検索結果詳細


 『明石(大島本)

 「知らぬ世界に、めづらしき愁への限り見つれど、都の方よりとて、言問ひおこする人もなし。ただ行方なき空の月日の光ばかりを、故郷の友と眺めはべるに、うれしき釣舟をなむ。かの浦に、静やかに隠ろふべき隈はべりなむや」
 とのたまふ。限りなくよろこび、かしこまり申す。
 「ともあれ、かくもあれ、夜の明け果てぬ先に御舟にたてまつれ」

 58/331 59/331 60/331

  第一章 光る源氏の物語 須磨の嵐と神の導きの物語  [第四段 明石入道の迎えの舟]

  [Index]