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会社法施行以後、本日までに扱った事例について

 

新しい制度を採り入れるにしても、手順があります。

他の会社がいろいろな方法で新制度を採り入れていますので、それに準じて自分

の会社にも新制度を採用したらいかがでしょうか。

 

 

 

 

A,任期伸長編

 1,任期のみを伸長する

これは、従来の役員の任期満了する前に定款を変更して、譲渡制限会社

については、従来の任期を延長するものです。

この場合、議事録での決議は次のようになります。

 

第1号議案     定款変更の件

議長は、当会社の機関に関する定款の規定を次の通り変更したき旨を説明し、その賛否を諮ったところ満場異議無く承認し、本義案は可決確定した。

 A,取締役(監査役)の任期に関する規定変更の件

議長は、取締役および監査役の任期に関する定めを次のとおり変更したい理由を詳細に説明し、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって承認可決した。

 (任期)

○○条 取締役の任期は、選任後10年以内、監査役の任期は選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

                    補欠又は増員により選任した取締役の任期は、その選任時に在任する取締役の任期の満了すべき時までとする。

2,前記1の方法は一番簡単ですが、取締役と監査役の選任の日付が同一で

無い場合はややこしい問題が生じます。

役員の残存任期は、10年−(その時点までに経過した日数) となりますから、

取締役が1年経過して、監査役が3年経過している場合、取締役の残存任期は

9年、監査役は7年です。

次の役員任期満了の日を覚えておけるのでしょうか?これが一番の問題です。

 

その場合、現存役員の残存任期にしたがって、下記の選択肢があります。

a, 残存任期がそろう場合

この場合は、難しいことはありませんで、上記1の決議を行なって、残存

任期は取締役・監査役とも同じになりますので、その日を記憶しておけば

よろしいということです。

b, 残存期間がそろわない場合

従来の商法による取締役、監査役の任期はそれぞれ2年4年間でした。

これですと、同時に選任された取締役と監査役の残存任期は当然に異な

ります。

その状態のままですと、ミもフタも無い話ですが何も出来ないというのが

本当のところです。

そこで、取締役なり監査役なりの任期満了に伴う後任者選任に伴って余

計に任期の残っている役員をいったん辞任させて、即座に再選し、任期の

起算点を合わせてしまえば、任期はともに10年まで定められるので、再選

から10年後に役員変更を行なえばよいようになります。

 

 

B,組織制度を簡略化する。

1,取締役会廃止

a,  取締役の人数を減らし、取締役会を廃止する方法

これが出来るのは当たり前ですが譲渡制限会社のみです。

取締役会を設置すると3名以上の取締役を選任しなければならず、しかも

監査役を置く必要が生じ、機動的な経営が出来ない事態を避けるために

簡略な形態を選択できます。

会社法施行当時に存在する 株式会社 はすべて、取締役会設置会社で

監査役設置会社ですから、これを非取締役会設置会社にするには、その

旨の定款変更決議を行ない、かつ代表取締役を置く場合は代表取締役を

選任し、代表取締役を置かない場合は取締役の各自代表となります。

取締役の人数を減少させるのは取締役辞任なり解任なりによります。

従来の代表取締役をそのまま代表取締役として残す場合でも、新しい定款

規定に基づいて代表取締役を選任しなければなりません。その場合は代表

取締役の登記はそのまま残ります。

 

 

b,  取締役の人数はそのままで取締役会を廃止する方法

aのように、取締役辞任や解任手続をせず、単に取締役会廃止の定款変更

決議を行ない、代表取締役に関しては上記a同様の手当てを行ないます。

 

2,取締役会廃止とともに監査役も廃止する

上記の1a の決議とともに、監査役廃止の決議を行ないます。

この場合は、決議当時に在職していた監査役は、決議の効力発生をもって

退任します。

 

 この項おわり