今日は、30〜40歳の悪性骨腫瘍である。 まずは線維肉腫 fibrosarcoma。これの特徴は骨新生を起こさない ことで、つまり骨は溶ける一方である。つまり、逆に言えば、骨硬化像が あれば、これは鑑別疾患から外していい、って事なのではないだろうか。 ただ、溶骨性変化と一口に言っても、浸透性、虫食い状、あるいは境界明瞭な 透亮域と、実に様々な所見を呈するのである。ここは要注意。 また、腐骨が見られることがあるのも特徴。腐骨があれば、鑑別を線維肉腫、 デスモイド、MFH、悪性リンパ腫、あと骨髄炎とEosinophilic granulomaぐらい まで絞れる。っていうか骨髄炎の時にやったのより増えてるような。(^^; あと、重要なのは、骨腫瘍には珍しく、fibrosarcomaはMRIのT2強調像で 低信号になるのである。これと同様にT2低信号になる腫瘍が2つあって、それは MFHとデスモイドなのだが、それはまたすぐあとに出てくる話だ。 というわけで、次はMFH、つまり悪性線維性組織球腫 Malignant Fibrous Histiocytoma。長ぇ。 これは、先ほどのFinbrosarcomaと同様の所見を呈する、で終わってしまう。(^^; そしてデスモイド Desmoid。これはfibrosarcomaの亜型であり、なもんで こないだの表には入っていなかったのである。だが、まぁ、やっとくに越した ことは無かろう。 デスモイドはfibrosarcomaの亜型であるからして、当然fibrosarcomaと似たような 画像を呈するわけなんであるが、発育速度が遅く、そのためかなり境界明瞭な 病変となる。また、太い突起やスパイクを伴う良性の骨髄炎を伴い、 厚い隔壁に分けられた多房性の病変となることが特徴である。 では次、悪性巨細胞腫 Malignant Giant cell tumor。 これは、以前やった良性のGCTと同じ所見を呈する。って言うか、画像で両者を 見分ける術がないのである。せいぜい遠隔転移(だいたい肺)があるとか 術後再発とか、そういったあからさまに悪性の所見がない限り、悪性とは わからないわけであるな。 それでは、30台の腫瘍の最後、細網細胞肉腫である。 これについてもひとこと、ユーイングに似ている。以上。(^^; あ、もちろん、ユーイングとは、年齢で鑑別するんである。 おっと、もひとつ、ユーイングと細網細胞肉腫との鑑別点があった。症状の 有無である。 ユーイングはたいがい痛いのだが、これは痛くないのだ。 まぁ、その前に患者のプロフィールで年齢は分かるはずなんだが、まぁ付随事項 ということで。 本日はこんなところであるな。 40歳以上の腫瘍が、ひとつ(軟骨肉腫 Chondrosarcoma)を除いて既述の物で あるため、今日は先に進んでもいいかと思ったが、あんまり進んで消化不良を 起こしてもいけないので(俺が、な(^^;)、とりあえずこの辺で終わっておく のである。 次回、40歳以上の腫瘍が終わったら、恐らく軟部腫瘍をやることになると 思うが、正直、かなりイバラの道であるような気がしてならない。(^^; とっとと終わらせて外傷やりてぇ。 |