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 『若紫(大島本)

 暁方になりにければ、法華三昧行ふ堂の懺法の声、山おろしにつきて聞こえくる、いと尊く、滝の音に響きあひたり。
 「吹きまよふ深山おろしにさめて
  涙もよほす滝の音かな」

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  第一章 紫上の物語 若紫の君登場、三月晦日から初夏四月までの物語  [第四段 若紫の君の素性を聞く]

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