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『若紫(大島本)』
と言ふに、わづらはしくおぼえて、
「みづからの夢にはあらず、人の御ことを語るなり。この夢合ふまで、また人にまねぶな」
とのたまひて、心のうちには、「いかなることならむ」と思しわたるに、この女宮の御こと聞きたまひて、「もしさるやうもや」と、思し合はせたまふに、いとどしくいみじき言の葉尽くしきこえたまへど、命婦も思ふに、いとむくつけう、わづらはしさまさりて、さらにたばかるべきかたなし。はかなき一行の御返りのたまさかなりしも、絶え果てにたり。
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第二章 藤壺の物語 夏の密通と妊娠の苦悩物語
[第二段 妊娠三月となる]
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