鏡花テキストの外字を青空文庫ビューアーで表示させよう


青空文庫形式のフォーマットで書かれたテキストをルビ付きタテ書きで表示させるビューアーには色々なものがあります。テキストに含まれる外字を、すべてではないもののかなりの程度表示してくれるビューアーもあります。さほど古くないテキストはそれで対応できるのですが、泉鏡花の作品のように変体かなも含めて外字が多いものになると、unicode注記が使えて自作フォントも指定できる PageOne(Windows) というフリーソフトが優れていると思います。

泉鏡花のテキストは今の時点で140編が青空文庫で公開されています。そのひとつひとつの外字をunicodeで置き換えていくには、PageOneの作者の MultiReplaceというソフトが便利です。

ただこれだけでは何もおきません。unicode_list.txtという置換リストを作りましたので、これをブラウザなどで表示させ、全体をコピーしてMultiReplaceの小窓にペーストしてください。
(このリストはあくまでも現時点で登録されている鏡花テキストを対象としたもので、しかもPageOne専用です。さらに、テキストのタイプミスを修正する行がいくつか混じっていたりもいます。実はPageOneの[ツール(T)」→[テキスト処理(T)]→[外字置換リスト]の小窓にこのリストをペーストするやり方もあり、後々のことを考えればこの方がスマートです。しかし、これだとタイプミス修正の行がはじかれてしまうため 、ここではMultiReplaceを使う方法を採用しました)
あとは書き換えたい青空文庫テキストを、「ここにドロップ」としてある部分にドロップして[置換]ボタンを押すだけです。鏡花の140編全部をいちどに書き換えることもできます。

  ここにドロップ



PageOneによる『春昼』の表示例をごらんください。unicodeをもってしても表示できないものは変体かなも含めて外字エディタでフォントを作りました。赤の傍線がunicodeフォント、青の傍線は自作フォント。自作フォントのインストールのしかたは後述します。
(2011.02.18 追記:一部unicodeで表示されなくなったものがあることに気づきました。原因不明です。以前は正常に表示できていた証拠としてフォントの画像はそのまま残し、問題箇所を青赤の傍線で示します。対策として自作フォントで代替しておきました。フォントの再ダウンロードは不要ですが、『春昼』テキストの書き換えが必要です。unicode6BFE→unicodeE009 unicode7F73→unicodeE00B ここに修正したテキストがあります。)






自作外字フォントのインストール

外字フォント・ファイルを適当なフォルダに解凍
外字リンカーを使い、個々のフォントを[リンクファイルの指定(F)] で下図のような感じになるよう設定
○『春昼』が上図のように表示できているかPageOneで確認




ちなみに私はパソコンとつないだ37型テレビの画面いっぱいに作品を表示して、ずいぶん楽な姿勢で読書を楽しんでいます。iPadもよさそうですが、ワイヤレス・マウスはそれより軽いし、そのぶん疲れも出にくいのではないかと。

テレビの画面とは逆の話になりますが、携帯型プレイヤーの小さな画面で泉鏡花を読む方法も紹介しておきましょう。
PageOneに装備された、テキストのイメージ出力機能を使います。
余白を減らし、23字x8行とか25字x9行など、好みのページ・レイアウトで鏡花テキストを表示して
[ツール(T)]→[ページ出力(O)]でテキストを画像化します。残念ながらPDFには非対応。




つぎに、PageOneで出力されたJPG画像を、自分のプレイヤーの画面にフィットするよう変換します。
ChainLPは画像の濃さを調整したり向きを回転させたりが簡単にできるので、これを使って下の例のように処理します。
この作業でテキストのJPGファイルが出来上がったら、プレイヤーにコピーして終了です。
『春昼』『春昼後刻』二編で12メガといったところでしょうか。
PageOneを使わず最初からChainLPですべて処理する方法もあり、PDF出力もできるので比較してみましょう。)

例:90度回転して480x270ドットの画像に加工 ChainLPの設定例と出力結果




(ChainLPで回転処理できるのはSourceが画像の場合だけのようです)


例:回転しないで270x480ドットの画像に加工 ChainLPの設定例と出力結果



 

PageOne+ChainLPで処理           すべてChainLPで処理

(EPSON太明朝体使用)



  2011.01.07/2011.02.22改