
・地震雲が観測された内、地震が起きなかったのは何回か。
・地震雲は観測されなかったけれど、地震が起きたのは何回か。
私はどのような雲を地震雲というのか知らない。いろいろな形をした雲があるし、マグニチュードの小さな地震は沢山発生するので意味のない結果になるに違いない。