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『総角(大島本)』
「今は言ふかひなし。ことわりは、返すがへす聞こえさせてもあまりあらば、抓みもひねらせたまへ。やむごとなき方に思しよるめるを、宿世などいふめるもの、さらに心にかなはぬものにはべるめれば、かの御心ざしは異にはべりけるを、いとほしく思ひたまふるに、かなはぬ身こそ、置き所なく心憂くはべりけれ。
なほ、いかがはせむに思し弱りね。この御障子の固めばかり、いと強きも、まことにもの清く推し量りきこゆる人もはべらじ。しるべと誘ひたまへる人の御心にも、まさにかく胸ふたがりて、明かすらむとは、思しなむや」
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第三章 中の君の物語 中の君と匂宮との結婚
[第四段 薫、大君の寝所に迫る]
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