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 『蜻蛉(大島本)

 「さるまじきことを思ほし焦がるること」と、見苦しく見たてまつれど、ここに来ては、おはしましし夜な夜なのありさま、抱かれたてまつりたまひて、舟に乗りたまひしけはひの、あてにうつくしかりしことなどを思ひ出づるに、心強き人なくあはれなり。右近会ひて、いみじう泣くもことわりなり。
 「かくのたまはせて、御使になむ参り来つる」
 と言へば、

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  第三章 匂宮の物語 匂宮、侍従を迎えて語り合う  [第二段 匂宮、右近を迎えに時方派遣]

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