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 『蜻蛉(大島本)

 と思ふにも、わがたゆく世づかぬ心のみ悔しく、御胸痛くおぼえたまふ。悩ませたまふあたりに、かかること思し乱るるもうたてあれば、京におはしぬ。
 宮の御方にも渡りたまはず、
 「ことことしきほどにもはべらねど、ゆゆしきことを近う聞きつれば、心の乱れはべるほども忌ま忌ましうて」

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  第二章 浮舟の物語 浮舟失踪と薫、匂宮  [第二段 薫の後悔]

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