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『総角(大島本)』
と、いと深く聞こえたまへど、「絶え間あるべく思さるらむは、音に聞きし御心のほどしるべきにや」と心おかれて、わが御ありさまから、さまざまもの嘆かしくてなむありける。
明け行くほどの空に、妻戸押し開けたまひて、もろともに誘ひ出でて見たまへば、霧りわたれるさま、所からのあはれ多く添ひて、例の、柴積む舟のかすかに行き交ふ跡の白波、「目馴れずもある住まひのさまかな」と、色なる御心には、をかしく思しなさる。
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第四章 中の君の物語 匂宮と中の君、朝ぼらけの宇治川を見る
[第四段 匂宮と中の君、朝ぼらけの宇治川を見る]
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