中学生・高校生の皆さんへ! 2013年4月 作成途中
人類は600万年前頃、類人猿から分かれて、進化したといわれているが、類人猿(ゴリラ、チンパンジー、オランウータンなど)と人類をつなぐ中間形の化石(ミッシングリンク)は未発見である。しかし、分子生物学の研究からも、類人猿と人類は600万年前(中新世末)に共通の祖先から分かれたことが明らかになってきた。
参考文献 「生物進化 101の謎」(瀬戸内烈司 監修)
「137億年の物語」(著者 クリストファー・ロイド)
1.人類が類人猿と分かれた頃(600万年前)
2500万年前頃、大陸移動による大陸の分裂や衝突があって、各大陸の気候は大きく変化し、アメリカ大陸やヨーロッパは寒冷で霊長類は絶滅したようである。しかし、アフリカ大陸は温暖で霊長類が生きつづけ、600万年前頃、アフリカ大陸大地溝帯には多種の生物が生息していた。また霊長類の進化を促す気候の変動もあって、類人猿や人類の分化が行われた。
@トゥーマイ(化石に付けた名前)
トゥーマイはアフリカのチャドで発見された700万年前の頭骨の化石である。頭骨には眼窩上突起(目の上の出っ張り)があり、脳の容積は小さく350CCでチンパンジーとほぼ同じである。人類がチンパンジーから分かれて間もない頃の化石だと考える科学者もいる。
トゥーマイの頭骨化石
Aルーシー(化石に付けた名前)
ルーシーは1974年11月30日エチオピアで発見された350万年前の女性(約20歳)の化石で、全身の骨の40%が見つかった。脳の容積は375〜500CC、身長110cm、体重29Kg、骨盤の形から直立歩行していた。
ルーシーが見つかって4年後、タンザニアで370万年前の火山灰層から直立二足歩行の足跡の生痕化石が発見されている。
2.石器を使うホモ・ハビリス(240万年前)
脳の容積は650cc、身長130cm鋭利に削った石器を使った最初の人類、旧石器時代の始まりである。
アフリカのオルドヴァイ峡谷で生活していた。
ホモ・ハビリスの化石 |
ホモ・ハビリスの想像図 |
3.槍を使って猟をしたホモ・エレクトス(180万年前)
リチャード・リーキーによって、1984年アフリカのケニアで10歳の少年の化石が発見され「トゥルカナ・ボーイ」と名前を付けた。彼の鼻は高くて長く、頭部をめぐる血液を冷却するのに役立っていた。脳の容積は900ccあった。彼らは槍を使って、野獣を狩り、火を使って調理して食べたようである。
ホモ・エレクトスは170万年前頃、アフリカからヨーロッパやアジアへ分布を広げていった。50万年前にはイギリスに到着し、頭骨の化石(ハイデルベルゲンシス)が発見されている。アジアでは約100万年前の化石(ジャワ原人)や約80万年前の化石(北京原人)が見つかっている。
ホモ・エレクトス
4.死者を埋葬するネアンデルタール人(35万年前〜3万5000年前)
ネアンデルタール人は約35万年前、アジアに現れ、北と西へ分布を広げていった。3万5000年前にはイギリスに到達し、洞窟からアゴの化石が見つかっている。脳の容積は現代人とほぼ同じで、背が低く(男性が約165cm)、毛深く、がっしりした体格で、厳しい氷河期を乗り越えてきた。彼らは手先が器用で、鋭利な石器を作製し、アナグマの大腿骨を使って笛らしきものを作った。また死者を埋葬するような風習もあった。
1983年、イスラエルの洞窟から発掘されたネアンデルタール人の化石に現代人と同じような舌骨があり、言葉を話したことが分かる。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは数千年にわたる共存があり、交雑があったに違いない。遺伝学的証拠によると、赤毛、そばかす、白い肌などの形質はネアンデルタール人から受け継いだ可能性があるそうだ。
イスラエルのネアンデルタール人(約6万年前)の墓地遺跡から発掘。
5.言葉を話、投げる武器を使う、ホモ・サピエンス(約19万5000年前〜)
1967年エチオピア南部で発見されたホモ・サピエンスの頭骨の化石は19万5000年前のもので、眼窩上突起がなく、現代人の頭骨によく似ている。
ホモ・サピエンスは7万年前から5万年前、アフリカからアラビア半島を経由して世界へ分布を広げていき、現代人に繋がる人類である。
4万年前にはオーストラリヤアへ、2万年前にはイギリスへ着いた。約1万5000年前の氷河期に海水面が下がり、ベーリング海峡が陸化し、アジア大陸と北米大陸が陸続きになり、南北アメリカ大陸へ分布を広げていった。
その後、氷河期と間氷河期による海面の上下変化で、各大陸に隔離されるなどで変異し、次の4つの民族が生まれた。
@コイサン語族(アフリカ人)、Aコーカソイド(ヨーロッパ人、クロマニヨン人とも呼ぶ)、Bモンゴロイド※(中国人、日本人、アメリカ先住民)、Cアボリジニ(オーストラリア先住民)である。
ホモ・サピエンスはそれぞれの生活様式を伺える動物の骨や牙を利用した縫い針、ネックレス、また土器、彫刻、壁画などを残している。
1908年オーストリアで発見された最古の「ビィレンドルフのビィーナス」2万4000年前 |
1879年スペインのアルタミラ近くの洞窟で、9歳の少女マリアが、2万年前の野牛の壁画を発見した。 暗い洞窟の中の壁画は祭祀のために描かれたと思われる。 |
フランス南西部ドルドーニュ地方に残る「ラスコの洞窟壁画」。 周囲の黒い部分と白い点は星空を描いたもの、1万7000年前 |
※Bモンゴロイドの日本人の祖先は、3つのルートをたどって日本列島へ来たようである。北海道ルート:シベリアのアムール川流域から、陸続きであったシベリア、サハリン、北海道と移住してきた(約2万6千年前)。 津島ルート:朝鮮半島から、津島、九州、本州へ渡ってきた(約3万8千年前)。沖縄ルート:大陸と陸続きであった台湾から、沖縄、石垣島、九州と渡って来た(約3万6千年前)。三島市の箱根山西麓の初音ヶ原遺跡には多くの土坑(小型動物を捕獲する落とし穴)がある(約3万年前)。
6、人類の未来は?
人類は急激に人口を増加している。世界の人口は1800年頃約10億人であったのが、1928年には約20億人、1961年には30億人、1974年には40億人、1999年には60億人、2011年には70億人に達した。
資源に限りがある地球で、贅沢な70億の人類を支えるのには無理があり、自然の破壊が進み、多くの生物を絶滅に追いやっている。
人類は他の生物と共存しなくては生き残れない。歯止めの効かない利益や物欲に走っていると、気がついた時には手遅れになる。
二酸化炭素の増加による気候の温暖化や海水の汚染、森林の伐採による砂漠化の例で分かるように、破壊された自然は簡単に元へ戻らない。自然に畏敬の念を持ち、今直ぐエネルギーの消費を極力抑えた素朴な生活に戻らなくてはならない。