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 『総角(大島本)

 とて、二所ながらいみじく泣きたまふ。
 「このころ明け暮れ思ひ出でたてまつれば、ほのめきもやおはすらむ。いかで、おはすらむ所に尋ね参らむ。罪深げなる身どもにて」
 と、後の世をさへ思ひやりたまふ。人の国にありけむ香の煙ぞ、いと得まほしく思さるる。

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  第六章 大君の物語 大君の病気と薫の看護  [第三段 中の君、昼寝の夢から覚める]

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