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2001.3.11



どうしてこんなに眠いか。(;_;)
「春眠暁に死す」ですか。(←間違い)

というか、ここんとこ、週明けに軽い風邪をひいて次の日に治る、という生活を
送っているのである。
でもって、俺の風邪の前駆症状というのが、実は「猛烈な眠気」なのである。
ということは、今回のもまた風邪である可能性が高い。
そして、そうであるならば、今夜辺りから寒気と関節痛が‥‥とか書いていたら
本当に寒気がしてきたので、とっとと切り上げて寝るとするのである。


というわけで、昨日でめでたく長かった肺野の勉強に区切りをつけ、縦隔の
勉強に突入しようと企む我々なのである。
で、最初はやはり、縦隔腫瘤と言うことになるだろう、ってことで、とっとと
縦隔腫瘍の鑑別疾患でも挙げて終わりにしようと思ったのだが、既に今日は
そんな元気もなく、しかたがないので、胸部単純写真のシルエットサインの話
でもしてお茶を濁すのである。

試験で、縦隔腫瘍に関する問題を出されるとしたならば。
しかも、ペーパーテストはともかくとして、面接で出されるとしたならば。

恐らく、試験官の先生がおもむろに一枚の胸部単純写真をシャウカステンに
かけ、「これを読影して下さい」という‥‥そこから始めるであろう。
ほぼ間違いなく、そういう流れになるはずだ。
とするならば、その単純写真から、縦隔に関する必要な情報を抜き出すこと、
それを想定しておくことは必要不可欠である。

そして、単純写真において、縦隔腫瘍を読影する上で最も重要なこと。
それは、「それはいったいどこにあるのか」である。

肺の時にも言ったが、こういう疾患は「どこに」「どんな」病変があり、そして
そのパターンから鑑別を絞るのが常道であるのだ。
そして、縦隔腫瘍の場合、単純写真で試されるもの、それは「単純写真から
その病変の局在がどれだけ分かるか」である。

そこで「シルエットサイン」だ。
これは、胸部単純写真読影の基礎の基礎の基礎の(中略)基礎ぐらいの話なので
あるが、つまり、心臓に接した構造物は心臓との境界線が映らないのだ。

非常に単純な話なのであるが、これが実に深いのである。

まず、この話は、上葉・中葉の肺炎と下葉の肺炎を鑑別するのに使える(これに
関しては、心臓以外に、横隔膜に対するシルエットサインも考慮する必要が
ある)。つまり、上葉・中葉が大葉性肺炎になった場合、その濃度上昇域と心臓
との間の境界は曖昧になる、つまりシルエットサイン陽性となるはずである。
また、下葉は心臓と接していないため、下葉の肺炎では心臓との境界ははっきり
認められるわけである。
(ちなみに、横隔膜との境界はこの逆となる)

そして、縦隔腫瘍にもこの話を当てはめてあげたいわけであるが、その前に、
縦隔の区域区分を軽くやっておくか。

・上縦隔:胸骨柄の下縁〜第4胸椎椎体下縁を結んだ線より上。

・前縦隔:上縦隔の下で、心臓(正確には心外膜前縁)より前。
 胸腺、リンパ節、脂肪組織を含む。

・後縦隔:上縦隔の下で、心臓(正確には背側心外膜後縁)より後。
 食道、下行大動脈、傍脊椎部を含む。

・中縦隔:前縦隔と後縦隔の間。
 心臓及び心外膜、大血管、気管、近位気管支及びリンパ節を含む。

日本では、古来からこういう区分をされているようである。

でもって、さっきのシルエットサインとこれを考え合わせると、次の「法則」が
するっと出てくる。

「後縦隔腫瘍は心臓に接していないんでシルエットサイン陰性っぽい」


まず、これは最大限に使える。

そして、特別大サービスであと2つ、縦隔腫瘍の局在診断にいい感じで使える
サインをお教えしよう。

まずは「エクストラプルーラルサイン」。extrapleural signと書く。つまりは
肺野内か外か、縦隔腫瘍か肺腫瘍かをはっきりさせるためのサインである。
具体的には、こういうことだ。
extraplural sign

図にすれば非常に簡単であり、胸膜外病変はなだらかな境界を、胸膜内(肺内)
病変は急角度で立ち上がる境界を示すのである。
これで、肺の内外の区別はばっちりだ。
あ、あと、このサインは、胸壁の疾患にも使うので覚えておくように。

もひとつ。これは上縦隔専用のサインであるが、「サービコソラシックサイン」
という、カタカナにすると妙だが英語で書くとcervicothoracic signと非常に
分かりやすい名前のサインがある。
これは「鎖骨の上にあって、かつ境界がはっきり追える腫瘤は気管より背側
(多くは後縦隔)にある」
というサインだが、これも異様に使えるので使え。


というわけで、今日はおしまいである。
明日は縦隔腫瘍の鑑別疾患と行こうか。


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