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『
蜻蛉(大島本)
』
などあり。昨夜の御返りをも開けて見て、右近いみじう泣く。
「さればよ。心細きことは聞こえたまひけり。我に、などかいささかのたまふことのなかりけむ。幼かりしほどより、つゆ心置かれたてまつることなく、塵ばかり隔てなくてならひたるに、今は限りの道にしも、我を後らかし、けしきをだに見せたまはざりけるがつらきこと」
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第一章 浮舟の物語 浮舟失踪後の人びとの動転 [第一段 宇治の浮舟失踪]
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