チーズの発達

チーズの分類

チーズの名称と種類


 現在日本で使われている「チーズ」という言葉は英語の”cheese”であるが、チーズを意味する語はドイ ツ語の”kase”,フランス語の“fromage”,スペイソ語の“queso”,イタリア語の“formaggio,そしてス カソジナビア諸国における”ost”と呼ばれています。
 チーズの種類は多く,酪農が盛んだといわれているヨーロッパ諸国ではそれぞれ20〜50種類のチーズを 製造している。フランスだけは例外であり、350種以上のチーズが造られています。世界全体では1000種類は あるといわれています。しかし大きさや形態を別にした実際のカードの種類はチーズ名の1/40以下であり 、60種を越えることはないといわれています。
 チーズは大きく分けてナチュラルチーズとプロセスチーズに分類されます。ナチュラルチーズとプロセス チーズの違いは、ナチュラルチーズは牛乳から直接造られる物をナチュラルチーズと言い、このナチュラルチ ーズを原料に造られるのがプロセスチーズです。ナチュラルチーズは大きさ、形、重量、色、外観、固形分中の脂 肪割合、食塩含量のような特性を有するのでそれらが分類の基準として使用されます。

国際的分類


 非常に大まかな分類は表を参照してください。これは後で述べるFAO/WHOの国際食品規格のチーズー般国 際規格に示されているものです。この分類はチーズの大きさ,形あるいは外観を競走していません。

硬度,脂肪含量,主要熟成特睦に基づくチーズの分類
                (FAO,WHOチーズー般国際線格1978)
次の分類は、本規格に含まれるすべてのチーズに適用されるが、特別な条件を持つ個別チーズの規 格に記載されている名称に優先するものではない。
第 1 用 語第 2 用 語第 3 用 語
 MFFB名称の第1語 FDB  名称の第2語主要熟成特性による名称
<51特別硬質   >60高 脂 肪1.表面熟成


2.かび熟成

3.熟成しない
a.主として表面
b.主として内部

a.主として表面
b.主として内部
49−56硬   質  45−60 全 脂 肪
54−63半 硬 質  35−45 中 脂 肪
61−69半 軟 質  10−25 低 脂 肪
>67 軟   質  <10 脱   脂

*MFFB%(Percentage moisture on a fat-ferr basis)とは、乳脂肪以外の重量中の水分含量(%)に等しい。
          チーズ中の水分重量
すなわち─────────────────── ×100
       チーズの全重量−チーズの脂肪重量

*FDB籍Percentage fat on the basis)とは、固形文中の脂肪含量(%)に等しい。
           チーズ脂肪重量
すなわち───────────────────  ×100
        チーズ全重量−チーズの水分含量

例:MFFBが57%,FDBが53%であり,ロックホールの熟成と類以の方法で熟成されたチーズの名称は次のようになる。

   半硬質      全脂肪    内部カビ熟成チーズ
──────  ─────  ──────────
  第1用語     第2用語       第3用語

チーズの一般国際規格


摘要範囲
 ホエーチーズには適用されない。個別チーズ又はグループチーズの国際規格(ホエーチーズ国際規格)によ り具体的に規定されている場合はそれらの条項が摘要される。

定  義
 フレッシュ又は熟成した固形又は半固形成品で(a)レンネットまたはその他適 当な凝固剤の作用により、 乳,脱脂乳,部分脱脂乳,クリーム,ホエークリーム,バターミルク,またはこれらのどんな混合物であっても、 それらを凝固させ、この凝固物 より分離するホエーを部分的に流出させて造るか、または(b)乳及び乳から 得られる原料を用い、凝固を引き起こす加工技術により、(a)に規定する製品と 同じ科学的、物理的、官能的 な特性を有する製品をつくることによる。

添加物
  着  香  料…スパイスのように乳に由来しない天然着香料は、着香を目的とした量のみを              使用できる。
  その他添加物…個別チーズまたはグループチーズの国際規格に従う。それらの規格を持たな              いチーズについては技術上、不可欠な添加物および類似タイプの チーズの              国際規格に認められている添加物のみを使用出来る。

