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『葵(大島本)』
「限りあれば薄墨衣浅けれど
涙ぞ袖を淵となしける」
とて、念誦したまへるさま、いとどなまめかしさまさりて、経忍びやかに誦みたまひつつ、「法界三昧普賢大士」とうちのたまへる、行ひ馴れたる法師よりはけなり。若君を見たてまつりたまふにも、「何に忍ぶの」と、いとど露けけれど、「かかる形見さへなからましかば」と、思し慰む。
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第二章 葵の上の物語 六条御息所がもののけとなってとり憑く物語
[第七段 葵の上の葬送とその後]
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