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2001.4.11



今日は、仕事がかなりにナニであったので、気力が萎えているのである。
よって、今日は、残った40歳以上の悪性骨腫瘍を終わらせたら、あとは雑談
に終始してしまうこととするのである。(^^;


それでは、40歳以上の悪性骨腫瘍。ここでは3つ取り上げる。
といっても、うち2つはメタとミエローマであり、これらは既に良性
溶骨性変化の鑑別として挙げたのである。
よって、この2つは最後にさらっと流して、まずはもう1つ、軟骨肉腫をやるので
ある。


軟骨肉腫 chndorosarcoma。この疾患は普通子供には起きないとされる。
ただ、まれに骨軟骨腫が悪性転化することがあるらしいんで、おなじみヘルムス
先生も、「痛みや侵襲性のX線像を示す内軟骨腫や骨軟骨腫がない限り
軟骨肉腫という診断名は40歳以上の患者にしかつけない」と書いている。
つまりは例外があるってこったな。

また、組織学的に低悪性度の軟骨肉腫は、内軟骨腫と鑑別するのは非常に難しい。
病理の先生の鬼門なんであるな。
だもんで、ヘルムス先生は、軟骨肉腫か内軟骨腫か迷った症例に関しては、
痛みや骨髄炎や骨破壊像などの明らかな侵襲性病変が有る時に限り、「恐らくは
軟骨肉腫であろう」と診断するらしい。

つーわけで、あっけなく、軟骨肉腫は終わりである。


で、残りはいずれも既述の疾患なので、ざっと流すのである。

まずは転移 metastases。石灰化があれば、男性ならば第一に前立腺、
女性なら第一に乳癌を考えるのは普通であるな。もちろん、そうとは限らんわけ
だが。

前にも書いたが、「必ず」溶骨性変化となるメタは腎癌のみである。また、
膨張性で溶骨性変化を示すのは、腎癌か甲状腺癌だと思って良い。

そして最後に骨髄腫 Myeloma。典型的にはユーイングや細網細胞肉腫
なんかと同じ、びまん性浸透性病変である。まぁ、この辺とは年齢で鑑別する
わけであるな。

もひとつ覚えておくべきなのは、椎体の骨髄腫。急性の物では、ぼこぼこと穴状の
透亮像が多数認められる、そんな所見を呈する。これを人呼んでスイスチーズ
パターン
と呼ぶ。

チーズ

これだな(笑)。トムとジェリーに出てきそうな。
ちなみに、これは「エメンタール」という、本当にスイスのチーズである。

これが、慢性の骨髄腫になると、今度は粗造な骨梁パターンが認められる
ようになる。溶けるだけ溶けちゃって、残った部分が硬化するわけだな。

ちなみに、上記の所見はいずれも、CTでのみ認められる。単純写真ではどっちも
ただの透亮像なのである。ビバCT。




というわけで、今日はこれだけで終わりであるが、最後にちょっとだけ余談。
上で「トムとジェリー」の話が出てきたが、あれの日本語版のエンディングの
歌詞、

トムとジェリー、仲良くけんかしな


って、ものすげー名文句だと思わないか?
他人との相違があることを前提とし、意見の違う部分はぶつけ合いつつ、しかし
仲良く過ごす‥‥
これぞまさに、人間関係の極意であると思うのである。

植木等というコメディアンがいるが、その昔、当時お寺の住職をしていた彼の
お父さんが、彼の所属していた「クレイジーキャッツ」の曲「スーダラ節」の

分かっちゃいるけどやめられない

というフレーズを聴き、「これは親鸞上人の教えに通じる物がある」と唸った
そうだが、このトムとジェリーのエンディングも、それに匹敵する物があると
思うのである。
ネズミだって生き物さ、ネコだって生き物さ、である。
パレスチナ自治区でドンパチやってる人たちに聞かせたいね。(^^;


つーわけで、本日はこれにて。
明日は軟部腫瘍の予定だったが、その前に骨腫瘍の取りこぼしにを拾いに行く
予定。お楽しみに。


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