ホエーチーズ一般国際規格


摘要範囲
 羊乳から製造したホエーチーズには適用されない。

定  義
 ホエーを濃縮し、それに乳及び乳脂肪を添加または添加せずに、その濃縮ホエーを 型詰めして造る製品を 言う。ホエーチーズの固形分とは乳糖の結晶水を含む
成分規格
 固形分中の脂肪含量 クリーム添加ホエーチーズ=33%以上,
 ホエーチーズ=10%以上,脱脂ホエーチーズ=10%未満
食品添加物
 ソルビン酸及びそのナトリウム塩,カリウム塩(ソルビン酸として1,000mg/kg 以下)

日本のナチュラルチーズ・プロセスチーズおよびチーズフードの規格














種類別名称規格
ナチュラルチーズ乳(乳等省令のもの),クリーム,バターミルク,また はこれらを混合したものを擬固させたあと、乳清を除去して得られる生鮮のもの。または熟成したもの。ただし 香りおよび味を附与する目的で香辛料として乳に由来しない天然の風味物質を添加することができる。
プロセスチーズ一種またはそれ以上のナチュラルチーズを用いて食品衛生法 で認められている添加物を添加するか、または添加せず粉砕し,混合し,加熱溶融し,乳化してつくられるもの で、乳固形分が40%以上のもの。ただし脂肪量の調整のためクリーム,バター,またはバターオイルを加えるこ とができる。香りおよび味を附与する目的で香辛料,調味料または食品を加える場合は、製品固形分の1/6以 内とする。ただし脱脂粉乳,全粉乳乳糖,ミルクカゼイソ,または乳に由来しない脂肪,蛋白質または炭水化物 を加えないものとする。
チーズフード一種またはそれ以上のナチュラルチーズ,またはプロセ スチーズを用いて、食品衛生法で認められている添加物を添加するか、または添加せず粉砕し混合し、加熱 溶融してつくられるもので、製品中にチーズ分51%以上を含むもの。ただし香りおよび味を附与する目的で 香辛料、調味料または食品を加える場合は製品固形分の1/6以内とする。乳に由来しない脂肪,蛋白質また は炭水化物を加える場合は最終製品重量の10%以内とする。

Cheeseのタイプ別分類

1.非熟成のフレッシュタイプ(Fresh,Unripend Cheese)
  熟成工程をとらないCheeseでCream,Ricttaがこれに属する。味はCheeseのうちで最もマイルドで最も 軽い、一般的には加塩しない。

2.ダブル及びトリプルクレム(Double and Tripl Cremes)
 ダブルクレム…60%,トリプルクレム…75%
  クリーミーでしかも味がしつこい。あるものは熟成工程をとらない非熟成Cheeseに分類される。たと えばPeilt Swiss(プチ スイス)で熟成しないとしても脂肪量60〜75%までいろいろある。他のダブル クレム,トリプルクレムは、約3週間熟成をし、非常に薄い棉毛のようなリンドをつくる。種のものとし てBoursaul(プルソール),Brillat-Savarln(ブリヤ・サヴァラン),Exce1sior(エクセルオール)があ る。

3.温和でバター用のもの(Bland and Buttery)
  安定したマイルドな味でよく使われる食卓用Cheeseである。Samsoe(サムソー)グループ,Edam(エダム) ,Gouda(ゴウダ),Belpaese(ベルベーゼ),Fontina(フォンティナ),がこれに属する。このようなCheese は組織が引き縮まっていてしなやかである。

4.スイス・スタイルチーズ(Swiss−Style Cheese)
  最も有名なCheeseはEmmentaler(エメンタール)で堅いリンドに覆われていて特有な孔又は「眼」 (eyes)があり風味は特徴のあるマイルドで甘みがありナッツ様である。Swiss−Style Cheeseは普通リン ドが非常に堅く中味は沢山の孔が見られる。

5.チェダースタイルチーズ(Cheddar Style Cheese)
  引き縮まった組織で黄色味を帯びていて、クリーンで芳純な味でさらに熟成が進むとシャープでピリ ッとした刺激性が出てくる。Gloucester(グロスター),Cheshire(チェシャー),Leicster(レスター), Lancashlre(ランカシャー),Derby(ダービー),Wensleydale(ウェンスリーディル),Caerphllly(ケアフ イリー)は全てCheddar系に属するBlue Veln(ブルーヴェイン)であるstilton(スチルトン)でさえも、 Cheddarが基礎になっている。
6.超硬質チーズ(Extra−hard Cheese)
  これに属する大半のCheeseはイタリアのGrana(グラナ)スタイルであるこれは非常に硬くもろい組織で あり粉末用に適して、また非常にシャープで舌を刺す様な風味を持っている。このタイプのCheeseは3年以 上熟成する。Parmsan(パルメザン)はこのタイプで最も良く知られたものであるが、Swiss Sbrinz(スイ ス スプリンツ)やSapsago(サプサゴ)もまたこの種に属する。

