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2001.3.4



無事、宇都宮に帰ってきたのである。

正直言って、実は、旅の疲れが抜けてないのである。(汗)
遊んできて疲れが抜けない、というのなら自業自得だが、実は「旅」と言っても
遊んできたわけではないので、あんまし自業自得でもないかも知れないので、
今日は少し軽めにして、明日に備えるのである。


というわけで、本日は、旅に出かける前にやりかけた、「肺葉や肺区域に一致
しない、感染によるconsolidation」の続きをやるのである。
前回が「細菌性気管支肺炎」であったから、今回は、細菌性以外の、良く俺が
言うところの「イヤな病原体」による肺炎、ということになる。


イヤな病原体のトップバッターはマイコプラズマ。70歳未満の肺炎の
30%を占めるという話もあり、侮れない。
4年ごとに流行し、「オリンピック肺炎」などと呼ばれたのも今は昔。現在は
周期性は失われ、いつでも見られるそうだ。がっかり。
CT所見は多彩だが、「肺動脈影の拡大と気管支壁の肥厚」「小葉中心性の
粒状変化」「末梢肺野(胸膜下よりもやや中枢側優位)の均等な濃度上昇」

なんかが特徴であるらしい。
20%で胸水。小児ではリンパ節腫脹や胸水貯留頻度が比較的高い。


次は結核である。
結核には、一次結核(初感染)と二次結核があって、一次結核は「胸膜下の炎症
とそれに引き続く乾酪病巣、肺門部のリンパ節炎」という病態であり、それを
反映して、「濃度の高い浸潤性変化、および肺門・縦隔のリンパ節腫脹」
特徴とする。浸潤性変化は中葉及び下葉、特に下葉の下半分に多いが、ここだけ
とは限らない。
次に二次結核。これは初感染後の結核が、免疫低下に伴って再び活動を開始した
ものであり、普通の結核のほとんどは二次結核である。
好発部位は右S1、S2、左S1+2、そして
両側S6。つまりは上の方やね。
活動性の結核に特徴的なのは小葉中心性の結節や分枝状構造。気道散布
された結核菌が増えることにより、細気管支内の乾酪壊死物質がそう見える
わけだ。
これが大きくなると、互いに癒合し、汎小葉性変化となり、更にそれが癒合する
と、他の肺炎と同じ様な所見になってくる。この時には、小葉中心性や汎小葉性
病変の他に、5〜8mmの結節や小葉間隔壁が認められる。
さらに病状が進むと、病巣の真ん中に空洞が出来てくる。空洞の存在は活動性
病変を示唆する
そうである。空洞は肺癌でもできるが、周囲に小葉中心性や
汎小葉性病変があれば結核の可能性が極めて高いらしいので覚えておこう。
リンパ節が腫れる場合は右気管傍や気管分岐下に出る場合が多い。
‥‥まあ、こんなところにしておこう。粟粒結核は次回のお楽しみ。

次は、結核の親戚、非定型抗酸菌である。
非定型性抗酸菌といってもたくさんあるんだが、M.avium complex(いわゆるMAC)
とM.Kansasiiの2種で症例の90%を占めるらしい。この2種は丸覚えでいいかも
知れない。MACとカンサスな。
こいつには「典型例」と「非典型例」があって、典型例は結核と同じ、ただし
進行が遅い

非典型例は、軽度ないし中程度の気管支拡張小葉中心性の粒状変化
中葉や舌区中心に認められる。下の方なのだな。

次はカビさん。真菌だ。
カビといっても色々あるが(今日はずいぶんこのフレーズが多いな)、とりあえず
クリプトコッカス、アスペルギルス、カンジダといったところを攻めてみよう。

まずクリプトコッカス。これは鳥(とくに鳩)のフンや土壌から感染する
真菌で、その肺炎の半分以上が免疫不全患者に起こるそうである。
画像的には、「胸膜直下(とは限らないが好発部位)の2〜10cmの
単発性の結節ないし塊状病変」
の場合と「気管支肺炎に類似した病変」
の場合がある。空洞やリンパ節腫大、胸水の頻度は高くない。

次、アスペルギルス‥‥と思ったがアスペルギルスは結構いっぱいあるので
先にカンジダに行こう。カンジダは覚えることはわずか2つ。
「気管支肺炎類似」「免疫不全患者に起こる」。以上。(笑)

では改めてアスペルギルス。肺アスペルギルス症には以下の3型がある。
・菌球型アスペルギルス症(半侵襲性アスペルギルス症)
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
・侵襲性肺アスペルギルス症(アスペルギルス肺炎)


つーわけで、まずは「菌球性アスペルギルス症」。これはもともと結核やら
サルコイドーシス、他の真菌、カリニあたりで出来た空洞にアスペルギルスが
居着いて、菌球をつくったもの。CTで菌球が見えれば一発診断。

次はABPA、つまり「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」。これは気管内の
アスペルギルスに対する1型ないし3型アレルギーなわけで、喘息、末血
好酸球増加、胸部異常陰影
を主徴とする。
画像所見は急性期と慢性期で違うらしく、CT上は、急性期は「中枢気管支の
拡張及び壁肥厚」「mucoid impactionによる気管支閉塞」「気管支内のair-
fluid level」「consolidationまたはすりガラス、小葉中心性変化」

慢性期は「気管支拡張及び壁肥厚」に加えて「病変周囲の瘢痕性収縮」「肺
全体の過膨脹」
が特徴である。
イメージ的には、急性期は「気管支が詰まって末梢が炎症」、慢性期は「その
なれの果て」というイメージであろうか。
リンパ節腫大は稀。胸水は比較的良く認められる。

アスペルギルスの最後は「侵襲性肺アスペルギルス症」。これは肺の出血性
梗塞
をその主な変化とするらしく、画像では「胸膜に達するconsolidation
及びその周囲のすりガラス」
を特徴とするほか、小葉中心性粒状変化、
気管支周囲のconsolidationがみられることもあるそうだ。

最後にクラミジア。クラミジアといえばオウム病であるが、厳密にはオウム病の
原因となるのはChlamydia psittachというクラミジアであり、覚えておくといい
かも知れないが、これって何て読むんだ?(汗)
所見は気管支肺炎と同様だそうだ。


今日はこんなところで。
明日は、これの鑑別疾患を少しやったあと、多発性結節性病変をやって、その
次に濃度低下病変(嚢胞とか)をやって、限局性結節をやって、肺終わりの予定。


そうだ、報告しなくては。
既にトップページには書いたが、試験の日程が8月30〜31日と正式に決定。
これで、「試験まであと***日」と逆算できるな。トップに日数自動逆算表示
スクリプトでも入れるかな(笑)。


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