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2001.3.10



件のミラーサイト、つまり「ここと全く同じ内容のサイト」であるが、構築
したのでご連絡する。
ミラーサイトのURLは、

http://www2s.biglobe.ne.jp/~aniki/radio/

である。
もちろん、内容はこのサイトと全く同じであるから、このサイトが生きている
限り、ミラーサイトをチェックする必要は全くないのである。
が、一昨日書いた通り、3月15〜21日の1週間、このサイトが閲覧不能に
陥ることが予想されるのである。
よって、3月15日が来る前に、上記のミラーサイトを「お気に入り」
(InternetExplorerの場合。Netscapeの場合は「ブックマーク」だな)に登録
しておくことを強くお勧めする
のである。
でないと俺がサボっていると思われるからな。(^^;

ちなみに、このbiglobeのサーバーは、今度は3月27日に1日メンテナンスを
予定しているらしい。トクトクと重ならなくて良かったよ。


さて、先日は、肺の小腺癌の野口分類を紹介したところで散華したのであるが、
今日はその続き、肺の小腺癌以外の腫瘍、および腫瘍以外の鑑別疾患について
ブチブチとやるのである。

まずは扁平上皮癌。ご存じの通り、扁平上皮癌は肺門型が多く、肺野型は
全体の20%に過ぎないのであるが、だからこそ、実際に肺野型の扁平上皮癌を
目にしたとき、腺癌などの肺野に多い腫瘍との鑑別が問題になるわけなのである。
扁平上皮癌で覚えておくべきは、とりあえず、酒井の分類かな。業界(?)で
どれぐらいメジャーなのか知らないけど、コンセプト的には野口分類に似たような
感じで、CT所見にもばっちり合うと。シンプルイズベストみたいな。
で、酒井の分類の内訳は3つ。
・1型:辺縁は比較的平滑、notchはみられるがspiculaに乏しい。周囲に対しては
 圧排が主体で収束傾向は示さない。従来より扁平上皮癌の典型といわれていた
 ような像。
・2型:周辺の気管支血管の収束傾向を伴うが、1型同様のnotchに加え、多数の
 spiculaを認め、辺縁不整である像。これが高度なものが2a型、あんまし
 高度でないのが2b型である。
どうやら、1型、2a型、2b型で3つ、ってことらしい。2a型は腺癌との
鑑別が難しいが、淡い吸収値上昇は見られず、ばっちり結節であるそうな。
この辺を基準にして読影するといいかも知れない。
また、扁平上皮癌は、背景に既存病変として周囲肺に肺気腫やブラ、肺線維症、
気管支拡張症がある事が多く、そういうのと重なって進展形式が修飾されたり、
ブラの壁や壊死巣に接した不整形の吸収値上昇に見えたりして(つまり腫瘤に
見えなくて)癌だと分からない場合があるんで注意が必要である。

次は小細胞癌。気管支血管周囲や気管支粘膜下を進展する傾向があるが、
肺野に辺縁明瞭な結節を作る場合があって、そういう場合は他の腫瘍との鑑別が
問題になってくるわけである。
CTで見ると、辺縁明瞭で周囲の既存構造を圧排するような腫瘤。均等な軟部織
濃度を示し、air bronchogramや空洞は認めない。軽い分葉を示すことはあるが
深いnotchは認めない。くりっとした腫瘤、ってイメージだな。
最初に書いたように、リンパ行性進展が多くて、その場合は小葉間隔壁の肥厚や
気管支血管束の肥厚が目立つ。稀に腫瘤周辺にすりガラスが見られる。

そして癌の最後が大細胞癌。これは他の癌の未分化なやつらしくて、
よって、他の癌に分化しかけた組織が色々含まれることがあるらしい。だもんで
この癌に関しては「内部に他の癌に分化した部分があれば、この腫瘍はその癌と
する」という取り決めがあるらしい。
CTでは辺縁明瞭で周囲の既存構造を圧排する腫瘤で、分葉が多いそうだ。

癌の最後に、その他の悪性腫瘍として、カルチノイド、腺様嚢胞癌(adenoid
cystic carcinoma)、粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma)あたりをまとめて、
というか、豆知識みたいのを2〜3細々と挙げてみたい。
まず、腺様嚢胞癌は40歳代に好発し、気管あるいは気管支に発生しやすいが
稀に末梢肺野に出る。
カルチノイドは高齢者の比較的太い気管に発生し、ポリープ様、あるいは気管支
壁に這って発育する。
他にも、稀な腫瘍としては「癌肉腫」というのがあって、これは癌と肉腫の
両方の細胞からなる、一見かなりゴージャスな腫瘍であるが、一般的に巨大な
腫瘤を形成する以外に特徴はないそうだ。見かけ倒しか癌肉腫。


というわけで、腫瘍はこの辺にして置いて、次は「癌っぽい結節を見たときの
腫瘍以外の鑑別疾患」である。

まずは、限局性の小すりガラス領域を見た場合。
こういうものの中には、腫瘍の他に、器質化肺炎、限局性間質性肺炎などが
含まれるわけである。あと、稀だが、血管腫やリンパ増殖性疾患もある。
で、これが、特にヤバいものかヤバくないものか、つまり手術が必要なものか
否かを判別するための、最も手軽で確実な方法は、というと‥‥

「放っておく」

ことである。
いや、そこで引くな貴様ら(苦笑)。放っておくといっても本当にただ放っておく
わけじゃなくて、2〜3ヶ月後に再検するわけである。
これで、もし小さくなっていれば、それは炎症か何かであったわけであり、
万々歳である。
もし、大きさが変わらない場合は、更に経時的にfollow upする。2年間大きく
ならなければ大丈夫
だといわれている。

で、もし大きくなったならば、これは腫瘍の可能性が高いわけで、全身の
スクリーニングや、気管支鏡及びCTガイド下生検などで精査していけばいい
わけである。

次に結節を見つけた場合。これも上記同様の方針で行けばよい。鑑別疾患を
挙げてみると‥‥

・結核腫
 結核の既往がある人では要注意である。造影CTで周囲の被膜状の吸収値上昇
 がみられるとか、MRIのT2強調像で乾酪壊死巣が低信号とか、そういう話も
 ある。

・軟骨性過誤腫
 軟骨と線維性隔壁が混在する良性腫瘍の一種である。石灰化と脂肪がある例が
 あり、そういうのは分かりやすいが、ない例が55%あるとか。
 MRIのT2強調像で軟骨が高信号だそうである。

・硬化性血管腫
 今はpneumocytomaと呼ばれる、II型肺胞上皮由来の腫瘍。中年女性に多い。
 CTで比較的良く染まり(正確には造影剤による比較的強い吸収値上昇が
 みられ)、また40%に石灰化が見られる。

・肺内リンパ節
 10mm胃内が多く、石灰化は稀で、気管分岐部より下の胸膜直下に多いと
 されている。その他はあんまし鑑別点ないかな。MRIではT1・T2両方とも低信号
 だが造影すれば信号上昇するらしい。

あとは核医学。Tl-201シンチグラフィとかFDG-PETが良悪性の鑑別に役立つと
言われている。が、タリウムは2cm以上の腫瘍でないと厳しいという弱点があり、
PETの方が良さそうだ。そうそうある設備でもないけどな。


とゆーわけで、休日返上でお届けした肺腫瘍のまとめであった。
来週は、金曜日まで平常営業した後、恐らく土日と休むことになると思われる。
誠に申し訳ない。(^^;

明日からは縦隔の話である。手始めに腫瘍をやろうと思っているが。


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