7.修道院チーズ(Monastery Cheese)
  このグループは修道院でつくられたということから歴史的に何等可のつながりがあると言われている port salut(ボール サリ ュー),Salnt pauiln(サン ポール)のように世界中のどこでもつくられて いる、各種のTrappist(トラピスト)Cheese Esrom(エスロム)およびHavarti(ハヴァテイ)は類似し た味を持っている。山岳地帯でつくられる数種のCheeseにBeaumont(ボンモン)やReb1chon(ルブロション) などがある。修道院のCheeseはほとんどリンドを洗い落とすCheeseである。

8.ブルーヴェイン(Blue Velns)
  この種のCheeseは中味が青色,濃青色または緑色の筋模様になっていて刺激性のある香りとピリッと した刺すような風味である。Blue Veln CheeseはすべてPenicillium胞子を植えた後、内部から熟成してく る。一般に軟質Cheeseに分類されるが組織はぼろぼろしたところがある。Roquefrt(ロックフォール),Stl lton(スチルトン),Gorgonzola(ゴルゴンゾラ)は世界三大Blue Velnsである。

9.カマンベールとブリータイプ(Camembent and Brie Types)
  この種のCheeseはリンドに粉がふいたようなCheeseとして知られている。が、それはふわふわした棉 毛のような白いリンドでPenicillium candidam菌糸で表面処理をすることによってできる。中身はペース ト状になり柔らかく淡黄色をしている。ちょうど食べ頃のCheeseは切ったときそのペースト状の中身が下 部の方からふくれて出てくる。

10.ヤ ギ 乳 チ ー ズ(Goat's Milk Cheese)
  このCheeseは牛乳Cheeseとは明らかに味が違いまたいろいろな形や大きさがある。例えばビラミッド形, 円錐形,円筒形のものがありすべて小さめである。このCheeseはすべて特別な納屋臭やヤギ臭があるがその 強さは、それぞれのCheeseの熟成日数によってちがってくる。あるものは非常に上品であり、またあるものは すごい刺激性の不愉快な風味がある。フランスではヤギ乳のCheeseをChevres(シェヴレ)と呼ぶ。

11.羊乳チーズ(Sheep's milk Cheese)
  羊乳cheeseはヤギ乳cheeseのように牛乳cheeseとは非常に異なった味がする。その風味はマイルドな ものからシャープなものまである。あるものは非常に塩辛くて、これは塩水中で熟成をするからである。 伝統的なギリシャ産のCheeseの多くはこの種類に属する。Fata(フェタ)が最も知られている。その他に Kashkaval(カシュガヴァル)やKasseri(カッセリ)は非常に「羊様の」風味(Shepy)すなわち刺激的 で非常に魅力的な酸味がありそして多くのヤギ乳cheeseのように納屋臭がある。

12.香辛料添加チーズ(Spicsd or Flavoured Cheese)
  各種の薬事や春辛料を加えてその風味を付与したcheeseである。Derby sage(ダービーセイジ) は禄色をしているが製造工程中にカードにサルビアの葉を加えるからである。Leyden(ライデン)はキャラ ウェイやカミンの種子を加えたものである。

13.スモークチーズ(Smoked Cheese)
  Cheddar,Emmentalerをくん煙処理しその風味を付与したものである。

14.ホエーチーズ(Whey Cheese)
  Gjetsot(イエトスト)で独特な外観と味がある。乳糖(ラクトース)を多く含み工程中にクリーム を加えるので厚切チョコレート入りキャンディーのように見える。Rictta(リコッタ)も非熟成cheeseとし て分類されホエーからつくられる。

15.強烈なにおいのチーズ(Strong−Smelling Cheese)
  この種で最も知られているのがLlmburger(リンバーガー)であり、これはベルギー産であるがドイツ 人における人気が非常に高いためドイツ産と思われていた。非常に強烈なにおいのCheeseは普通リンドを 洗い落とす種類に分けられる。

16.加熱加工チーズ(Procesied Cheese)
  1〜2,3種類のナチュラルチーズを加熱溶解し乳化したものである。

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