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 『柏木(尊経閣文庫本)

 院はた、もとより取り分きてやむごとなう、人よりもすぐれて見たてまつらむと思ししを、この世には甲斐なきやうにないたてまつるも、飽かず悲しければ、うちしほたれたまふ。
 「かくても、平かにて、同じうは念誦をも勤めたまへ」
 と聞こえ置きたまひて、明け果てぬるに、急ぎて出でさせたまひぬ。

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  第二章 女三の宮の物語 女三の宮の出家  [第四段 朱雀院、夜明け方に山へ帰る]

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