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 『葵(大島本)

 と思し返せど、思ふもものをなり。
 [第四段 斎宮、秋に宮中の初斎院に入る]
 斎宮は、去年内裏に入りたまふべかりしを、さまざま障はることありて、この秋入りたまふ。九月には、やがて野の宮に移ろひたまふべければ、ふたたびの御祓へのいそぎ、とりかさねてあるべきに、ただあやしうほけほけしうて、つくづくと臥し悩みたまふを、宮人、いみじき大事にて、御祈りなど、さまざま仕うまつる。

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  第二章 葵の上の物語 六条御息所がもののけとなってとり憑く物語  [第四段 斎宮、秋に宮中の初斎院に入る]

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