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 『紫式部日記(黒川本)

 殿の上も、参う上りて物御覧ず。使ひの君の藤かざして、いとものものしくおとなびたまへるを、内蔵の命婦は、舞人には目も見やらず、うちまもりうちまもりぞ泣きける。
 御物忌みなれば、御社より丑の時にぞ帰りまゐれば、御神楽などもさまばかりなり。兼時が去年まではいとつきづきしげなりしを、こよなく衰へたる振る舞ひぞ、見知るまじき人の上なれど、あはれに思ひよそへらるること多くはべる。

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  第一部 敦成親王誕生記  第二章 寛弘五年(一〇〇八)冬の記  【二〇 十一月二十八日下酉の日、臨時の祭】

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